
暑くて食欲がないときでもつるっと食べられて一皿で野菜もたんぱく質も摂れる冷やし中華は、夏の食卓に欠かせないメニュー。そこで、銀座の老舗「萬福」3代目店主の久保英恭さんに、人気メニューの再現レシピを教えてもらった。
「萬福」のしょうゆ味とジューシーな鶏肉に合う濃厚ごまだれ
東京・東銀座で大正時代から続く老舗の中華料理店の『冷やしそば(醤油味)』が誕生したのは戦前のことだという。
「店の『冷やしそば』は初代の味を受け継ぎ、鶏や豚のガラなどを数時間煮て作る秘伝のスープがベースに。家で作るならめんつゆを使うと味が決まりやすいですよ。暑い時期は、たれが甘めの方がおいしく感じるので好みで砂糖の量を増やしてください。このたれにごまをミキサーでペーストにして加えれば、もうひとつの人気冷やしそば、『とりごま味』が簡単に再現できます」(久保さん・以下同)

冷やし中華の極意は麺のしめ方にあり!
今回の企画で取材した全店が「冷やし中華をおいしくするポイント」として挙げたのが麺のしめ方。でんぷんが残っていると味がぼやけるので、ゆでた麺は流水でぬめりがなくなるまで洗い、氷水でキンキンに冷やしてコシを出す。たれが薄まらないように、水気をしっかり切ることも大切。
【1】よく洗ってぬめりを取る

ゆで上がった麺は流水でよくもみ洗いし、余分なでんぷんのぬめりを落とす。
【2】氷水に入れてしっかりしめる

麺を洗ったら冷水や氷水に浸けて一気に冷やすことで、麺が引きしまる。
【3】麺はざるに押しつけて絞る

麺は手でざるに押しつけ、麺の中の水気まで押し出すと水っぽくなりにくい。
「冷やしそば(醤油味)」のレシピ
酸味と甘みが絶妙なたれ、シンプルな具。何度でも食べたくなる王道冷やし中華。
《作り方》(2人分)
【1】めんつゆ(3倍希釈)100ml(1/2カップ)、酢90ml、ごま油少量、砂糖大さじ3、しょうが汁1片分をミキサーに入れて30秒ほど攪拌したら、冷蔵庫で冷やす。
【2】もやし適量はさっとゆでてから水気を切る。きゅうり1/2本、ハム80gはせん切りにする。厚焼き卵100gは薄く切ってからせん切りにする。
【3】鍋に湯を沸かし、中華麺2玉(280g)は表示よりも1分長くゆで、流水で洗いぬめりを取り、氷水に浸けて冷やす。
【4】冷やしておいた器に、水気を切った【3】を盛り、【2】を盛る。【1】をかけて、紅しょうが適量をのせ、炒りごま適量を振る。
※たれは作りやすい分量。かける際は好みで量を調整を。
Point

家で作るなら、具を作る手間は省いてOK。
「市販の厚焼き玉子をせん切りにして、錦糸卵に」

「店ではひたすらかき回しながら大量のたれを作りますが、家ではミキサーを使うとムラなく混ざり、時短にもなります」
「冷やしそば(とりごま味)」のレシピ
ドンッとのった鶏肉にごまだれをたっぷりかけて。

《作り方》(2人分)
【1】鶏もも肉1枚は包丁の背でたたく。鍋に湯を沸かし、ねぎの青い部分・しょうが各適量、塩小さじ1、酒大さじ1を入れる。鶏肉を加え、ふたをして5分ほど煮たら火を止め、そのまま30分置く。
【2】【1】の鶏肉を取り出し、P74で作ったしょうゆだれ200ml(1カップ)に10分以上漬けてから薄く切る。
【3】フライパンを熱し、炒りごま45gを入れて炒り、パチパチ音がしてきたら火を止める。ごまをミキサーに入れて10秒ほど攪拌したら、オリーブオイル大さじ3を加え10秒ほど攪拌する。【2】のしょうゆだれを加え30秒ほど攪拌し、冷蔵庫で冷やす。
【4】きゅうり1/2本はせん切りにする。厚焼き卵100gは薄く切ってからせん切りにする。
【5】鍋に湯を沸かし、中華麺2玉(280g)は表示よりも1分長くゆで、流水で洗いぬめりを取り、氷水に浸けて冷やす。
【6】冷やしておいた器に、水気を切った【5】を盛り、【2】の鶏肉、【4】をのせ、【3】をかける。
※たれは作りやすい分量。かける際は好みで量を調整を。
Point

「ごまは混ぜる直前にフライパンで炒って香ばしく仕上げます。オイルを加えてミキサーで撹拌するとなめらかに」

鶏もも肉に火が通ったら、しょうゆだれに漬けておく。
「たれにだしが出て旨みがアップ。鶏肉もおいしく食べられます」

鶏もも肉は長時間ゆでず、5分加熱したら30分余熱で火を通すことで、柔らかく仕上がる。
※作り方・食材は家庭用にアレンジしたもので、お店のものとは異なります。
◆萬福 店主・久保英恭さん

3代目店主の久保さんは、幼少の頃から厨房で祖父が料理をする姿を見て育ち、味を受け継いだ。2種類の『冷やしそば』は店の名物メニュー。

住所:東京都中央区銀座2-13-13
撮影/玉井幹郎 取材・文/青山貴子
※女性セブン2025年7月17日号