中途半端に空いている土地はうまく活用することで、売るよりも収益を得ることができる場合がある。土地の広さやエリア、管理方法など、条件によって活用方法はさまざまだという。節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、詳しく教えてもらった。
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近隣のニーズに合った活用を
基本的にはどのような活用方法でも一定の管理が必要になるため、手軽さを求めるのであれば、土地をそのまま貸し出すのがいいでしょう。ただ、収益のことを考えるのであれば、近隣のニーズを調べて、ニーズに合った活用をするのがおすすめです。
私も実家の空き地の活用方法を検討していますが、近隣に温浴施設があるため、EVステーションとして活用し、温浴施設の利用者に利用してもらうことなどを親に提案しています。
ただし、何かを設置する場合は初期費用や運営費用がかかることがほとんどなので、採算を十分に検討してから導入するようにしましょう。
土地が広く、予算がある場合は駐車場やコインランドリーなど
空いている土地の広さによって活用方法は異なります。土地が広いのであれば、まず考えられるのは駐車場です。EVステーションやカーシェアの置き場の需要がある場合もあるでしょう。
近所にコインランドリーが少ないのであれば、コインランドリーを作って運営するという活用方法もあります。一例ですが、ランドリー機器の卸業者のTOSEIの公式サイトによると、10坪(33平方メートル)の都市型店舗で機器を5台置いた場合、工事費等を含む初期費用は2100万円〜、機器のローン返済分等も含むランニングコストは1か月あたり約37万円が目安になるようです。(https://www.tosei-corporation.co.jp/special/cl_33/)
LUUPポートや太陽光パネルなどに適したエリアも
空地が都心部であれば、LUUPやダイチャリなどレンタルサイクル系のポート(置き場)にするのもおすすめです。
日照時間の長いエリアなら、太陽光パネルを設置するという選択肢もあるでしょう。ただ、太陽光パネルは補助費用が出る一方で、近隣住民への配慮はもちろんのこと、点検費用の維持管理費に加え、最終的にかかる処分費用は高額になるため、売電で収益が出そうかどうかをきちんと計算してから設置するようにすることをおすすめします。
土地が狭い場合は家庭菜園やレンタル倉庫としての貸出など
土地が狭い場合は、家庭菜園の場所として貸し出したり、プレハブを建ててレンタル倉庫として貸し出したりする方法もあります。
自動販売機の設置なども考えられますが、自販機荒らしなどセキュリティー面の懸念がある点が難点です。私も以前、実家の空き地に自動販売機を設置していたことがありますが、自販機内の現金を取られてしまうことがあり、設置するのをやめました。きちんと管理ができるのであればおすすめですが、セキュリティー面のリスクも考慮したうえで判断するといいでしょう。
管理負荷が低くおすすめなのは家庭菜園や駐車場
遠方の土地や土地自体が狭い場合は家庭菜園、一定の広さがある場合は駐車場が比較的管理負荷が低いといえるでしょう。また、近隣の状況で資材置き場として需要がある場合もあります。
特に、駐車場は初期費用が比較的少なく済む点もメリットです。特別な機器を置かずに、個人や企業と契約する月極駐車場は管理も楽です。ただし、初期費用がかかっても収益性をあげたい場合、都心部ならば回転率と料金単価が高いコインパーキングのほうが収益を期待できるでしょう。
不動産屋に相談するのが基本的には安心
しっかりと管理・運営に関われるのであればさまざまな活用方法がありますが、管理・運営にはリスクもあります。基本的にはまず、貸したい土地があるということを不動産業者に相談してみるといいでしょう。手数料などは発生しますが、借主や利用者との仲介をしてもらうことで、管理の手間が減ったり、トラブル回避もしやすくなったりします。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり