
「夏に向けて愛媛県の道後温泉が賑わいをみせそう」というのは、旅行ジャーナリストの村田和子さん。愛媛・道後温泉が今注目の理由とおすすめ旅情報をお届けします。
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5年半に渡り保存修理工事を行っていた道後温泉本館が、2024年7月11日(木)に全館営業を再開します。また2024年は、四国霊場八十八ヶ所巡り(お遍路)の4年に一度の逆打ちの年。なんとご利益が3倍とか。この夏に向けて注目の愛媛・道後温泉の最新情報をレポート。お遍路を始めたい人におすすめの体験から、道後温泉のある松山へのアクセス、一人で泊まれるおすすめ宿まで紹介します。

道後温泉本館の全館営業再開&飛鳥乃湯泉の華やかなアートは見納め
5年半に渡る大規模な保存修理工事が順調に進み、いよいよ7月11日(木)に道後の象徴「道後温泉本館」が全館営業再開となります。

保存修理工事中も一部で営業をしていたものの、休憩はできず入場も裏手からでした。7月11日(木)には西側正面玄関が開き、茶菓子を頂きながら重厚な建物で寛げる休憩室も再開します。ただし準備のため、6月18日(火)から7月10日(水)までの間は臨時休館となります。この期間は本館の外観を楽しみつつ、入浴は道後温泉別館 飛鳥乃湯泉へ訪れてみるのがおすすめです。

道後温泉本館が再開する前日(7月10日)まで、飛鳥乃湯泉では、写真家・映画監督である蜷川実花さんの花の写真を用いた作品「飛鳥の湯泉インスタレーション」が中庭一面に広がり、華やかな雰囲気に包まれています。見たことがない方はこちらも見納めです。


飛鳥乃湯泉に訪れるなら、2階特別浴室(要予約)の利用がおすすめ。道後温泉本館にある皇室専用浴室の又新殿を再現した浴室と休憩室が貸切で利用できるとあって人気です。


4年に1度ご利益3倍!? 逆打ち年に始める!四国霊場八十八ヶ所巡り
四国霊場八十八ヶ所巡り(お遍路)とは、祈願しながら四国にある弘法大師空海の霊場八十八カ所を回ること。通常は第1番札所(霊山寺)から第88番札所(大窪寺)まで順に参拝し満願となりますが、4年に1度のうるう年は逆打ち年。第88番札所から逆に回ることでご利益が3倍になるともいわれています。
とはいうものの短期間に満願するのはなかなか難しいですよね。まずはお遍路さんの体験をして一歩を踏み出してみてはいかが?
実はお遍路さんは、衛門三郎さんが弘法大師様に会うために始めたのがきっかけという伝説があり、その伝説ゆかりの地が第51番札所石手寺で、道後温泉から徒歩で訪れることができます。
おすすめは1時間半のガイド付きお遍路体験ツアー(一人4500円)。ガイド料、お遍路装束レンタル、納め札2枚、石手寺名物焼きもち2枚が含まれ、参加すれば、お遍路さんの歴史や作法、石手寺の見どころなども学べます。

まずは一歩を踏み出し、ご自身のペースで回るのが良さそうです。



ちなみに回り方にはあまりこだわらないでよいそう。順番もいけるところからでOKで一度にすべて回る必要もありません。何年もかけて満願する方も多いとのこと。ご自身のペースで回るのもよさそうです。
ちなみに石手寺には「お砂撫で」という、札所八十八カ所の砂が並べてあり、すべてを撫でると八十八カ所を巡るのと同じ功徳を授かれるというものもあります。本格的にお遍路を始める前にチャレンジしてみるとよさそうです。
■お遍路体験 https://matsuyamahaiku.jp/
本州からのアクセスどっちにする?瀬戸大橋VSしまなみ海道
本州から愛媛県・松山市へは、瀬戸大橋を渡るルート、もしくは、しまなみ海道を渡るルートが一般的。いずれも絶景を楽しむために、陽があるうちに橋を渡るのがおすすめです。
瀬戸大橋を利用するおすすめルート
山陽新幹線も停車する岡山駅から松山駅までは特急しおかぜが運行。グリーン車は、パノラマ席や2階席など眺望がよく特別感があっておすすめです。お子様連れなどにはアンパンマンがデザインされた列車もあります。


なお瀬戸大橋線は2024年4月に、3億人の利用者を達成し、年内はキャンペーンを実施。5月末まではJR四国線・土佐くろしお鉄道線全線の特急列車自由席が3日間乗り降り自由で大人1万3000円のお得な切符も発売されています。
■瀬戸大橋線ご利用3億人(JR四国) https://www.jr-eki.com/seto-ohashi_line_300million/index.html
しまなみ海道を利用するおすすめルート
山陽新幹線福山駅から四国・今治駅までは、直通バス「しまなみライナー」が運行。島々を巡りながらのんびりと四国へ向かいます。車高が高いバスから見るしまなみ海道からの絶景は格別! 今治駅からはJR予讃線で松山へ。

絶品朝食に蛇口からみかんジュースも!ひとり旅もウェルカムな「ホテル道後やや」
道後温泉には、たくさんの温泉旅館があり、全般的に評価も高いのですが、「ひとり」で気軽に利用できる宿が少ないのがネックです。そんな中、ひとり利用ができ、ユニークなサービスが充実しているのが「ホテル道後やや」。館内へ入ると、まずは3種類のみかんジュースの蛇口が出迎えます。

充実したアメニティーを自由にもっていけるアメニティーバーから、外湯へ行くためのバスタオルを数種類から選べる「今治タオルバー」まであってサービス充実。


ラウンジでは、コーヒーや紅茶のフリードリンクに茶菓子、夜食として時間・数量限定で、鯛めしのだし茶漬けも無料でサービス。驚くべきは、朝食の充実度。ビュッフェが基本で、「だし巻き玉子」「フレンチトースト」など数品は、オーダー制で運ばれてきます(おかわりもOK)。




鯛めし、じゃこ天など、ご当地メニューも満載で、みかんをまるごと入れて自分で絞る生ジュースのコーナーなどもあります。少しずつ多くの種類の料理かおかれ、選ぶ楽しさがあること、美容や健康によいメニューが多いのもうれしいポイントです。
客室は各階に下駄箱があり、客室へは靴を脱いで向かいます。リラックスでき旅館の寛ぎが感じられる和モダンな雰囲気で、女性ひとりでも安心して泊まれます。ひとり利用できる客室は13平米とコンパクトですが、機能的で清潔感があります。


ただし館内に温泉施設はなく、温泉を楽しむには外湯(道後温泉本館、飛鳥乃湯泉、椿の湯)へ行く必要があります。いずれの外湯も徒歩数分なので、観光メインの旅なら、浴衣で街の散策を楽しみながらでかければいいでしょう。何度もお風呂に入る湯治スタイルを希望するのなら、館内に温泉施設がある宿の方が便利かもしれません。

■ホテル道後やや https://www.yayahotel.jp/
いかがでしたか? 瀬戸内海の絶景に癒され、道後温泉の湯で疲れをとり、お遍路体験で心清らかに。多くの文人ゆかりの地「松山」には、大人が楽しめる観光スポットが他にもたくさんありますよ。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを