ドキンちゃんのモデルは2人いる
その後、創作への思いを募らせ、やなせさんは上京を決意。後を追うように暢さんも上京し結婚する。
「穏やかで引っ込み思案なやなせさんは、自身とは正反対の女性に惹かれたようです。大好きだったお母さんが華やかなかただったことも影響しているのでしょう。ちなみに、『アンパンマン』に登場するドキンちゃんは、顔はお母さんに、性格は暢さんに似ていると話していたそうですよ」(前出・NHK関係者)

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暢さんの支えもあって『アンパンマン』を世に送り出したやなせさん。その直後、予期せぬ悲しみが襲う。アニメのテレビ放映から間もないタイミングで、最愛の妻にがんが見つかったのだ。抗がん剤や未承認のワクチンを投与するなどして手を尽くしたが、5年の闘病の末、暢さんは1993年にこの世を去った。当時の様子をやなせさんはこう語っている。
《医者はレントゲン写真を見せながら、“奥さんのがんはもう第4期にきています。あと3か月しか生きられません”といいました》(『女性セブン』1994年7月28日発売号)
「やなせさんは『アンパンマンは、(子供がいない)ぼくら夫婦にとって子供同然』と語っていました。アンパンマンは暢さんのことを勇気づけてくれたし、暢さんを失った悲しみも慰めてくれたという感謝の思いがあったのでしょう。暢さんにとっても、『夫が誰もが知っている人になってくれたら』という願いを叶えてくれたヒーローでした」(前出・テレビ局関係者)
いまは高知のお墓で一緒に眠るやなせさんと暢さん。草葉の陰から、今田の韋駄天ぶりに目を見張っていることだろう。
※女性セブン2025年5月1日号