
かつては“解散からいちばん遠いところ”にいたはずのTOKIO。しかし、2度目の不祥事に直面し、彼らが決断したのは解散という選択だった。旧ジャニーズ事務所の黄金時代を支えた年長グループが、またひとつ姿を消すまでのメンバーの絆と葛藤を詳報する。【前後編の前編】
「自分は人生で誰にも助けを求めずに生きてきました。人の相談はたくさん受けてきたけど、自分から助けてくださいとは言わなかった。自分は自分でやれると思っていたんです。でも実際はそうじゃなかった」
6月28日、兵庫県の市民会館の壇上に立った元TOKIOの山口達也(53才)は「孤独からの脱却」をテーマに講演を行った。
「不祥事を起こし、事故を起こして人に迷惑をかけました。病院に行き、自助グループに入って、自分以外にも苦しんでいる人がいるということを知りました。そこで、はじめて“助けてください”と言うことができたんです。自分のことをようやく知ることができました」
真剣な表情で聴衆に語りかける山口。最後までTOKIOの話題に触れることはなかったが、壮絶な体験に裏打ちされた言葉の数々は、窮地に陥った“盟友”に向けられたメッセージだったのかもしれない。
TOKIOの国分太一(50才)に、コンプライアンス上の問題が複数あったことを確認したとして、日本テレビが人気番組『ザ!鉄腕!DASH!!』からの降板を公表したのは6月20日。同日、所属事務所の「株式会社TOKIO」が国分のすべての活動を無期限で休止することを明らかにし、その5日後にTOKIOの解散が発表された。

「日本テレビの福田博之社長が緊急会見を開いたものの、プライバシーの保護などを理由に詳細は明かされず、報道陣から怒号が飛び交うひと幕も。福田社長が懸念していたのは『事案の特定につながる情報拡散のリスク』でした」(芸能リポーター)
日本テレビの上層部はフジテレビと中居正広(52才)の問題のように第三者を巻き込む騒動に発展したり、被害者にさらなる加害が行われる事態を警戒し、情報は徹底して伏せられたという。同局の幹部が語る。
「局内でも、真相を知る人はごく一部。各局で問題行動のひとつにセクハラ行為に当たるわいせつ事案があったという情報が共有されていますが、それ以上のことは何もわからない。国分さんが何をして、何が問題になったのか、われわれの方が聞きたいくらいです」
福田社長は前述の会見で“刑事事件”になるような事案ではないと説明し、一部で報じられているような局員に対する暴力行為などを暗に否定。その上で、トラブルは国分の“個人の問題”と結論づけた。
それでも、国分の裏の顔が次々に報じられる背景には、彼自身も自覚していた後輩やスタッフに対する横柄な態度や、当たりの強さがあったようだ。自著『タヒチ タイッチのリゾート気分で』(M.Co)で、国分は《ギラギラしていた》時代をこう振り返っている。
《基本的にあるのは「頑張らなきゃ」という気持ちなんだけど、自分はタレントだっていう意識がねじ曲がってたんだろうね。打ち合わせでスタッフに「こうじゃないですか?」って言われても「は? なんスか、それ」。取材で「近況は?」と聞かれても「ないよ、近況なんて」。そういう時代はしばらく続きましたね》
異例の取材対応に報道陣から拍手
国分の番組を担当していた制作会社のスタッフが重い口を開く。
「実際、打ち合わせの席や収録後の反省会などで、国分さんが声を荒らげることは珍しくありませんでした。段取りが悪かったりすると『仕事を舐めんじゃねえよ』とスタッフを怒鳴りつけたり、時には物に当たったりすることも。
口癖のように『おれが若い頃は〜』とか『昔はこうだった』などと説教じみたことを言う一方で、プロデューサーやスポンサーには露骨にこびを売る。そんな裏の顔を見てきた一部のスタッフから国分さんが煙たがられていたことは事実です。ただ、実際に暴力を振るうところは見たことも聞いたこともありません」
日本テレビが一連の問題を把握したのは5月下旬。第三者の弁護士などによる調査が行われ、事実関係を突き付けられた国分はすぐに非を認め、松岡昌宏(48才)と城島茂(54才)とも話し合ったという。
「大変ふがいない終わり方で、31年間応援してくださったかたには申し訳ない。こんな形で終わらせるつもりはなかった」

6月27日、主演舞台『家政夫のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂』の稽古を終えた松岡は、平身低頭で取材に応じ、解散に至った経緯を説明した。
「帽子を取り深々と頭を下げる松岡さんの表情は、見るからに憔悴していました。株式会社TOKIOの広報担当でもある松岡さんは、グループに何かあれば矢面に立って説明しなければならない立場にあります。問題の性質上、話せないことも少なくないが、質問が尽きるまで答えようとする松岡さんの姿勢に同情が集まり、最後には報道陣から拍手が起こりました」(テレビ局関係者)
松岡の説明によれば、TOKIOの解散は、発表前日に城島と話し合って決断し、国分にはその場で電話をかけたという。
「『猛省して、自分と見つめ合う時間を1秒でも多くとって』と伝えたそうです。国分さんは号泣しながら『申し訳ない、申し訳ない』と繰り返すのが精いっぱいだったといいます」(前出・芸能リポーター)
2018年に元メンバーの山口が女子高生に対する強制わいせつ罪で書類送検(起訴猶予処分)された際、松岡は「(山口の)甘えの根源がぼくらだったとしたら、そんなTOKIOは一日も早くなくした方がいい」と厳しく非難した。2021年に長瀬智也(46才)が脱退した後も、3人でTOKIOを守り続けてきた経緯があるだけに、国分の不祥事は痛恨の極み。松岡と城島は「さすがにもう限界だ」と即座に解散を決めたという。
「松岡さんは一部で報じられたパワハラや後輩いじめに関しては否定しつつも、『この形(解散)になったので、もう何があったかはいいです』と吐き捨てるように言っていました。もっとも、解散という重い決断をした松岡さんたちが何も知らないということはありえない。国分さんや被害者を慮っての“優しい嘘”なのでしょう。国分さんとは密に連絡を取り合い、山口さんや長瀬さんともこの件について話し合っているそうです」(事情を知る芸能関係者)
(後編へ続く)
※女性セブン2025年7月17日号