旅先での過ごし方は? 自由だからこそ自分なりのルールを
ひとり旅はどう過ごしても自由。だからこそ自分なりのルールを決めておこう。
50才から本格的なひとり旅を始めた料理家でエッセイストの山脇りこさんは、旅先で楽しく過ごすためのルールを設けているという。
「1つ目は、無理しない、無謀な冒険はしないこと。私は1〜2か所目的地に出かけたら、その後はそこに暮らしているように、のんびり街歩きを楽しみます。ただ、ひとりだとついつい歩き続けてしまい、実は気づかないうちに疲れていることも多いので、カフェや公園などで早めに休むようにしています」(山脇さん・以下同)

旅先で過ごす服にもこだわりがあるという。
「旅には、とにかくそのとき、自分がいちばん好きな服を着ていきます。お気に入りはテンションを上げてくれ、私を応援してくれると感じるので、初めて行くお店や宿などに物おじせずに行ける気がします」
さらに、山脇さんが旅のルーティンにしているのが朝のランニングだ。
「旅先では必ず早起きして走ります。朝、街を走っていると、そこで暮らしているような気分になれます。それに、『こんなところに素敵なお店がある』『このお店は店構えからしておいしそう』などの発見もあります。ランニングだけでなく、朝の散歩でも充分楽しめますよ」

地元のグルメは、ランチで楽しむ
自由気ままなひとり旅を楽しむ中で、困る人が多いのが、ひとりでの食事だ。
「ひとりって誰も見ていないのに、人目が気になったり、私は“ビビり”の性格もあり、ひとりでお店に入る勇気がないときもあります。そんなときは、デパ地下でご当地の総菜や地酒を買って、ホテルで食べます。
どちらかというと、夜より昼の方がお店に入りやすいので、どうしても行きたいお店はランチでトライするのもおすすめです。
夕食はカウンターがあるお店を選び、早めの時間に行って、お店が盛り上がる頃には帰るようにしています」
また、山脇さんは旅先で絵はがきを買い、自分や家族宛てに書いて送る習慣も。
「ひとりで旅をしているといろんなことに気づくので、それを絵はがきに書いて自分宛てに送ります。また、家族への感謝の気持ちも改めて伝えたくなるので、手紙にしたためて送るようにしています」
旅の思い出は「旅ノート」に
山田さんは、旅の思い出を「旅ノート」に残すという。
「旅先で行った美術館のチケットやレストランのショップカードなどをセロハンテープでノートにペタペタと貼っています。
ホテルのスタッフや現地の人に書いてもらったメモなどもノートに貼ります。
特に海外では、国ごとに数字の書き方も違って面白いんです。メモを見直せば、現地の人とのやりとりがリアルに思い出せていいですよ」(山田さん・以下同)

海外の場合、英語ができないなどの言葉の壁で、「現地の人と話すなんて無理!」と思いがちだ。
「最近は翻訳アプリの性能もいいので、英語圏以外でも簡単にコミュニケーションをとることができます。『Google翻訳アプリ』を使えば画像に書かれた文字を翻訳することもできて、美術館の説明を日本語で読むことも可能です」
旅先で現地の人とコミュニケーションをとるのも旅の楽しみの1つだが、「身を守ることも忘れないでほしい」と山田さんは続ける。
「当たり前のことですが、国内外問わず深夜ひとりで歩かないこと。海外で日本語で話しかけられても、ついていかないことです。
旅先では気持ちが大きくなって思わぬトラブルに巻き込まれることも少なくありません。貴重品を離さないことも含めて、用心することを忘れないで」

安全に配慮すれば、ひとり旅は怖くない。この夏、思い切って自分時間を楽しむ旅に出てみませんか?
◆旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅にまつわるさまざまな情報を雑誌やWebで発信。「女性セブンプラス」でも執筆している。
◆おひとりプロデューサー・まろさん
ひとり時間をテーマにさまざまなメディアで活動。著書に『おひとりホテルガイド』(朝日新聞出版)など。
◆ライター&編集者・山田静さん
女子旅を元気にしたいと1999年に「ひとり旅活性化委員会」を結成。著書に『決定版女ひとり旅読本』(双葉社)ほか。
◆料理家・エッセイスト・山脇りこさん
食や旅のエッセイを執筆。著書『50歳からのごきげんひとり旅』(だいわ文庫)が13万部のベストセラーに。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2025年7月31日・8月7日号