
未曽有の増税・値上がりが続くいま、「銀行」には命を預けているに等しい。大切なお金の預け先としてどこを選べばいいのか──そのためには「選んではいけない銀行」を知っておく必要がある。
「商品の勧誘がしつこい銀行」とは縁を切る
金利や店舗数、使い勝手のよさなど、銀行を選ぶ基準にすべきことは、人によって異なる。だが、どんな人でも絶対に選んではいけないのが「商品の勧誘がしつこい銀行」だ。
長らくマイナス金利の時代が続き、銀行が収益を得るために顧客に投資信託や保険を売って手数料を得ることがいまや当たり前になっており、利益を求めるあまり〝強硬手段〟に出ようとする銀行も存在するのだ。地銀関係者が明かす。
「“個人向け国債を買いに銀行の窓口に行ったら、投資信託をすすめられた”という話はお客さまや知人からよく聞きますが、銀行がすすめる商品は基本的に“手数料が高く、銀行の儲けになりやすい商品”なのです。強くすすめてくる銀行ほど、お客さまのことより、自分たちの利益を優先していると考えてください」

退職金や生命保険金といったまとまったお金が入ってきたタイミングで、すぐに営業をかけてくる銀行は絶対に選んではいけない。
「お客さまからお金を預かる預金業務と、お客さまに投資信託や保険を売る営業業務は別の部署なので、本来なら、口座に大きなお金が入った情報を営業の人間がすぐにキャッチしていいはずがないのです。
こんな行員の話も聞きました。夫を亡くしたばかりの妻の口座に入った生命保険金などを狙って、自宅に3〜4人で上がり込んで、“旦那さまの残されたお金を役立てましょう”などと、保険や投資をしつこくすすめてきたとか……夫を亡くしたショックにつけ込むやり方はほめられたものではありません」(前出・地銀関係者)
大きなお金に限らず、顧客のお金の出し入れに逐一口を出してくる銀行は、選ばない方がいい。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが言う。
「中には、定期預金を引き出すときに“何にお使いになるのですか?”などと、利用目的を聞いてくる銀行もある。
お金を入れるときは揉み手で受け入れるのに、出すときはうるさい銀行は避けた方が無難です。試しに、一度まとまったお金を引き出してみると、その銀行の“本当の顔”がわかるでしょう」
「普通預金キャンペーン金利1%」の落とし穴
また、しきりに「キャンペーン」をうたっている銀行にも要注意。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが言う。

「近年の金利上昇を受けて“金利優遇キャンペーン”などを行う銀行が目立つようになってきましたが、誤解を招くものもあり、注意が必要です。
例えば『普通預金キャンペーン金利1%』などとうたっていても、よく見ると『適用期間3か月』となっていることも多い。この場合、年利換算1%の金利が適用されるのは最初の3か月間だけで、年間で見れば4分の1の利息にしかならないのです。
『金利1%、ただし同額の外貨預金をすること』などが条件になっているものもあり、これだとリスクを伴う商品をセットで保有する必要が出てきます。
地銀のネット支店など、新規口座開設で高金利を提示しているものもありますが、口座が増えることで管理が煩雑になる側面もあるため、気をつけましょう」