「恥ずかしくて病院にはなかなか行けない」と放っておいて悪化するケースが多い「痔」。イラストレーターのてらいまきさん(38才)が実際に経験した痔との奮闘劇を語ってくれた。
20才で自覚していたものの「恥ずかしくて病院に行けない」
ていらさんが本格的に痔と自覚したのは、20才のときだった。
「おしりの内側のいぼ痔(内痔核)が大きくなり、いきむたびに外に出てくるほどでした。例えるなら、おしりに“親指くらいのプリッとした何か”がついているような感覚です。トイレのたびに外に飛び出してくるのを毎回指で押し戻すと、“やわらかい内臓を押し込んでいる”感触。
当然痛いですし、うまく戻せたと思ってトイレを後にした途端に『ツルッ』と出てきてしまうこともあり、そんなときの痛みは“アルマゲドン級”です。外出先で一緒にいる人を待たせてしまうのも苦痛でした」(てらいさん・以下同)
それでも、恥ずかしさから病院に行くことはできなかった。
「両親にしか相談できず、自分で市販薬を使ったり、庭に生えていたドクダミをすりつぶしておしりに塗る民間療法をやってみたりしましたが効果ナシ。そうこうしているうちに、痔を自覚してから8年も経ってしまっていました」
8年放置して「大量出血」…近所の病院に駆け込む
そんな中、ある日トイレで大量出血したことで、ついに自宅から徒歩10分の肛門科に駆け込んだ。
「最初は“おしりを診られるなら女医さんがいい”と思っていたのですが、出血があまりにもひどくて。便器が血で真っ赤に染まり、拭いても垂れてくるほどで、“一刻も早く病院に行った方がいい”と感じました。いざ行ってみたら、待合室には若い人やおしゃれな女子も多く、それまで抱いていたイメージとは真逆。先生は50代くらいの男性でしたが、“触診が痛かったらどうしよう”という不安の方が大きくて、恥ずかしくなることもありませんでした。
“中に3つ、外に1つ痔があります”と言われたときの衝撃は忘れられません。その場で中のいぼ痔を輪ゴムで縛って壊死させる結紮手術を受けたら痛みも出血もなくなり“あの8年間はなんだったんだろう”と拍子抜けしました(笑い)」
ところが、しばらくすると外側の痔が急激に悪化。
「1分おきくらいに『ズギュン』と、座っていられないほどの痛みが走るんです。実はその2日後に、婚姻届の提出を控えていて。提出後には夫と義両親と旅行に行く予定があり、“絶対に治さないと旅行に行けなくなる!”と、また急いで病院に向かいました」
切除手術後、2度の出産を経て再発
そのまま痔を無事切除し、旅行も楽しむことができたてらいさんだったが、2度の出産を経て再発し悪化。産後2か月で、再び手術を受けることになった。
「いまは痛みはありませんし、痔核が出てくることもありませんが、“一生痔と無縁になった”とは思えません。もともと、ヨーグルトも食物繊維も効かないほどのひどい便秘体質なので、とにかく便を硬くしないよう、唯一効果を実感した酸化マグネシウム剤は様子を見ながら服用を続けています。下着に貼るカイロはケチらず、箱買いしています」
体験談を発信したことで、多くの知人から「実は私も…」と、相談を受けることが増えたという。
「8年も放っておいた私が言うのもなんですが、“とにかく病院に行って”と強くすすめています。肛門科のハードルが高いのは最初だけ。痔の治療は何回も通うことになるので、女性の医師がいるかどうかより、家から近いかどうか、話しやすく、治療の説明をしっかりしてくれる先生かどうかの方が重要だと思います。誰もが恥ずかしがらずに、かぜくらいの気軽さで“痔になっちゃった”と話せるようになれば、もっと病院にも行きやすくなるのに、と常々思っています」
※女性セブン2025年1月1日号