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《『問題物件』が話題》上川隆也が語る役者人生の転機 『大地の子』での仲代達矢との出会い「お芝居を極められた人の、とんでもなさを目の当たりにした」

上川隆也が振り返る役者としての転機とは(撮影/楠聖子)
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「いままで見たことのない上川隆也(59才)が見られる」と話題になっているのが、現在放送中のドラマ『問題物件』(フジテレビ系)だ。上川といえば、30才のときにNHK土曜ドラマ『大地の子』(1995年)の主役に抜擢され、以降その演技力の高さから、数々のテレビや映画、舞台に主演してきた。役者として確固たるキャリアを築いてきた上川だが、「立ち位置を狭めたくない」と、いまだ新たな役への挑戦をいとわない。そんな上川が振り返る役者としての転機とは――。「女性セブン」独占のロングインタビュー。

「どんな役に向いているのか」は、考えるに値しない

「よろしくお願いします」

穏やかな笑みを湛えてやってきた上川。鮮やかなからし色のジャケットのせいか、はたまた上川が醸し出す雰囲気のせいか、その場がふわっと明るくなる。

この日は、ドラマ撮影の真っ最中。上川演じる謎の男・犬頭光太郎の衣装のまま取材に応じてくれた。今回の役柄については、“いつもの上川とはひと味違ったクセの強さがおもしろい”などといった評価も多い。役作りについて聞くと、言葉を選びながらゆっくり話し始めた。

口調はゆっくり穏やか。どの質問に対しても、真摯に丁寧に答えてくれる上川
口調はゆっくり穏やか。どの質問に対しても、真摯に丁寧に答えてくれる上川(撮影/楠聖子)
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「いまぼくが演じている犬頭のキャラクターは、お話をいただいたときのイメージと違っていて、こうなるとは思っていませんでした。原作を読み、作品の空気感や手応えを感じてから撮影に臨んだのですが、誰と何をするかでお芝居って変わるんです。犬頭というキャラクターはパートナー役の内田理央さん(33才)との相互作用で生み出されたと思っています」

ドラマにはかわいい犬がたくさん登場することもあり、現場は和気あいあい。休憩中もキャストやスタッフと雑談しながら、演技に関するアイディアを出し合い、物語やキャラクターの個性、演技に血肉をつけているのだという。

これまで、硬軟さまざまな役を演じてきた上川だが、出演作はどのように選んできたのか。

「ぼくは、ぼく自身を評価したくないんです。というよりも、評価できないんです。ぼくはお芝居が好きなだけで、“どんな役に向いているのか”は考えるに値しないと思っているんです。だから、どんな役でも“包括して芝居する場”なんです。自分にはどんな役が向いているかを考えることで、立ち位置を狭めたくないですから」

大河ドラマ『功名が辻』(2006年放送)では主役を演じた
大河ドラマ『功名が辻』(2006年放送)では主役を演じた
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こういう役を演じてほしいと思ってもらえたのなら、自分に向くか向かないかではなく、真摯に向き合うだけなのだ。

連続刑事ドラマシリーズ『遺留捜査』の主人公・糸村聡も上川の当たり役
連続刑事ドラマシリーズ『遺留捜査』の主人公・糸村聡も上川の当たり役
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2013年1月10日から『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)のコーナー「グルメチキンレース・ゴチになります!14」で初めてバラエティー番組のレギュラーメンバーとなったが、このときも、“あの上川がバラエティーに?”と、その意外性が話題になった。

「当初は務められると思えなかったので、数回お断りしたのですが、それでもとお声がけいただいて、覚悟を決めました。2年間も続けられたことが信じられませんし、いまだにきちんと務められていたのか自信が持てません。ただ、とても勉強になりました」

演技、バラエティー、どんな求めにも結果を出す――。これは並大抵のことではない。しかし、上川は、ひとつずつそれを成功させ、キャリアを積んできたのだ。

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