マネー

《いまこそ加入すべき保険》貯蓄や資産運用を兼ねた“一石三鳥”の「変額保険」「外貨建て保険」は加入者増加 “老後の救世主”となる「個人年金保険」のメリット

50才を過ぎてから加入すべき保険とは(写真/イメージマート)
写真3枚

人生で起きうる“もしも”に備えて入るのが「保険」。しかし、その保険料が家計に重くのしかかってくることもある。だからこそ、不要な保険は解約し、必要なものやお得な保険にだけ加入しておきたい。では、50才を過ぎて人生後半戦に入る時に「いまこそ加入すべき保険」とはどんなものなのだろうか。

“一石三鳥”の「変額保険」「外貨建て保険」

保険というと、病気やけが、事故などのリスクに備えるイメージが根強いが、いまや「貯蓄」や「年金」、「資産運用」としても活用する人が増えているのだ。「死亡」や「入院」といった要件に左右されずに保険金を受け取れるので、より老後に有利になる。

「長い老後を生きる上で、保険はお金の不安を抱える人の助けにもなる」と話すのはファイナンシャルプランナーの松浦建二さんだ。

「いま、日本はようやく金利がある時代に戻りつつありますが、ただ銀行に預けるだけでは思うようには増えません。新NISAやiDeCoは預金より効率的に運用ができて税金面での優遇もあるため、投資のムーブメントは高まっていますが、どうしてもリスクがつきまとう。

生命保険はそうしたリスクの受け皿にもなり、もしものときの保障もついている。まさに、安心を買うことになるのです」

公的年金と生命保険を組み合わせれば一生安心となる
写真3枚

現在、生命保険の新規加入者はコロナ禍から倍増。生命保険文化センターの統計によれば、「夫婦ふたりで揃って加入」する人が増えつつある。また、お金を増やして守りたいと、定期保険ではなく終身保険を選ぶ傾向も見てとれる。

「特に加入者が増えているのは、貯蓄型保険の中でも運用次第で受取額が変わる『変額保険』や『外貨建て保険』。株などで運用するので、日米の株高や金利上昇の影響を受けて注目する人が増えているのでしょう。保障だけでなく、貯蓄や資産運用も兼ねた“一石三鳥”の商品です」(松浦さん・以下同)

保険会社各社は、金利上昇に伴い予定利率の引き上げを発表するなど、保険を取り巻く環境も好転しつつある。

「保険商品の設計上の前提となる運用利回りを高めに提案できるということは、各社が保険料を安くしたり、保険金を増やすことにもつながる。学資保険や円建ての個人年金保険など定額の商品にも、いい影響を及ぼすと考えられます」

配当金だけで年間の年金額を上回る

なぜ、保険が老後の救世主となるのか。私たちの老後を支える基盤としてあげられるのが公的年金だが、物価上昇ほどは増えない仕組みで、少子高齢化で先行きは極めて不透明。そこで注目されるのが「個人年金保険」だ。

「公的年金は生涯受け取ることができて、老後の生活には欠かせない収入源です。しかし、多くの人にとって公的年金だけを頼りにするのは難しいのが現状です。

それを補うための方法として個人年金保険に加入するという手段があります。利回りが確定しており、生命保険料控除も受けられるため、安心できる運用です」

積立型保険であれば配当金がもらえる
写真3枚

保険会社が扱う個人年金保険には、一定期間年金が受け取れる確定年金と、一生涯受け取れる終身年金の2種類がある。また年金に上乗せで「配当金」がつくものも。年金開始日前に亡くなってしまったとしても、解約返戻金と同額の死亡払戻金が支払われるため保険料が無駄にならないのもポイントだ。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが言う。

「ただし、早期の解約は支払った保険料を下回る金額しか戻らないこともあるので注意が必要です」

一方で、保険をうまく使えば、どんなに長生きしてもお金を受け取り続けることもできるようになる。

「例えば、月20万円の施設費用を75才から90才までの15年分は準備できているとしても、90才より長生きしたら、施設費用が払えなくなる不安がある。そこで個人年金保険を使えば、生きている限り年金の支払いが得られるようになり、安心です」(山中さん)

個人年金保険は公的年金とは異なり、受け取りを遅らせる「繰り下げ」をしても年金額は大きく増えない。だが公的年金を繰り下げて年金額を増やす分、個人年金保険を早めに受給してつなぎにするなど組み合わせると、より高い安心を得られる。

早期に亡くなってしまった人の保険料を長生きしている人の年金に充てる「トンチン保険」なら、それが可能になる。死亡保障はないため、“亡くなった後に誰かにお金を残したい”というニーズには対応できないが、長生きリスクに備えたい人には最適だ。

金利が高い外貨で安定的に運用できる

ファイナンシャルプランナーの牧野寿和さんは、「円よりも金利が高い『外貨建て』も保険のメリット」だと解説する。

日本の金利がほぼゼロに近いいま、アメリカなど海外では4%を超えており、プラスの資産運用が期待できるのだ。

「貯蓄性があり、為替差益や高金利のメリットを受けやすいのが外貨建て保険です。円高のときに加入していれば、保険料をより安く抑えることもできる。

ただし、現在は長らく円安の局面が続いているので、いま加入して解約する際に円高になっていれば、為替差損が出る場合もあります。よく確認して判断した方がいいでしょう」

為替に左右されるため、トランプ次期大統領就任など地政学的リスクが高まると、加入や解約に不安を覚える人もいるだろう。牧野さんは「目的を見失わないで」とアドバイスする。

「確かに、円安になると毎月支払う保険料が増えます。しかし、いま入っているものを満期まで持てば、少なくとも解約返戻金は減らないうえ、元本割れのリスクも減らせます。  また、株や投資信託とは異なり、市場の動向に左右されにくいのも保険の特徴です。もしもの場合は保障も得られるため、長期的な視点を持ちましょう」(牧野さん)

※女性セブン2025年1月2・9日号

関連キーワード