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《おひとりさまになる前に…》覚えておきたい、損をしないための“正しい年金分割”「離婚したら夫の年金を半分もらえる」は間違い、厚生年金は無理して入る必要なし

“おひとりさま”となってからの生活で損をしないための年金分割がある(写真/PIXTA)
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「夫が死んだらどうやって生活していこう」「離婚したら年金はどれくらいもらえる?」──そんな不安を抱いたことがある女性も少なくないだろう。ならば、自分自身ですぐに動き始めた方がいい。「もしものとき」は突然やってくる。“おひとりさま”となって、「夫なし」の生活で損をしないための、年金分割について説明する。【前後編の後編。前編から読む

「年金分割」の正しい計算方法

離婚をするかしないか、その渦中にいるときは不安やストレスで頭がいっぱいになる。しかし、損しないためにも「正しい年金分割」を覚えておきたい。

昨年離婚した千葉県在住のCさん(63才)は、もらえる年金が少なくて驚いたと話す。 

「離婚前に夫のねんきん定期便をチェックすると、受給額が年間190万円くらいあったので、“離婚したら半分もらえるから年間95万円もある”と思っていました。けど、実際はそれよりも少なかった。きちんと調べておけばよかったと後悔しています」

「年金博士」こと、社会保険労務士の北村庄吾さんによれば、松川さんのように、“夫の年金を半分もらえる”と勘違いしている人は多いという。

「年金分割は、『婚姻期間中の厚生年金は共同財産なので半分ずつにしよう』という制度なので、“年金総額の半分”ではありません。老齢基礎年金は分割対象ではないし、独身期間に納めた分も対象外です」(北村さん・以下同)

年金で不安になったら、すぐに年金事務所に駆け込もう(写真/PIXTA)
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分割割合も「半分ずつ」とは限らない。夫が会社員で妻が専業主婦など、夫婦どちらかが国民年金の第3号被保険者だった場合は、「3号分割」によって相手方の厚生年金記録の2分の1が自動分割される。ただ、3号分割の対象は制度が始まった2008年4月1日以降に第3号被保険者であった期間に限られる。

妻も夫も厚生年金に加入する「第2号被保険者」の期間がある場合は、夫婦で協議して分割割合を決める「合意分割」となる。

「割合を争っても結局は2分の1ずつになるケースが多く、厚生年金の金額が夫100万円、妻20万円なら、総額120万円を半分にした60万円ずつとなります。妻は自分の年金が20万円あるので夫からは40万円しかもらえない計算です。また、妻の厚生年金が夫より多い場合はその分、夫に分割することになります」

厚生年金に無理して入る必要はない

すでに夫が年金受給中でも受給前でも、手続きは変わらない。なかには、「離婚後に備えていまから厚生年金に入っておこう」と老後に備えようとする人もいるかもしれない。だが、早まらないでほしい。北村さんの答えはNOだ。

「無理して入る必要はありません。年金分割の視点でいえば、がんばって自分の年金額を上げても、年金分割で夫からもらえるはずの分が消えてしまうだけです。

また、年金の繰り上げ・繰り下げ受給は、夫がどちらを選んでも妻がもらえる年金額に影響しません。遺族年金も同様です」

夫と年が離れている妻は、自分が65才になるまで離婚を待つ方がいい。

「厚生年金に20年以上入っている夫が65才になったとき、扶養すべき65才未満の妻や子供がいると、年金に『加給年金』が上乗せされる。そして妻が65才になると、夫の加給年金が停止され、今度は妻の年金に年約1万6000円ほどの『振替加算』が上乗せされる。どうせなら、自分の年金額が増えてから離婚した方がいい。ただ、1966年4月1日以前生まれが受給条件です」

夫が個人型確定拠出年金「iDeCo」に加入している場合は、受取人や運用資産額を確認すべきだと社会保険労務士の岡佳伸さんは指摘する。

「iDeCoは離婚時の年金分割の対象外ですが、婚姻期間中に積み立てた部分は財産分与の対象となる可能性があるため、夫の資産として確認しておくことが重要です。離婚時には財産分与や慰謝料の交渉材料にすることも考えられます」

夫の死は突然やってくるかもしれないし、離婚は判を押してしまえば他人になる。“家族”でいるうちに、備えておくべきことには手を尽くしておきたい。  

生命保険と年金のやるべきチェックリスト
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「夫と死別」で妻の年金はこう変わる
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(前編から読む)

※女性セブン2025年3月27日・4月3日号

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