健康・医療

《国内で100万~200万人が罹患》「慢性副鼻腔炎」は放っておくと“がん”につながることも 実は危険な“鼻づまり“の原因、治療法、セルフケアを医師が解説

《まずは鼻うがいを》鼻がつまっているときのNG行動から自分でできる解消法まで【鼻づまりのセルフケア 】

鼻づまりを起こさないために自宅でできるケア方法と生活習慣を紹介。これで、夏風邪に負けない体をつくれるはず!

鼻うがいをはじめ禁煙、虫歯治療も有効

「鼻づまり、ひいては慢性副鼻腔炎の予防策として何より大切なのは風邪をひかないように注意すること。室内外の温度差が大きくなるこの時期は、特に体調を崩しやすいので、適度な運動、充分な睡眠、栄養バランスの取れた食事に気をつけて、規則正しい生活を送ることが大切です」(長友さん・以下同)

そのほかのセルフケアとしては、鼻うがいがおすすめだという。

「鼻うがいとは、鼻腔内に生理食塩水などの洗浄液を流し込んで、鼻の奥の汚れや異物を洗い流すケア方法。細菌感染によって起こる急性副鼻腔炎を予防すると同時に、アレルギー対策としても有効です。鼻をかんでも出づらい粘性のある鼻水を洗い流して、鼻の通りをよくしてくれる効果もあります」

鼻うがいは専用の器具が市販されているので、それらを活用しよう。

そのほか、喫煙は控えた方がいい。副鼻腔炎症の原因となったり、炎症を治りにくくしたりする。口腔内(特に奥歯)の虫歯菌や歯周病菌が、副鼻腔炎の原因になることもあるので、きちんと治療し、うがいや歯磨きなどを徹底して、常に口腔内を清潔に保つことも予防策のひとつといえる。

鼻づまりは誰もが経験する鼻トラブルのひとつだが、侮れない症状だ。日々の習慣で予防しよう。

もっと知りたい!鼻づまりのセルフケアQ&A

【Q】鼻づまりのときはどうやって鼻をかむ?

【A】鼻づまりを解消し、片鼻ずつやさしくかむ

「耳に圧力がかかると中耳炎になりかねないので、つまりを解消してから、片鼻ずつやさしくかみましょう」

【Q】鼻水をすすってもよい?

【A】ダメ! 副鼻腔で炎症を起こすかも

「圧をかけてすすると、本来鼻水が流れないはずの耳や副鼻腔に入り込んで炎症を起こす要因になりかねません」

【Q】鼻づまりを解消するには?

【A】 服薬のほかにツボ刺激なども有効

「点鼻薬のほか、一時的ですがツボ押しも◎。おでこや鼻すじを保冷剤で冷やすと鼻腔内の腫れやむくみが緩和されます」

・迎香(小鼻の脇のくぼみ)のツボを左右の指で挟むように3秒押す。

迎香(小鼻の脇のくぼみ)のツボを左右の指で挟むように3秒押す
迎香(小鼻の脇のくぼみ)のツボを左右の指で挟むように3秒押す(イラスト/なとみみわ)
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・脇の下に硬めのペットボトル(500ml)を挟んで30秒間キープ。

脇の下に硬めのペットボトル(500ml)を挟んで30秒間キープ
脇の下に硬めのペットボトル(500ml)を挟んで30秒間キープ (イラスト/なとみみわ)
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◆教えてくれたのは:池袋ながとも耳鼻咽喉科院長・長友孝文さん

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 耳鼻咽喉科専門医。浜松医科大学医学部卒業後、東京大学医科学研究所、自治医科大学病院耳鼻咽喉科などを経て、2022年より現職。

◆教えてくれたのは:国立がん研究センター東病院頭頸部内科長・田原信さん

広島大学医学部卒業。国立がん研究センター東病院、米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター客員助教授などを経て、2012年から現職。頭頸部がん治療の進歩に尽力する。

取材・文/上村久留美

※女性セブン2025年7月24日号