衣類を入れたら洗濯、乾燥まで自動的にしてくれるドラム式洗濯乾燥機。洗濯物を乾かす手間を省けるため、時短家事には不可欠な家電のひとつである。だが、間違った使い方をしてしまうとうまく乾燥しなかったり、最悪の場合故障につながり数万円もの修理費がかかったりすることも……。そこで家電ライターの田中真紀子さんに、改めて正しい使い方や壊れる前兆、そして修理か買い替えかの見極め方まで教えていただいた。
ドラム式洗濯乾燥機でやりがちなNGの使い方
まず、ついやってしまいがちな間違った使い方から。
NG例【1】洗濯物を多めに詰め込む
「やりがちなのが、洗濯乾燥の容量を超えて洗濯物を詰めてしまうことでしょう。1回の洗濯量を守るのはなかなか難しいですが、特に乾燥まで行う場合は、洗濯容量の約半分しか入れられません。洗濯物量の目安も曖昧なことが多いので、心配なときは少なめに入れたほうが安心です。入れすぎると、きちんと乾かないことがあります」(田中さん・以下同)
NG例【2】衣類が少なすぎる、マスクなどの小物を直接入れる
逆に、衣類が少なすぎるのも要注意。
「少量のタオルや綿の衣類だけで洗濯すると、生地の性質上、脱水時にドラムに貼り付いてしまうことがあります。場合によっては、ドラムに貼り付いたまま乾燥することになり、ふわっと乾かすことができずに乾きムラの原因になることも。また靴下や布マスクなどの小物類は洗濯ネットに入れないと、ドアパッキンに挟まったり、すきまから本体内や排水経路にはいり、故障してしまう可能性があります」
NG例【3】洗濯機の上に物を置きっぱなし
洗濯機の上に物を置いたまま洗濯するのも避けた方がいいそう。
「多くのドラム式は乾燥方式にヒートポンプ式を採用していますが、乾燥フィルターの吸気口が天面にあるため、物を置いてふさいでしまうと乾燥効率が落ちてしまうことがあります。乾燥フィルターの吸気口をふさがない形でタオルなどを“ちょい置き”する分にはメーカーも禁じていないので神経質になることはありませんが、振動でモノが落ちる場合もありますし、乾燥中は天面が温かくなるので、置くモノによっては注意が必要でしょう」
NG例【4】稼働していないときでも水栓を開けっ放し
「また洗濯機の水栓を開けっぱなしにしている人も多いと思いますが、これもNG。使わないときは負荷がかかり続けるので、パッキンが劣化し、水漏れの原因になります」
ドラム式洗濯乾燥機が壊れる前兆
洗濯機は頻繁に使うため不調には気づきやすいが、中でもこんな不具合が出たら危険信号だ。
「例えば電源が入らないなどの明らかな不調のほか、運転中に止まる、乾きが悪い、異音や異臭がするなどの異常があったときは要注意。すぐに使用をやめ、取扱説明書で原因を探しましょう」
さらに次の症状が出たら、直ちに点検をしてもらった方がいいという。
「乾燥経路に物が詰まった場合、排水フィルターまで流れればいいですが、場合によっては途中で詰まってしまう場合があります。その場合は異音がしたり、排水や乾燥ができない、乾燥時間が長くなるなどの不具合が出てきますので、点検を依頼しましょう。そのまま使用を続けると、洗濯機が故障する場合があります。
知人のケースでは、糸くずフィルターや排水ホース、排水溝もきれいに掃除したのに排水エラーが続き、観念して業者を呼んだところ、布マスクが洗濯機内部の排水経路に詰まっていたことが発覚。長期保証も切れていたため、2万円近くの出張点検費が痛かったと嘆いていました。その修理業者の話では、コロナ禍では、布マスクの詰まりによる排水エラー案件が多かったそうです。
また他の人のケースでは、気づいたら脱水の音や振動が異様に大きくなっていて、その程度も近隣からクレームが来そうなほどの轟音と揺れでした。メーカーに出張点検に来てもらったら、洗濯機内部のモーターが故障していて、ドラムごと全とっかえ。費用は5万円近くかかったそうです。
こうしたケースも含め、例えば異音の中でも、今まで聞いたことがないような高音や金属音がした場合、モーターが劣化している可能性がありますので、交換修理を相談するといいでしょう」
修理VS買い替え、その見極め方は?
このように、壊れる前兆が現れたら、修理や買い替え検討することになる。
「一般的にドラム式洗濯乾燥機は、生産終了後6年間くらいは修理交換部品が保管されているため、それまでは修理を、7年目以降は買い替えが推奨されています。前述のドラムを全とっかえした知人は、購入して5年半で、交換部品もあったので、数十万円を出して買い替えるより、修理して、あと数年間大事に使い続けることにしたそうです。もちろん保管期間後も部品が残っている場合もありますので、まずは相談してみるといいでしょう」
長く大事に使い続けるためには、取扱説明書に従って使うことと、マメなお手入れをすることが必須。
「例えば乾燥フィルターは使用ごとのお手入れが推奨されていますが、怠るとホコリが目詰まりした状態ゆえに風量が落ちて乾燥時間が長くなったり、乾燥ムラが起こるといった現象が起こる場合があります。乾燥フィルターで取りきれなかったホコリはヒートポンプや乾燥経路に溜まって詰まることがあり、そのまま使い続けると故障する場合があります。
糸くずフィルターも長らく放置すると、排水フィルターに詰まったゴミがヘドロ化し、排水管の中の水の流れが悪くなり、排水にかかる時間が遅くなります。また、水漏れや排水不全につながり、最悪の場合故障することも」
こうしたお手入れが苦手な人は、お手入れの手間が省けるドラム式を選びたい。田中さんがおすすめ製品を2点、教えてくれた。