健康・医療

《市販薬・処方薬の「副作用」最新情報》厚労省管轄の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」が公開したものをリスト化

種類・報告例が多い精神科の薬

生活習慣病の薬とともに種類・報告例が多かったのは精神科の薬だ。

「その中でも報告例が多い『リスペリドン』は幻覚やせん妄を軽減させる第二世代の抗精神病薬で、SDAと呼ばれるグループに属します。老人性の神経症などでも処方されることが多い。セロトニンやドーパミンなど脳内伝達物質を遮断する薬なので、意識レベルや注意力はどうしても低下します」(長澤さん)

脳に作用する薬は副作用も強く、また気がつきにくい。服用には慎重になるべきだろう。

「今回のリストに入っていませんが、抗認知症薬も副作用が強く、気をつけるべき薬の1つです。脳を活性化する薬ですが、活性化しすぎて夜に眠れなくなったり、不穏状態になる。そのうえ認知症にはほとんど効かないどころか、現場の感覚ではかえって症状を悪化させると感じます。それを裏付けるエビデンスもたくさん出ており、海外では保険適用から外すと決めた国も出ています」(岡田さん・以下同)

岡田さんは、リストを見ながら薬の取捨選択を行ってほしいとアドバイスする。

「このリストは症例ごとでも公開されており、〈副作用発生後の状況〉についても報告されています。たとえば20代男性が催眠剤の一種『アルプラゾラム』の副作用として離脱症候群などになったと記載されていますが、この例では『後遺症あり』となっている。

多くが『回復』あるいは『軽快』となっている中、後遺症が残ったり『死亡』となっているものもあるので、注意して見た方がいいでしょう」

どうしても高齢になるとのむ薬が増えるが、本当に必要なのか見極めは必要だ。

「5剤以上薬をのんでいると副作用が出やすいというデータがあるうえ、のみ合わせで新たな副作用が生じたり薬の副作用が別の病気だと誤認され、さらに薬が出る『処方カスケード』が起きる可能性が高まる。減薬したい場合、医師や薬剤師などに相談してからにしてください」(長澤さん)

冒頭のAさんのように、副作用があっても報告していない人や、副作用そのものを見過ごしてしまう人は少なくない。リストは氷山の一角と捉え、どんな薬にも副作用があることを胸に留めたい。

一般的な市販薬で副作用が報告されている
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出典/独立行政法人医薬品医療機器総合機構「患者副作用報告の状況」(’2003年4月1日〜’2004年3月31日)
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出典/独立行政法人医薬品医療機器総合機構「患者副作用報告の状況」(’2023年4月1日〜’2024年3月31日)
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※女性セブン2024年9月5日号

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