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老後を安心して過ごすために…公的年金に上乗せする“自分年金” 貯めるのが苦手な人向けの「個人年金保険」と自営業やフリーランスにおすすめ「iDeCo」 その特徴を解説 

iDeCoの「税制優遇」の注意点

一方、自営業やフリーランスで公的年金が基礎年金のみしか受給できないなら、iDeCoがおすすめだと言うのは横川さんだ。

「夫婦ともに自営業ならば年金収入は年間83万円しかないので、安定運用の個人年金ではなくiDeCoや新NISAなどで少しリスクをとった運用をした方がいいでしょう」

iDeCoは税制優遇がメリットとして挙げられているが、すべての人がその恩恵にあずかれるわけではない。

「掛金の全額が所得控除となり、運用益は非課税、将来受け取る際にも税額控除があります。ただし、専業主婦やパートなどで収入が少ない場合などいわゆる“160万円の壁”を超えていない場合には掛金の所得控除は受けられません。

また、年金には公的年金控除がありますが、そこを超えた分は課税対象となります。会社員や公務員は、iDeCoからお金を受け取ることで課税対象となるケースがある。基礎年金しか受給しない自営業者やフリーランスなら、その心配は大きくありません」(横川さん)

40代で加入すれば年金繰り下げでも安心

個人年金保険とiDeCoは、受け取り方にも違いがある。個人年金保険は契約時に定めた払い込みを終了して一定期間が経過すれば50代から受け取れる商品もあるが、iDeCoは原則として60才以降にならないと受け取れない。

「個人年金保険も基本的には老後に受け取るものとして多くの商品が10〜15年の期間を想定しているため、40代から加入することが理想。一方、60才からでも入れる商品もあるものの、短い期間で年金を多くもらうには、毎月の保険料が高くなってしまいます」(飯村さん)

実際に、いまからいくら払えば、将来どのくらいの年金をもらえるのか。一例として、「かんぽ生命」の「長寿支援保険」に、50才女性が加入する場合で試算してみよう。

15年間、月額4万4310円、総額にして約798万円の保険料を支払うと、65才から最大30年間、年30万円、総額900万円の年金を受け取ることができる。元本より102万円多く、45年間での運用益は約13%だ。ただし早期に死亡すると、支払った保険料の方が高くなると横川さんは指摘する。

「早期死亡に対する損失を回避するために、個人年金への加入は早い方がいい」

40才で加入し、55才で払い込みを終えれば、公的年金の受給額を繰り下げてもその期間の経済的支えになる。飯村さんも続ける。

「個人年金保険にも節税メリットがあり、10年以上払い込むなど要件を満たすと『個人年金保険料控除』として所得控除が受けられます。40代前半までにスタートして、少なくとも15年以上は運用しましょう」

個人年金・iDeCo・新NISAの違いとメリット、デメリット
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※女性セブン2025年5月1日号

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