日本の食卓に必須とも言える白米。米不足による米の値上がりは家計への負担も大きく、また、米が手に入らなくなるのでは…という不安を感じる人もいるだろう。そこで、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、一部で起きているという米不足はいつまで続くのか、乗り切るにはどうすればいいのかについて、教えてもらった。
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コシヒカリなど一部の米が供給不足
テレビなどでも報道されている米不足。米が買えなくなってしまうのではないか、と不安になっているかたもいるかもしれませんが、コシヒカリなど一部の銘柄が不足しているだけで、米が足りなくなっているわけではありません。
主食となる食品に関しては、元々小麦が値上がりしており、それに伴ってパンやパスタなど小麦を使った主食類も値上がりしていたため、価格変動が少なく、値ごろ感もあった米の需要が強まっていました。
さらに、インバウンドの増加による外食での米の需要や、海外への輸出量の増加、さらに昨年の猛暑の影響で不作になった産地などもあったため、スーパーに流通する米の量が例年より少ない状態となっています。
一方で、数か月もすれば新米の時期となり、徐々に価格も落ち着いてくると予想されます。そのため、新米が出回るまでどうしのいでいくか、を考えておくといいでしょう。
別の主食で代用する
1つ目の方法としては、米以外の食品で主食を代用するという手があります。代用品としては、アレンジがしやすかったり、安く買いやすかったりするものがおすすめです。
全体的に値上がりしている小麦製品でも、パスタは業務スーパーなどのディスカウントスーパーでは5kgほどの大容量品がお得な価格で販売されています。パスタは長期保存ができるうえ、アレンジもしやすいので、米の代わりに食卓に取り入れやすいでしょう。
ここで大切なのは、できるだけ加工がされていないものを買うことです。加工度合いが高いものほど値上がりしています。パスタなら冷凍パスタではなく乾麺のパスタを買うことです。同様にパンも菓子パンではなく、食パンを使いピザトーストなどにアレンジして代用しましょう。
スーパー以外で米を手に入れる
スーパー以外の場所で米を買うこともできます。例えば、「メルカリ」や「楽天ラクマ」などのフリマアプリでは、米を出品している農家から直接米を購入することができます。また、ふるさと納税の返礼品に米がある自治体も多いため、返礼品が米の自治体に寄付をするのも手でしょう。
ただし、ふるさと納税の場合は返礼品が届くのに時間がかかったり、いつ届くかわからなかったりすることもあります。新米の予約ではないことを確認して、令和5年産かつ発送予定時期が記載されているものを選びましょう。
また、量が多いと食べきる前に虫が湧いてしまうこともあるので、スーパー以外で米を入手する場合は到着のタイミングや消費量を考慮しましょう。
安い米をおいしく食べる方法
グレードを下げた米を買うことで出費を抑えることもできますが、その一方で、あまりおいしくないというデメリットもあります。その場合に、安い米をおいしく食べる方法を試してみましょう。
こめ油を入れて炊く
安い米をおいしく食べる方法としてまずおすすめなのが、米を炊くときに「こめ油」を加えることです。近年、健康に良い油としてこめ油の注目が集まっていますが、こめ油は加熱に強く、油のコーティング効果で米の保水力が上がるため、ふっくらとした仕上がりになります。
「三和油脂」(https://sanwa-yushi.co.jp/2019/11/21/%E3%81%93%E3%82%81%E6%B2%B9%E3%81%A7%E3%81%A4%E3%82%84%E3%81%A4%E3%82%84%E3%81%94%E3%81%AF%E3%82%93/)のHPによると、こめ油の量は米2合に対して、小さじ1杯程度。こめ油はスーパーなどでも取り扱っているほか、ふるさと納税の返礼品としてもらうこともできます。
はちみつを入れて炊く
はちみつを入れると、はちみつの保水性で米がふっくら炊きあがります。さらに、はちみつに含まれるアミラーゼという酵素が米のデンプンを分解して糖にするため、米の甘さも引き出されます。
「青空養蜂場」(https://aozora-bee.jp/blog/archives/277)のHPによると、はちみつの量は米2合に対して小さじ1杯程度。はちみつを加えた後はしっかりと浸水させましょう。
氷を入れて炊く
こめ油もはちみつもないという場合には、氷を入れて炊く方法もあります。低い水温で米を炊き始めることで、米のデンプンが糖に分解されやすくなるため、甘くふっくらとした炊きあがりになります。
山形米の専門店 尾形米殻店(https://www.ogatabeikoku.com/okome_howto/koori_takikata/)のHPによれば、氷は米1合あたり3~4個程度。氷を加えた分、いつもより水を減らして炊きましょう。
もち米を混ぜて炊く
もち米を混ぜて炊くと、炊いたときにもち米のもちもち感がプラスされるだけでなく、もち米の水分が白米に移り、白米自体もふっくらしやすくなります。
くりや(https://kuriya.co.jp/blog/other/20180910-741.html)のHPによると、初心者におすすめな白米ともち米の割合は9:1。少しだけ混ぜて炊いてみて、ちょうどいい割合を探るといいでしょう。
また、浸水時の水の量も白米のみのときより減らす必要があるため、何度か試してみて、水加減もちょうどいいところを探ってみましょう。
味付けする
このほか、炊き込みご飯やドリア、リゾットなど、ごはん自体に味付けをしてしまうのもおすすめです。
味が付いていれば、仮に仕上がりがパサパサの米だったとしてもおいしく食べられますし、パラパラにしやすいため、チャーハンはむしろ適していると言えるでしょう。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり