
ファッションに注目が集まるのは、皇族方の宿命だ。お出ましのたびに、装いのてっぺんからつま先までが話題に上がる一方で、選定基準やルールなど、謎が多いことも興味をかき立てる理由のひとつだろう。そんななか天皇家のプリンセスが持ち前のセンスで天皇ご一家をプロデュースしているようで──。
一般参賀にご一家でご出席
国民に向けられた笑顔は、いまだ寒さ厳しい日本列島に、一足早い春の訪れを感じさせる温かなものだった。陛下が65才の誕生日を迎えられた2月23日、皇居・宮殿で一般参賀が行われた。
愛子さまが選ばれたのはブルーグレーのドレスで、胸元には青い宝石を使ったブローチが光る。その装いは陛下の淡いブルーグレーのベストと、雅子さまがお召しになった青色のベルベット素材のドレスとリンク。あざやかなブルーのグラデーションとなり、統一感を演出された。
「途中、雅子さまが何かを見つけられたのか、お顔をほころばせると、それに気づいた陛下が笑顔で返される場面がありました。お召し物だけでなくお振る舞いからも、ご一家の仲のよさが垣間見えました」(宮内庁関係者)
一般参賀に先立ち、20日には陛下の誕生日会見が行われた。昨年6月のイギリス訪問や自然災害被害へのお見舞いなどに触れられたほか、雅子さまや愛子さまと過ごす日常についても語られた。
「愛子さまのご成長を喜ばれていることが言外にも伝わってきました。愛子さまは陛下に、日本赤十字社での仕事を詳しくお話しになっているそうで、就職したご経験がない陛下にとって、書類の提出や記録を取るといった業務が新鮮に映るようです。どうやら陛下には、社会人経験以外にも、愛子さまに『かなわない』と感じることがあるそうです」(皇室記者)
注目を集める3人のリンクコーデ
天皇ご一家が揃ったお出ましで、仲睦まじい様子とともに注目を集めるのが、3人のリンクコーデだ。リンクコーデとは、服の素材や配色を揃え、さりげなく統一感を演出したコーディネートのこと。
たとえば1月27日に国立西洋美術館(東京・台東区)の企画展『モネ 睡蓮のとき』を訪問された際、陛下は深い赤色のネクタイを着用され、雅子さまはボルドーのパンツスーツ
をお召しに。愛子さまはグレー地のセットアップの首元にレッドのニットをのぞかせて、赤色を基調としたリンクコーデを披露された。

その翌週、2月2日に車いすバスケットボールの天皇杯決勝戦を東京体育館(渋谷区)で観戦された際は、陛下のネクタイと雅子さまのスーツが水色で、愛子さまはオフホワイトのジャケットに水色のスカートと、ご一家揃って爽やかな装いを見せられた。
「このリンクコーデの“監修”を務めているのが愛子さまだといいます。雅子さまと相談しながら色味を決められ、愛子さまは小物選定なども担っているそうです。陛下は愛子さまの提案に口を挟まれることはなく、まるで“着せ替え人形”状態だといいます」(前出・皇室記者)

公務の際はネクタイ程度に限られるが、私的な場ではシャツや小物などのアイテムでご一家の絆の強さを表されている。昨年5月、ご静養のために栃木県の御料牧場に滞在された際には、3人揃ってカジュアルなチェックのシャツを着用。同年9月に那須でご静養された際も、陛下のシャツ、雅子さまのジャケット、愛子さまのワンピースがストライプ柄でコーディネートされていた。
「愛子さまが幼かった頃は、雅子さまが選ばれていたそうですが、愛子さまがその役割を受け継がれたようですね。主張しすぎず、でもどこかバランスがよい天皇ご一家のファッションは、このところ話題になることが増えています。単なる『お揃い』とは一味違う絶妙なコーディネートの秘密は、愛子さまの計算しつくしたアイディアとセンスにあるのでしょう」(前出・皇室記者)

たとえば、訪問先へのきめ細かい配慮。
「『モネ展』でリンクする色を赤にしたのは、会場の背景がワインレッドだったからだとみられます。あくまでも絵画が主役なので、ご自身たちが目立たないよう、背景に溶け込める色を選ばれたのかもしれません」(放送作家のつげのり子さん)
鴨場接遇デビューはグリーンで
愛子さまは4月には職場で後輩を受け入れる立場になられる。
「青少年・ボランティア課で働かれる愛子さまはボランティアの育成や情報誌の編集を行っており、充実した社会人生活を送られていますから、先輩としての背中を見せる準備は整っているでしょう。就職した当初はほぼ毎日出勤されていましたが、徐々にペースを掴まれたのか、最近は仕事後の公務やお出ましの機会が増えてきました。来年度はさらに公務の幅を広げられるのではないでしょうか」(前出・皇室記者)

陛下は先述の誕生日会見で、今年が戦後80年であることに触れ、《愛子にも、戦争によって亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に心を寄せていってもらいたい》と述べられた。
「今年、両陛下は広島、長崎、沖縄への訪問を検討されています。もし愛子さまが同行されるとなれば、若い世代への訴求力が高まります。愛子さまは昨年、能登半島地震の被災地を訪問される予定でしたが、直前に豪雨が襲い、訪問を取りやめに。被災地訪問は皇室が重きをおく公務のひとつなので、改めて能登訪問の日程を組まれるかもしれません」(前出・つげさん)
また、今年は愛子さまの海外公式訪問デビューも期待されていた。

「今年で外交関係樹立130周年を迎えるブラジルに行かれるのでは、という見立てがありましたが、佳子さまが訪問される方向で調整が進んでいるそうです。というのも、愛子さまには国内で果たされたい役割があるというのです」(前出・皇室記者)
両陛下は、先の大戦に関連した地方訪問のほか、4月に開幕する大阪・関西万博の開会式へのご臨席や7月のモンゴル訪問などを予定されている。
「行事が立て込んでいるだけに、雅子さまは例年以上に体調管理に気を使われるはずです。重圧のかかる雅子さまを最も身近でサポートできるのが愛子さまです。今年は雅子さまに寄り添う一年だと覚悟を決めておられるのではないでしょうか」(前出・皇室記者)
去る2月14日、愛子さまは新浜鴨場(千葉県市川市)で、各国の大使をもてなす鴨場接遇デビューを果たされた。この日のお召し物は深いグリーンで、雅子さまが1993年に初めて鴨場で接遇されたときと同じ色だった。
「当時、雅子さまは、冬場で芝生が枯れているので、自然を感じられるようにと緑を選ばれたのだと思います。愛子さまはそれを受け継ぎコーディネートを決められたのでしょう。時を超えたリンクコーデといえるかもしれません」(前出・つげさん)
雅子さまをお手本にされた愛子さまが、雅子さまを支える存在になられていく。
※女性セブン2025年3月13日号



