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【50代からの稼げる資格】企業が魅力的に感じる「ITパスポートの資格を持った中高年」 “人生経験に最新の知識が備わっている”ことが希少価値に

資格があれば50才を過ぎてからの転職が有利になる(写真/PIXTA)
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総務省の統計によれば、2022年の65才以上の就業者数は1968年以来過去最多の約912万人にのぼる。70〜74才の高齢者の33.5%、65〜69才は実に半数以上がなんらかの仕事をしており、このままいけば2040年には60才以上の働き手は、いまの1.4倍の2031万人にもなるとされる。

だが、いざ50才を過ぎてから就職や転職に踏み切るとなると、どうしても年齢や体力が足かせになることも少なくない。そこで、ハンデを打ち消す強い味方になってくれるのが「資格」だ。50才を過ぎてからでもチャレンジできて、本当に仕事に役立つ、お金になる資格をご紹介しよう。

50才以上でITパスポートという「希少価値」

事務や経理の分野をめざすなら、やはり簿記の資格があると心強い。現在は内容が刷新されているため、すでに持っている人も勉強し直す方がいい。500以上の資格を持ち、資格ソムリエとして活動する林雄次さんが解説する。

「簿記検定は2級以上であれば重宝されやすいでしょう。『建設業経理士』など、分野・業種別に分かれている資格と組み合わせるとさらに有利になります。

ファイナンシャル・プランナー(FP)も、2級以上でないと仕事にはつながりにくい一方、学んだことを自分の家計に生かすことができるので、取得をめざして勉強するだけでもメリットのある資格です」

「今後、仕事につながる資格」になる可能性から注目を集めているのはやはりIT系だ。代表的な資格は「ITパスポート」。国家試験である情報処理技術者試験のうちもっとも難易度が低い資格で、IT技術やリテラシーの基礎を理解できているかが問われる。東大卒で現在982もの資格を持つ資格コンサルタントの鈴木秀明さんが語る。

「いまのうちに自己研さんとして勉強しておくことで、いずれ訪れるAI開発人材不足に向け、さらなる上級スキル取得の礎となるでしょう」(鈴木さん・以下同)

しかも、50才以上がこの資格を持っていると、それだけで重宝される可能性が高まるという。それはひとえに「希少価値」の高さによるものだ。

「ITの領域は年を取るほど不得手な人が多くなります。“60才なのに最新のテクノロジーを理解している”という人材は、年齢を重ねたからこその対応力や人生経験に最新の知識が備わっているため、企業からすれば魅力的。また、資格を生かしてIT講師などになれば、同世代の気持ちがわかることから、若者にはない強みを発揮することができるはずです」

民間資格から国家資格に“昇格”したドローン免許なども

「新しさ」で勝負するなら、最新の「国家資格」に挑んでみてもいい。賃貸不動産経営管理士(2021年)のように、民間資格から国家資格に“昇格”した資格は少なくない。

「昨年は愛玩動物看護師が国家資格になったほか、ドローン免許やキャリアコンサルタントも国家資格に移行しています。また今年はインバウンド需要を見越して日本語教員が国家資格化しました。

新たに国家資格になるということは、国を挙げて業界の人材育成が行われるということ。業界自体が伸びていく兆しなので、仕事の数が増える見込みもあるといえます」

意外な武器になる「趣味系資格」

とはいえ、興味のない分野や苦手なことを一から学び続けるのは難しい。

「いまや、収入や仕事のためだけに資格を取る時代ではありません。自分の関心がある分野で、打ち込めることに関する資格を取り、人生の質を高めるツールとして活用しましょう」

働き方の多様化が進むいま、「世界遺産検定」「ことわざ検定」などの趣味系資格も、やり方次第で仕事に生かすことができる。

林さんがすすめるのは「ワインエキスパート」だ。

「ワインの資格といえばソムリエを連想する人が多いでしょうが、ソムリエは飲食店勤務の人しか取れません。ワインエキスパートは職業に関係なく取得でき、ワインスクールなどでワインを教えることができます。例えば“おばあちゃんエキスパートが教える……”などと銘打ってSNSや動画サイトで発信すれば箔がつくでしょう。もちろん、飲食店への就職では引く手あまたになるはず。

SNSや動画サイトでワインについて教えることができる(写真/PIXTA)
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それ以外にも、好きなもので検索すればだいたいは検定があります。私が持っている中でも特に引きが強いのは『唐揚検定』。無料で取れるのに、持っているだけで話題に事欠きません」(林さん・以下同)

著名人にも有資格者が多い「温泉ソムリエ」は動画サイトなどで情報発信できる人にとっては取得価値があるが、誰もが仕事に直結させられる資格とは言いがたい。

「誰でも取れる有名な資格はあまり引きがありません。有名人にも取得者が多い野菜ソムリエなどはその筆頭で、受講料を払ってスクールに通わなければいけない点からも、コスパがいいとはいえません」

“究極の資格”は僧侶

興味を持って打ち込める分野であり、かつ仕事に直結し、コンテンツ力も高い──そんな“究極の資格”として林さんが取得したのは「僧侶」。

「年に何度か京都の本山に行かなければなりませんが、言葉の持つ説得力が上がり、SNSでの発信にも厚みが増しました。将来的に後継者のいない寺を継ぐことができる人もいるでしょう。もちろん、女性も取得できる資格です」

好きな資格に本気で打ち込めば、生きがいも収入も手に入れられる未来がくるかもしれない。

50才からでも稼げる士業系から趣味系までの資格15選
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※女性セブン2024年9月12日号

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