使用量の規制が緩い背景に食糧自給率の低さ
日本でも、もちろん食品添加物が制限なく使われているわけではなく、使用量の規制が設けられているものもあるが、なぜ諸外国に比べて緩いのか。原因として、日本の食料自給率の低さを挙げるのは垣田さんだ。
「例えば『赤色3号』のように発がん性が動物実験で認められていても、人間で認められていなければ認可される。
なぜなら、各国からさまざまな食品を輸入している日本の場合、添加物規制を厳格化すると輸入できる食品が少なくなり、食料が調達できなくなったりコストが上がる可能性がある。そうした事態を避けるため、添加物規制を強めることができないのです」
中戸川さんは別の要因を指摘する。
「日本が敗戦国というのも理由でしょう。アメリカは自国の食品添加物規制を進めていますが、一方で日本が厳しくしようとすると外圧を発動する。日本に輸出できなくなる食品が出てくるためです」
たとえば、アメリカでは果物や穀物の収穫後に、日本では禁止されている防カビ剤を散布するケースがあるが、輸入時には“食品添加物”としてスルーされているという指摘もある。
また、欧米と比べると食品安全に対する世論にも差があるという。中戸川さんが続ける。

「グルタミン酸ナトリウム(MSG)はアメリカで禁止されていませんが、『NO MSG』をアピールしなければ売れない食品もあります。あるカップラーメンの場合、日本市場向けの商品にはグルタミン酸ナトリウムが使用されていますが、アメリカ市場向けには使われていません」
日本でも脱添加物の動きがないわけではない。
「大手メーカーが独自に使用をやめた添加物も少なくありません。しかし、中小企業はコスト面からまだまだ添加物に頼らざるを得ないのです」(垣田さん)
では、われわれ消費者はどうするべきか。
「食品添加物は加工の程度が高くなるほど増える傾向にある。カップ麺やソーセージ、菓子パンなどいわゆる超加工食品を避けることで、食品添加物を体に取り込むリスクを下げることは可能です」(大西さん)
添加物を避けるためにできることは多い。自らの健康を守れるのは自分しかいないのだ。


※女性セブン2025年3月13日号