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《終活の第一歩》エンディングノート作成でつまずかないコツは「客観的な事実だけを書く」

エンディングノート
上手なエンディングノート作成のコツをプロが解説(写真/photoAC)
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大切な人たちに迷惑をかけないようにと考える「きちんとした人」ほど、終活の第一歩としてエンディングノートの作成を検討するケースは多い。しかし、いざ始めて見るとエンディングノートの作成は意外と難しいもの。そこで、『終活1年目の教科書 後悔のない人生を送るための新しい終活法』(アスコム)を上梓した、1級FP技能士の黒田尚子さんに、エンディングノートを書くコツと、それ以外にやっておきたいことを教えてもらった。

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意外と難しいエンディングノート

エンディングノートの作成につまずく理由はさまざまあるものの、「最大の理由は、内容が多岐にわたっていて、多すぎる。これではないでしょうか」と黒田さん。

一般的なエンディングノートは、本人、家族・親戚、友人・知人の基本情報などの「【1】プロフィール」、貯蓄や保険、不動産、年金などの「【2】お金に関すること」、医療や介護の希望などの「【3】体に関すること」、葬儀の形式や墓、遺影、遺言書の有無などの「【4】エンディングに関すること」といった4つに分かれており、項目に沿って書くだけでも多くの情報を記載することになる。

さらに、多くのエンディングノートでは事実を書く欄と思いを書く欄が混在しており、これもエンディングノートの作成を難しくしている要因だ。

エンディングノート
書くことが多く、エンディングノートの作成は難易度が高い(写真/photo AC)
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「例えば、【1】に、今後の夢や希望、家族との思い出を書かせる欄、【4】に家族へのメッセージや感謝の気持ちを書かせる欄があったりします。もちろん、『思い』なら、スラスラ書けるという人もいるでしょう。でも、なんだか、ちょっと、どう書けばいいか悩みませんか。それに、自分が亡くなった後、なくて家族が困るのは『事実』のほうです」(黒田さん・以下同)

脳トレだと思ってエンディングノートに「事実」を書く

そこで、黒田さんがおすすめしているのは、客観的な「事実」だけを書くことと、それを脳トレだと思って書くことだ。

具体的には、自分の氏名、生年月日、住所、既往症、かかりつけ医といった「基本情報」、金融機関名と支店名、口座番号、証券番号といった「財産に関する情報」、加入している互助会やプラン、契約している葬儀社があるならその情報、墓地の年間管理費などの情報、遺言書の有無といった「供養・相続に関する情報」の3つを、何も見ずに記載できるか試してみることをすすめている。

ノート
エンディングノートには事実だけを書いていく(写真/photo AC)
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「事実を整理して書き込むので、悩むことがありません。口座があったか、パスワードはなんだったか……改めて考えてみると、ちょっとした認知症予防にもなりそうです」

必ず伝えておくべき4つの「希望」

黒田さんは、エンディングノートには事実を書けばいいと話すが、それでもエンディングノートに限らず、何らかの方法で、必ず伝えておいてほしい4つの「希望」があるという。それは、「余命告知をしてほしいか」、「延命治療をしたいか」、「どこで最期を迎えたいか」、「臓器提供をしたい」の4つだ。

「まさに、自分がどのように人生の最期を迎えたいか、という大切な意思表示です。ですから、それぞれに対する希望や要望と、その理由をセットにすることをおすすめします」

さらに「きちんとする」なら、「お泊まりセット」を準備

エンディングノートをしっかり書いているだけでも、十分「きちんとした人」と思われるが、さらにきちんとしておきたい人は、「お泊まりセット」を準備しておくのがおすすめだ。検査入院や外出先での事故によるものなど、突発的な入院は誰にでも発生する。そんなとき、あらかじめ「お泊まりセット」を用意しておけば、家族や大切な人には「お泊まりセット」を持ってくることだけをお願いすれば良く、かかる負担をぐっと減らすことができる。

「数日の旅行の時にも使えますし、災害など緊急時にも役立ちますね。『どこかにちょっとお出かけする』くらいの意識で準備をすれば気楽ですし、本当に旅行に行きたくなったら、そちらの計画も立てながら楽しめばいいと思います」

お葬式の準備もしておく

黒田さんは、人生最後のライフイベントである「葬式」について準備しておくこともすすめている。「自分の葬式はこんな風にしてほしい」と明確に考えている人はおそらく多くはないが、「自由に想像してみるだけでも、意外に楽しいのではないでしょうか」と黒田さんは話す。

「残される側の視点から考えると、この大きなイベントを託されて亡くなられるよりも、きっちり準備してから亡くなったほうが、『最後の後始末までしっかりやってくれてありがとう!』という気持ちになると思います」

墓じまいで残された人の負担を減らす

「墓じまい」も終活で考えておきたいことの1つだ。墓じまいとは、墓石を解体・撤去し、お墓のあった場所を更地にして、永代使用権(お墓を使用する権利)を墓地の管理者に返還すること。墓じまいをした後は、元のお墓から出した遺骨を別の場所や別の形で供養する必要がある。

お墓
墓じまいもしておくと、残された人のためになる(写真/photo AC)
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お墓が不便な場所にあったり、自分がいなくなった後に墓守となる人がお墓の遠方に住んでいたりする場合、お墓の管理には多くの時間とお金がかかる。墓じまいにも費用はかかるが、この先何年も必要になる墓守の負担も踏まえて一度きちんと考えておくことが大切だ。

「以前は、あくまでお墓は継承していくものとされていましたが、今は自分たちの生活を基準にしたお墓のあり方を考える時代になってきています」

◆教えてくれたのは:CFP、1級FP技能士・黒田尚子さん

白いジャケットの女性
CFP、1級FP技能士の黒田尚子さん
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くろだ・なおこ。CNJ認定乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格。大学卒業後、日本総合研究所に入社。在職中にFP資格を取得し、その後FPとして独立。医療、介護、老後、消費者問題などに注力しながら、一般社団法人患者家計サポート協会顧問や城西国際大学の非常勤講師も務める。著書に『終活1年目の教科書 後悔のない人生を送るための新しい終活法』(アスコム)など。

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