健康・医療

《正しい歯のみがき方&間違ったみがき方》「歯みがき粉はたっぷりが正解」「酸の強い食品を口にした後はすぐみがくのはNG」

歯磨きをする中年女性 白背景
正しい歯のみがき方&間違ったみがき方とは?(写真/イメージマート)
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虫歯と歯周病を防ぐには効果的な歯みがきが重要。加えて、ホワイトニングで強く輝く歯を作ることが大切。女性の平均寿命は60年前と比べて20才近く延びているが、余命が20才延びると食事回数は生涯で2万回増えるという。死ぬまで自分の歯でおいしく食べるためにデンタルケアを見直そう! そこで、自分の歯に合った歯ブラシの選び方や、正しいみがき方と残念なみがき方など歯のための最新情報を、歯科医師の高柳篤史さんに聞いた。

日々の歯みがき+定期的な健診の両輪

日本人の約8割が1日に2回以上、歯みがきをしているというが(令和4年厚生労働省「歯科疾患実態調査」より)、虫歯ゼロの人は少なく、加齢とともに歯周病に悩む人は多い。高柳さんは、次のように説明する。

「歯の治療は歯科医師が行いますが、日々の歯のケアは自分自身でしなくてはなりません。とはいえ口の中は複雑な形をしていて丁寧にみがいても、汚れを落としきれないのが実情です。

かかりつけ医による定期健診やクリーニングと、自分に合う歯ブラシで“適切な歯のセルフケア”を両輪で行うのが、歯の健康を保ち、長持ちさせるカギです」

歯ブラシの選び方も重要 人それぞれに合う歯ブラシは異なる

毎日の歯みがきでは、みがき方に重きが置かれるが、実は歯ブラシの選び方も重要なポイント。ブラッシング時間の長短や、みがき残しの量などで、人それぞれに合う歯ブラシは異なる。

たとえばブラッシングに時間をかけてみがき残しが少ない人なら、奥や歯の裏まで細かくみがける「小型・コンパクト」タイプが、ブラッシング時間が短くてみがき残しが多い人は「大型・幅広」タイプが最適という具合だ。

歯ブラシの選び方の図
歯ブラシはどう選ぶ?
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「歯みがきは一生続く習慣で、理想的なみがき方を継続することは難しく、日常のみがき方に合った歯ブラシを使っていなければみがき残しやみがき漏れが多くなります」(高柳さん・以下同)

近年は口腔ケアが重要視されるようになり、歯ブラシの種類は多種多様。

「歯ブラシの毛の太さは、一般的に0.2mm前後。細微な隙間には入らず、虫歯発生源には届きません。また、ヘッドの毛先が太くて硬いと清掃性に優れますが、細かなところはみがきにくい。

一方、やわらかな極細毛ほど、細かいところまで届くものの一度にかきだせる歯垢の量は少なくなり、歯垢を除去するのに多くの時間を要します」

歯ブラシの毛先のタイプ
歯ブラシの毛先のタイプ
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自分の歯みがき時間やみがき方から、毛の硬さや歯ブラシの大きさを選ぼう。

歯みがき粉は、高濃度フッ素配合タイプを選んで2分以上みがくと歯面にフッ素が留まり、虫歯予防に効果的。

「歯みがき粉の基本成分には汚れを落とす清掃剤(研磨剤)も入っています。国内の市販歯みがき粉は、通常の使い方で80年使い続けても歯の摩耗はわずかで、安全性が国際標準化機構(ISO)で担保されています」

あなたはどっち? 正しいみがき方と残念なみがき方

歯みがき粉は「少しだけつける」or「たっぷりつける」

毛先に歯みがき粉を少しだけつけるより、たっぷりつけるのが正解。

「以前は、あまり泡を立てるとみがきにくく、みがき残しが増えるため、少ない歯みがき粉でみがくことが推奨された時期もありました。現在は、1000〜1450ppmの高濃度フッ素入り歯みがき粉をブラシ部分の3分の2以上につけることが推奨されます。

虫歯のリスクが高い奥歯の溝などに最初に歯みがき粉をつけてから全体をみがけば、虫歯予防に有効です」。

歯ブラシ
6才からシニアまでは約2cmが◎。生後6か月頃〜2才は米粒大(1~2mm)、3〜5才は豆粒大(5mm)が目安
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奥歯をみがく際には、「口を大きく開ける」or「あまり開けない」

奥歯をみがく際、口は閉じた方が奥までしっかりみがくことができる。

「みがき残しがないよう鏡で口の中を見ながら歯みがきするかたもいるかもしれませんが、口をやや閉じてみがいた方が、奥まで歯ブラシが届きやすくなります」

歯みがき後、「大量の水ですすぐ」or「少量の水ですすぐ」

「歯みがきはフッ素を歯面に留めるのが重要。すすぎすぎないことが大事です」。

みがいた後のうがいは、できるだけ少量(10ml・おちょこ3分の1程度)の水で、1回行うのが理想的。歯みがき後2時間程度は食事も控えよう。

酸の強い食品を口にした後、「すぐ歯をみがく」or「うがいをする」

歯みがきのタイミングは、実は食べ物で異なる。

「食酢やクエン酸飲料などの酸性食品を口にした直後は歯の表面がやわらかくなるため、食後すぐの歯みがきはNG。特に冷たいものが歯にしみたり、歯茎が下がっている人は口をゆすぎ、フッ素入り歯みがき粉で約30分後に歯みがきを」。

【ブクブクうがいのやり方】

のどを洗浄するガラガラうがいと違い、ブクブクうがいは以下の手順で行う。

ブクブクうがいのやり方
ブクブクうがいのやり方(イラスト/うえだのぶ)
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【1】最初に水30ml(大さじ2)を含んだら左右のほほを膨らませ3回ずつブクブクし、水を吐く。

【2】また水を含んだら上唇と上の歯の間を膨らませ3回ブクブクする。

【3】下唇と下の歯の間も同様に行い水を吐く。

【4】最後に水を含み、口全体を3〜4回ブクブクすれば、口の洗浄と筋トレの一石二鳥に。

◆教えてくれたのは:「高柳歯科医院」院長・高柳篤史さん

歯科医師、博士(歯学)衛生学専攻、東京歯科大学衛生学講座客員教授、日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座兼任講師。「はみがき学の会」を主宰。

取材・文/北武司

※女性セブン2024年11月21日号

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