健康・医療

利便性に潜む「スマホ老眼」や「スマホ斜視」のリスク、小さい画面を近距離で凝視することが問題 一時的に“失明”したような状態になることも 

さらに最近では「スマホ失明」と呼ばれる状態が指摘されている。

「暗いところなどでスマホを見て、ふっと明るいところに目を向けると、目が環境の変化に対応できず、瞬間的にうまく見えない状態になることがあります」

とりわけ寝る前にベッドの中で横向きになってスマホを使用すると、片目だけでスマホ画面を見ることになり、負担が集中した方の目が光に対して感受性が弱くなって、一時的に“失明”したような状態になる。

「この『スマホ失明』は海外では『一時的スマホ盲』と呼ばれる一過性の視力障害です。繰り返し発生するようだと、スマホの使い方を見直す必要があります」

スマホの見すぎが目を疲れさせ「老眼」に
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そもそもスマホ老眼、斜視、失明が生じる背景には、慢性的な「目の疲れ(眼精疲労)」がある。高齢者ほど眼精疲労の影響が出やすいことは多くの人が実感しているだろう。

「水晶体や毛様体筋の機能が落ちた高齢者が若い人と同じようにスマホを使うと、眼精疲労が進んで目の奥の痛みや頭痛、肩こりや吐き気などの症状が引き起こされる可能性があります。背中をかがめてスマホを見るといった姿勢の悪さによっても、血行不良が生じて頭痛や肩こりなどを悪化させるケースがあります」

スマホが発するブルーライトもまた、目に負担をかけている。

「人が目で見ることのできる光の中で、ブルーライトはもっとも強いエネルギーを持ちます。あまりに強いため、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで達してしまう。脳や交感神経を刺激するので、寝る前にスマホを見ると睡眠にも影響が出ると指摘されています」

睡眠の質が低下すれば、疲れがとれないなど日中の活動に影響が出るばかりか、うつや認知症などさまざまな疾患が生じるリスクが増加。単に目が疲れるだけではすまされない。

目だけではなく耳も危険にさらされている。スマホを使って音楽を聴いたり、動画を視聴したりする際、周りの迷惑にならないようヘッドホンやイヤホンを利用すると、聞こえにくさや耳鳴りが生じる「スマホ難聴」になる恐れが指摘されているのだ。

聞こえにくくなると人との会話に消極的になり、引きこもりのような状態になるケースも(写真/PIXTA)
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耳が聞こえにくいと他者とのコミュニケーションが取りづらくなる。すると、外出が億劫になったり、人と会話をする機会が減って認知機能低下につながるなど、難聴と認知症の関連性も危惧されている。一生見える目と同じくらい、「一生聞こえる耳」は健康寿命を延ばすうえで重要だ。スマホを長時間操作し続けることは“寿命を縮めている”ともいえるだろう。

難聴を放置するとボケやすくなる
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※女性セブン2025年5月29日号

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