健康・医療

【見逃してはいけない“がんの予兆”】多くのがんに共通する初期症状は「体重減少」「食欲不振」「倦怠感」など 加齢による衰えががんのサインだということも 

加齢による衰えが、がんのサインだということもある(写真/PIXTA)
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早期発見、早期治療ができるかどうかが生死を分けるとされるがん。いつもと違う不調が長引くようなら、それは病のサインかもしれない。「自分の体のことは、自分がいちばんわかっている」と思い込むと、寿命を縮めてしまうこともある。体の異変を“いつものこと”と見逃してしまわないよう、がんの「危険なサイン」を知っておきたい。【全3回の第3回。第1回から読む

喉のつかえは食道がんの恐れ

加齢による衰えかと思いきや、がんのサインだったということもあり得る。内科医の名取宏さんが解説する。

「食道がんでは食事のときに固形物が飲み込みにくくなったり、つかえを感じる嚥下障害が起こります。さらにステージが進むと飲料も飲み込みにくい状態になります」

声のかすれや1〜2か月以上続く咳にも注意が必要だ。帝京大学福岡医療技術学部教授で、がん専門医の佐藤典宏さんが解説する。

「食道がんのステージⅠの5年生存率は約7割。早く見つかれば内視鏡による切除など体への負担が少ない治療が可能です。最新の内視鏡機器を用いればごく早期の食道がんも発見することができるので、病院選びも重要になってきます」

甲状腺がんは女性の罹患数が男性に比べて2.5倍も多く、年間約1万2000人。その初期症状について国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長の小川朝生さんはこう話す。

「頸部の腫れや、まれに呼吸がつらいなどの症状が出てきます。甲状腺は喉元にあるので、喉が盛り上がって見えることで気づくこともあります」

自覚症状がほとんどないため、気づいたときにはかなりステージが進行しているケースが多いのが、すい臓がんと肝臓がんだ。

「初期のすい臓がんが自覚症状で発見されることはめったにありません。進行してから黄疸(おうだん)、腹痛、背部痛、糖尿病の発症や悪化などの症状が現れるようになります。

肝臓は“沈黙の臓器”といわれるように痛覚がないため、がんの初期症状には非常に気づきにくい。すい臓がんと同じ黄疸、腹痛などのほか肝性脳症による手の震えや意識低下も起こります。なかには大きくなった肝細胞がんが破裂し、腹部の強烈な痛みに襲われて初めて気づく人もいるほどです」(名取さん)

脳腫瘍や白血病はほかのがんと比べて罹患数が多くないため「まさか自分がなるわけがない」と思っていたら、そのまさかだったということも起こりえる。佐藤さんがこう解説する。

「脳腫瘍はある程度の大きさになると頭蓋骨の内部の圧力が高まり痛みが生じる。朝起きたときの強い頭痛や食事とは無関係な吐き気や嘔吐が症状として挙げられます。原因不明の頭痛が長引くようなら注意しましょう。

同じく罹患数は少ないものの、患者の多くが60才以上とされる白血病の初期症状はアザと鼻血です。倦怠感とともにこれらの症状が出た場合は血液内科を受診しましょう」

がんは発生する部位によって症状がさまざまで、自分で観察して気づけるものもあれば、わかりづらいものもある。

「多くのがんに共通するのが体重減少や食欲不振、倦怠感などの症状です。“疲れがとれない”“夏バテかな”と思ってやり過ごしているうちに進行してしまう。特に発症リスクが高い好発年齢にあてはまる場合は、異変を感じたら早めに医師に相談してください」(小川さん)

2人に1人以上が「生涯のうちに一度はかかる」とされるがんは、早期発見によって治る病気でもある。誰にとっても身近な病気だからこそ、予兆を決して見逃さないようにしたい。

がんの危険なサイン
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(第1回から読む)

※女性セブン2025年7月31日・8月7日号

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