
日々の食事は健康の基本。献立や食べ方に気を配るだけでなく、食事前にちょっとした工夫をするだけで、健康効果がグンとアップするという。名医や健康のプロなど健康長寿を叶える11名に何をしているのか調査。参考にしたいプロのルーティンは多い。どれもすぐに取り入れられる簡単なものばかりだ。
サプリメントをのむ
会食前に食物繊維と乳酸菌などが入ったサプリメントをのんでおくと言うのは、内科医のさとうヘルスクリニック院長・左藤桂子さん。
「会食では最初に野菜が出るとは限らないので、あらかじめ食物繊維のサプリメントをのみます。腸内細菌を活発にさせたいので生きたまま腸に届く複数菌混合のサプリメントも一緒にのむことが多いですね」(左藤さん)

食材に感謝をする
幼い頃から当たり前のようにしてきた食べ物に対する感謝も、薬剤師・薬膳アドバイザーの山形ゆかりさんの大切なルーティンだ。
「メニュー開発をする際に私は、食材の栄養や組み合わせを重要視しています。そのため、ひとりで食事をする際も、心を込めて『いただきます』と言うようにしています。食材の持つ旨みや特徴に改めて気づけます」(山形さん)

コーヒーの香りをかぐ
食前のコーヒーが健康に与える効果について、循環器専門医のおおつか医院院長・大塚亮さんが解説する。
「食前にコーヒーを飲むと交感神経が刺激され、食欲を抑えられることが明らかになっています。またコーヒーの香りには集中力を高める効果があるので、香りをかぐだけでも構いません」(大塚さん)
グレープフルーツを食べる
「グレープフルーツに含まれる成分に食欲を抑える効果がある」と話すのは、医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶さんだ。
「ナリンギンという成分で、香りをかぐだけでも効果があるとされています。ジュースでもいいですが、市販のものは糖分が含まれていることもあるので、ミキサーで搾ったものを飲むのが望ましいです。また、内服薬とのみ合わせると副作用が出ることもあるので、医師に相談を」(福田さん)
だしを飲む
多忙な毎日を送る中、昼食前にだしの効いた汁物を口にすると言うのは、婦人科医で成城松村クリニック院長・松村圭子さん。
「だしに含まれる旨み成分のグルタミン酸は空腹を抑え、心を落ち着かせる効果があります。みそ汁にすると体も温まります」(松村さん)

口まわりを動かす
介護福祉士・薬剤師の吉田三和子さんは、朝食前に口まわりの筋肉を動かすよう心がけている。
「起き抜けは顔の筋肉がこわばっているので、私は、『パ』『タ』『カ』『ラ』を声に出して発音する『パタカラ体操』を10回程度行い、口まわりの筋肉をほぐしています。これで嚥下機能も向上します。
家族とのおしゃべりも口まわりをほぐすことになります」(吉田さん)
耳を引っ張る
耳ツボジュエリー(※100種類以上ある耳のツボにシールやジュエリーなどを貼って刺激する健康美容法)の認定講師でもある山形さんは、食前に耳ツボマッサージをしているという。
「耳には食欲をコントロールするツボがあり、食事前に耳を軽く5回程度引っ張ると、満腹中枢が刺激され、食べすぎを防ぐ効果を期待できます」(山形さん)

マッサージをする
マッサージを習慣にしているのは、薬膳コンサルタント・漢方キッチン代表の阪口珠未さんだ。
「食欲が出ないときや昼食後に集中力を切らさないため、首まわり、わきの下、鼠径部などを手のひらで軽く3分ほどマッサージして血流の循環をよくします。
朝は食欲が出にくいので、胃の上に両手を重ねた状態で上下にマッサージをします」(阪口さん)
好きな動画を見る
「仕事の後など、交感神経が優位で緊張したままだと胃腸がしっかり働きません。副交感神経を優位にするために好きな動画を見たり、音楽を聴いて気持ちを落ち着かせています。音楽が流れる風景の映像などを見ることが多いです」(神経内科医の米山公啓さん)
動画に限らず、リラックスした状態で食事をとるのがよさそうだ。
ドレスアップする
家で食事するからといって、パジャマのまま、部屋着のままではNG。
「ゆったりしたホームウエアはラクですが、締め付け感がないため満腹感が得られず、だらだら食べ続けてしまいます。レストランに行くような服装にドレスアップしてある程度の緊張感を持てば、食べすぎを防ぎ、腹八分目を守ることができます」(福田さん)
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2025年3月27日・4月3日号