整理整頓・終活
年を重ね、終活を意識する中で、「片付け」にハマりミニマリスト化する人も。
「ずっとそのままにしていたピアノや大型家具の処分・買い換えをして気分を一掃しました。気力の問題なので、少しでも若いときにはじめた方がいいと思います」(64才主婦)
「退職後、録りだめた映画のビデオやDVDを見ることで、デジタルデータを整理できました」(65才無職)
「体力があるうちに少しずつ片付けてきて、正解でした。フリマサイトなどで売るもの、捨てるもの、差し上げるものを分ける作業は思った以上に疲れました」(73才主婦)
「モノの整理をすると、「無駄」と「必要」を意識するようになり、大好きなものだけが残っていくように思います。まだ道半ばですが、節約にもつながっています」(71才主婦)

「還暦を機に、娘から終活をすすめられましたが、三日坊主でいまに至ります。紙に書き出した方がいいのかな?」(70才パート)
「いままで大切にとってあった洋服を普段使いにしました。死んだらゴミになるのなら、自分で使い尽くしたいから」(66才無職)
「年上のいとこが急逝したことをきっかけに、自分の死を考えるように。子供や夫に迷惑がかからないよう、預貯金や株の詳細、デジタル関連の暗証番号を伝えました」(63才主婦)
自身の終活について、黒川さんが話す。
「私自身は脳が『面白い』と感じたことを優先して生きてきたので、その先の人生プランを立てたことはありませんが、唯一、残した人の労力を最小限にすることは考えています。たとえば、家族1人につき1つずつクローゼットを作り、私物はすべて各自のクローゼットに置く方式にしました。これで夫や私が死んだら、私たちのクローゼットを始末すれば終わり。
そして、私の心臓が止まったら蘇生も、延命措置も一切お断り。この2つは文書にしてあります。
実務的なところで言うと、動画配信やWi-Fiの通信費など、月々の支払いが生じるものはすべてメインのクレジットカードに集約し、『私が死んだらお財布の中のカードを即解約して』と家族に言ってあります。複数の動画配信サービスを利用し、化粧品の定期購入などをしている人は多いはず。亡くなった後もうっかり払い続けることになるので、出どころを1か所にして、家族に伝えておくのが重要です」
健康・美容
「健康がいちばん」という声も多く寄せられたが、ウオーキングやジムで体力増進に努める中、こんな強者…。
「65才でスキーをはじめ、中級コースで滑れるまでに上達しました。リフトにも乗れなかったのに! この年齢でも進歩できたことがうれしかった」(68才主婦)
「テコンドーやフラダンス、ヒップホップダンスなどに挑戦。体も軽くなり、中国やアメリカなど、いろいろな国の友達ができました」(62才その他)
「孫と息子にすすめられ、スケボーをはじめました。筋力アップしたうえに、少し体重が減りました!」(62才主婦)
「のどの筋肉を鍛えるためにカラオケに通っています。食事中にむせることもなく、声もよく出るうえ、ストレスも発散できて最高です」(65才自営業)
「死ぬまでにしたい5つのことを書き出し、いちばんやりたかった富士登山に挑戦。成功したものの体へのダメージは大きかった。若いときに登るべきでした」(66才主婦)
若い頃とはひと味違う“新たな美容”に目覚めた人も。
「加齢とともにまつげが寂しくなってきたので、「マツエク」をはじめました」(68才自営業)
「歯のホワイトニング。お金も時間もかかりますが、終活の一端と考え、少しの変化も楽しんでいます」(64才パート)
「毎日10〜15分、丁寧に歯磨きをしています。歯科医院でも褒められてうれしい!」(70才主婦)
「白髪染めに飽き飽きしてグレイヘアに挑戦したら、気持ちが楽になりました」(61才パート)
生活・心の変化
新しい生活をスタートさせた人、ライフスタイルや心持ちが変わった人の声は参考になることばかり。
「夫のリタイアに伴い、都会から淡路島へ移住。土いじりにはまったく興味がなかったのに、ドクダミやヨモギを採ってお茶にしたり、ハーブを育てるのが趣味に。植物に癒される日が来るとは、50代には想像もしませんでした」(66才自営業)
「住まいを変え、環境が変わって新鮮な気分。近所を散策し、新しいお店を開拓するのが楽しみです」(63才会社員)
「乳がんに罹患後、食事を見直した。体は食べたものでできているということを、60才になって実感。体重10kg減を維持しています」(61才会社員)
「考え方のしがらみを取り払った。上司のウケや近所の目を気にせず、嫌いな人とは距離を置くようにしたら、精神衛生上極めていいことがわかりました」(64才会社員)

「年だから、家族の予定が…を言い訳にせず、やりたいと思ったら即行動に移すようにした。人生が新たにはじまった感じ」(60才主婦)
「悪口やグチを言わない。人との距離に気をつけてグイグイいかない。自分の機嫌は自分で取る。ひとりご飯、ひとり遊びを楽しむ。因業な顔にならないよう努力…。ひとりをエンジョイできる人は、人と楽しくつきあえるというのを信条に過ごしています」(72才無職)
生きがいを持ち、気負いのない「自分ファースト」で好きなことを楽しむ人生は幸せに違いない。
取材・文/佐藤有栄 イラスト/かたおか朋子
※女性セブン2025年7月3・10日号