健康・医療

厚労省管轄のPMDAに寄せられた処方薬の“副作用報告”から「死亡」「後遺症あり」「未回復」となった事例を抽出 その薬の「実名リスト」を公開 

処方薬の副作用に苦しむ人が多くいる(写真/PIXTA)
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薬の多剤併用が問題視されるなか、自宅で処方薬を受け取れるサービスが相次ぎ登場している。筆頭はネット通販最大手Amazonが、服薬指導から配送までを一手に担う「Amazonファーマシー」だ。料理宅配サービスUber Eatsでも、今年3月より処方薬の配達を開始。これまで以上に処方薬を手軽に手に入れられるようになり、病気や不調から短時間で回復できる人が増えた一方、服薬後、かえって体調が悪くなった「副作用」に苦しむ人もいる。

臨床では確認できなかった予期せぬ症状が出ることも

医薬品の副作用による健康被害の救済を担当する厚生労働省管轄の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」には、医師から処方された薬をのんだ結果、副作用に体が蝕まれ、いまも回復していないケースや命を落としたケースが多数報告されている。

銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが言う。

「医師の監督のもと服用することが前提の処方薬は、市販薬と比較して効果が高いゆえに副作用もきついものが少なくないうえ、販売された後、多くの人が服用するなかで、臨床試験では確認できなかった予期せぬ症状が出てくることも少なくありません」

そこで本誌・女性セブンはPMDAに寄せられた処方薬の「副作用報告」の中から最新の1年間で服用後の患者が「死亡」「後遺症あり」「未回復」と特に重篤な状態に陥った事例を抽出。「後遺症あり」とは一部回復したものの治療してもなんらかの副作用の後遺症が残ったことを表し、別掲の表にまとめた。「未回復」はいまだ副作用の症状から回復しておらず、今後もどうなるかわからない状態を指している。どちらも、薬の副作用によって日常生活になんらかの支障が出ているという深刻な事象だ。

初めての服用は注意が必要

リストの中で、薬剤師の三上彰貴子さんが注目したのは痰や気道粘膜を正常化させる「L-カルボシステイン」。

「かぜ薬として子供から大人までよく処方される薬ですが、めまいや悪寒、水疱などが報告され、それぞれ『後遺症あり』と『未回復』となっている。スタンダードな薬であっても副作用が起こりうることは知っておいてほしい。特に初めての服用や体力が落ちているときは要注意です」

一般的な薬や漢方薬なども多くの副作用が報告されている(写真/PIXTA)
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新型コロナの特効薬として脚光を浴びた「ゾコーバ」に警鐘を鳴らすのは、新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんだ。

「副作用が強いうえ、一流医学専門誌に“データを飾っているのではないか”と多くのコメントが掲載されるほど効果に懐疑的な専門家が多い。いまは症状のほとんどが発熱だけですから普通のかぜ薬で充分です」

ほかにも、生活習慣病の薬や漢方薬など、多くの人が処方される薬も副作用が報告されている。

「特に向精神薬や血流を改善する薬、抗生物質の名前が多い。服用している人は特に注意してください。

また、副作用は個人差が大きいうえに気がつきにくく、9割の人は報告していないと思われます。つまり、このリストは氷山の一角であると言える。処方薬は医師の指導のもと慎重に服用してほしい」(長澤さん)

薬を毒に変えないよう、リスクを知っておこう。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構「患者副作用報告の状況」(2023年4月1日〜2024年3月31日)をもとに本誌作成
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独立行政法人医薬品医療機器総合機構「患者副作用報告の状況」(2023年4月1日〜2024年3月31日)をもとに本誌作成
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「薬の実名」と「副作用」最新報告リスト
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※女性セブン2024年10月24・31日号

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