たくさん稼ぎたい、ちょっとした副収入がほしい──そんな願望を叶えてくれる副業。だけど、年を重ねると新しいことを始めるのが憂うつになるのも事実。そんな人は、とりあえず余っている時間と場所を使ってみては? いままで無駄にしていた「スキマ」があなたの生活を一変させます。【前後編の前編】
スキマバイトアプリ活用で増える選択肢
家計に重くのしかかる物価高に、高まる光熱費、不安な老後資金と、「お金はあればあるだけいい」というのは誰しもの本音だろう。
「本業の給与アップは望めない」「いまさら新しい仕事なんて」と二の足を踏みがちな50代やシニア世代のなかにも、特別な技術も大きな労力もなしで上手に儲けている人がいる。
「持て余していた、本業の“暇な時間”に稼いでいますよ」
そう笑うのは、普段はクリーニング店で受付のパートをしている東京都在住のAさん(55才)だ。
「地元の公民館で管理人の仕事をしています。管理といっても利用者の入館手続きと退館手続きをするだけなので、その間はやることがないから本を読んだり、テレビを見たり、何をしても自由。たまにはうたた寝することも(笑い)。
最近では“この時間を有効活用しよう”と思い、シール貼りなどの内職を持ちこむようにしました。いわゆるWワークで、収入は月に4~6回出勤して4万円前後、内職分を足すと月6万円になります」
そうしたスキマ時間や空きスペースを活用する「スキマ副業」は、探せばいろいろある。専門家や実践している人たちの話を聞いて、自分に合った稼ぎ方を探してみよう。
働き方の多様化とともに、短時間でもできる仕事を探せるマッチングアプリが増え、スキマバイトの選択肢は増えている。
中高年でも『タイミー』で仕事探しが容易に
節約アドバイザーの丸山晴美さんは「中高年でも、スキマバイトアプリ『タイミー』などを使えば簡単に仕事を見つけることができます」と話す。
「飲食店やコンビニなどでのレジ打ちのほか、おすすめは“お掃除系”。ホテルなどの宴会場の食器洗浄や清掃のアルバイトが時給1400円前後であり、競争率も低いので穴場です」(丸山さん)
神奈川県に住むBさん(50才)は、介護との両立が難しくなったためパートを辞め、「タイミー」を利用し始めた。
「働くのは1回2~3時間程度。義父母を病院に送迎するときの待ち時間などを活用しています。仕事は皿洗いや物流会社でのピッキング、工場での箱の組み立てなどの軽作業で、誰でもできることばかり。月に3万~4万円ほどですが、主婦のお小遣いとしては充分です」(Bさん)
足りなくなった傘を補充するアルバイト
ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、副業にも詳しい芸人・フルマユコさんは「家事代行マッチングサイト」をすすめる。
「プロでなくても、主婦なら経験があるので家事代行は充分にこなせます。紹介サイトには“トラブルがあった場合は個人間で解決”というところが多いですが、例えば『タスカジ』なら、万が一モノを壊したりお皿を割ってしまったりなどのトラブルがあっても会社の補償があり、スポットで1日3時間からできるのでシニア層のかたも始めやすいです」(フルさん)
移動中のちょっとした時間にできる補充系のスキマ副業もある。最近、駅でよく見かける「傘のシェアリングサービス」も、支えているのは傘を補充するアルバイト。フルさんがその仕組みを解説する。
「事前に登録しておくと、“○○のスポットに傘が残り少なくなっているので、△△のスポットから移して補充してください”といった通知がくるので、やりたい人がその場で応募する。外出中にスマホでチェックし、移動や散歩のついでにできそうなら引き受ければいい。同じように、コンビニなどのチャージスポットにあるスマホのレンタル充電器を補充するバイトもあります」
全日本趣味起業協会代表理事の戸田充広さんがすすめるのは、外出中にほったらかしていても増えていく「ポイ活」だ。
「通勤や買い物など、歩くだけでポイントがたまっていくアプリなら誰でも始めやすい。普段から『TikTok』を見ている人なら、『TikTok Light』というアプリに変えれば、電車の中などで動画を見ている時間や“いいね”を押した数などに応じてポイントがたまります。ポイントはPayPayポイントにも交換できるので、使い勝手がいいですよ」