手洗い・うがいよりマスクと加湿
これから本格化する花粉シーズンに重症化を防ぎ、感染症を広げないために何をすればいいのか。有効なのが、マスクの着用だ。
「マスクを着用すれば、少なくとも自分が飛沫を飛ばすことは防げるため、ただの花粉症だと思い込んで、人に感染症をうつしてしまったという事態は防げます。あなたのくしゃみが花粉症なのか、感染症なのか、他人には見分けがつかないため、くしゃみなどの症状があるときはエチケットとして着用しましょう」
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花粉は不織布マスクを通ることはできないため、花粉症予防には高い効果が期待できる。だが、ウイルスの侵入を防ぐのは難しい。そこで有効なのが部屋の加湿だ。空気が乾燥しているとウイルスだけでなく花粉も飛散しやすくなるため、この時期は湿度を50~60%ほどに保とう。部屋だけでなく、のどの保湿も効果が期待できる。
「粘膜が乾燥していると、ウイルスに感染しやすくなります。こまめに水を飲むほか、のどスプレーやのど飴なども活用し、意識的にのどを潤してください」(長尾さん)
一方、花粉対策用のゴーグルはあまり効果が期待できない。
「いくら目を守っても、花粉が鼻や口から入ってくれば体はアレルギー反応を起こすため、意味がありません」(上さん)
「花粉の季節は鼻をかんだり、涙が出るのでメイクをしない」という人もいるが、これも逆効果。
「ノーメイクで外に出ると、花粉が直接皮膚につくことで、吸い込みやすくなります。花粉症の人ほどしっかり化粧をして、肌が花粉に触れないようにしましょう。目や鼻の周りにワセリンを塗っておくのもおすすめ。花粉を吸着し、吸い込むのをある程度防げます。 また、髪の毛は花粉がつきやすいので、この時期はヘアアイロンで巻いたりせず、ストレートのまま、まとめるのがベスト。帰宅したら上着はできれば玄関先で脱いで、できるだけすぐに手だけでなく髪や顔を洗うことも大切です」(大久保さん)
食生活の改善が効果的
帰宅後の手洗い、うがいは感染症予防においても基本だが、それ以上に大切なのはやはり、免疫力を整えること。
「感染症は免疫力の低下、花粉症は免疫力の偏りが根本的な原因なので、食事や睡眠、運動で免疫力を整えるのがもっとも効果的です。日本人は世界でもっとも睡眠時間が短いといわれているので、最低でも1日7時間以上の睡眠を確保しましょう」(上さん)
長尾さんは、感染症にも花粉症にも、食生活の改善が効果的だと語る。
「砂糖を摂りすぎると肥満細胞からアレルギー物質のヒスタミンが出ることで免疫システムが乱れ、花粉症になりやすくなります。まずは甘いものを控え、適度に太陽光を浴びて体内のビタミンDを増やすこと。
生活習慣を正して免疫力を整えれば感染症にかかるリスクを減らせるだけでなく、花粉症も年単位で治っていく可能性があります」(長尾さん)
恐れすぎずに正しく対処することも心がけたい。
「確かに、花粉の飛散量は全国的に増えていますが、前年の数倍になる地域もあれば、北海道など中には前年より少なくなる地域もあります。
飛散量は地域によって異なるうえ、天候にも左右されます。全国平均だけではなく、自分の住んでいる地域の花粉情報をこまめにチェックしてください」(大久保さん)
近年稀に見る“最悪のシーズン”は、もう始まっている。毎年花粉に苦しめられている人も、そうでない人も今年はリスクと隣り合わせ。用心深く立ち向かおう。
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※女性セブン2025年2月20・27日号