
日本人の大人の平均体温は1957年から2008年の50年間で0.5℃以上も低下したという調査結果がある。体温が下がると免疫力も低下し、がんの活性化、認知症の進行にもつながるとも言われ、健康長寿のためには、体温を0.5℃上げることが大切だそう。そこで、プロが教える体温を上げる食事術をチェックしよう。
冷え込んだ体と心を温める食事の摂り方
体温を上げるなら、やはり体の中から。そのためにも、体を温める食材を意識して摂ることが大切だ。「特にたんぱく質は重要です」と言うのは、管理栄養士の清水加奈子さんだ。
「筋肉の主成分であるたんぱく質は、私たちの体に欠かせない栄養素です。たんぱく質が豊富な肉や魚、卵、大豆製品などを食事に必ず取り入れましょう」(清水さん・以下同)
【朝食に豆腐入りみそ汁やハムエッグ】
朝食は必ず食べること。
「朝食にはたんぱく質のほか、体を温める効果が期待できる少量の油、炭水化物をそろえるのが理想です。朝に肉を食べるとエネルギーになるので、ハムエッグなどをつけるといいですね。
みそは発酵食品で体を温める作用があるので、みそ汁もつけて。具は、豆腐や、体を温めるとされるねぎ類やかぶがおすすめです」
【総菜には魚類を1つ選ぶ】
「コンビニなどで総菜を選ぶ場合も、たんぱく質を意識しましょう。おすすめは魚類。さばやほっけ、鮭などにはEPAやDHAなどの血流をよくする脂が含まれています」(漢方薬剤師・大久保愛さん)
【体温を上げる食材を摂る】

【スパイスたっぷりカレーで体を芯から温める】
体温を上げるためにも、カレー粉は常備しておくとよい。
「カレー粉にはターメリック、こしょう、ジンジャーパウダーなど体を温めるスパイスがたっぷり入っています。カレーライスを作る以外に“味変”にも使えるので便利ですよ」(清水さん・以下同)。
【間食をするならドライ豆】
高たんぱくでヘルシーな豆類は、体温維持にも役立つ。
「おすすめはコンビニやスーパーでも売られているドライ豆。そのまま食べてもおいしいですが、カレー粉や山椒の粉などのスパイス類を振りかけると風味がよくなります」
【お茶を飲むならルイボスティーを】
「お茶は発酵度が高いものほど体を温める作用が期待できます。最も発酵度が高いのはプーアール茶、その次が紅茶、ウーロン茶と続きます。ただし、カフェインが含まれ交感神経を優位にするので、寝る前などには不向きです。その点、ルイボスティーは発酵茶でありながらノンカフェインなので、時間帯を気にせず飲むことができます」(医師・川嶋朗さん・以下同)
【体を冷やすコーヒーもホットならOK】
「コーヒーは体を冷やすといわれますが、ホットならその熱をもらえるので、飲んでも冷えることはありません。ただし、カフェインは血管を収縮させる作用があるので、飲みすぎると血流を悪くすることがあります。飲むなら1日1~2杯程度にしましょう」
発酵度が高いお茶であっても、冷たくして飲めば当然体は冷える。常温か温めたものを摂ろう。
【甘酒ココアは体温上げ「最強ドリンク」】
甘いものがほしいときには甘酒とココアを合わせて飲むといい。
「山椒を振るとさらに効果がアップします」(清水さん)
【体を温める漢方を選ぶ】
冷えが原因で体の調子が悪いときは漢方に頼る手も。
「漢方に詳しい薬剤師がいる漢方薬局で相談してください。どんなときにどこが冷えるか、冷えるとどうなるか、トイレの回数などを伝えると、適した漢方を処方しやすくなります」(大久保さん)
ドラッグストアで選ぶときは、下記表を参考に。
【冷え改善が期待できる漢方を知る】

補中益気湯:胃腸の働きを高め、栄養の吸収を促し、疲労回復効果がある。
十全大補湯:体力の低下や疲労倦怠感、貧血、皮膚の乾燥などの症状に。
人参養栄湯:消化器の働きをよくし、手足の冷えなどに使われる。貧血改善にも。
当帰芍薬散:足腰の冷えやむくみ、更年期障害、生理不順などを改善。
牛車腎気丸:冷えやむくみ、腰痛、下肢痛、夜間頻尿などの改善に。
◆教えてくれたのは:医師・川嶋朗さん
神奈川歯科大学特任教授、統合医療SDMクリニック院長。著書に『60歳から体温を「0.5度」アップする健康法』(Hanada新書)ほか。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・清水加奈子さん
国際中医薬膳師。多くのメディアでレシピ考案や栄養監修を行う。監修書に『太らない食べ方 新装版』(エイ出版社)ほか。
◆教えてくれたのは:漢方薬剤師・大久保愛さん
アイカ製薬代表取締役。食薬の第一人者。著書に『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ほか。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2025年3月6日号