
エアコン代に食費、医療費──出ていくお金は増えるばかりで老後資金は目減りの一途。そこで国が絶対に教えてくれない「申請した人だけがもらえるお金」を徹底リサーチ。ライフステージの変化に直面するたび頭を悩ませてきた女性たちをサポートする制度もフル活用し、生活を安全に豊かに充実させよう。
帝国データバンクによれば、今年8月の値上げは飲食料品だけで合計1010品目にのぼり、今後も値上げラッシュが待ち受ける見通しだという。厳しくなる家計を支えるために知っておきたいのが「申請すればもらえるお金」だ。
国や自治体に納める税金は実は「助成金」や「補助金」「給付金」という形で国民に還元されている。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが言う。
「“もらえるお金”には国が実施しているもの、都道府県単位のもの、市区町村単位のものがあります。多くの手続きの窓口は市区町村なので広報誌やSNSアカウントから情報収集し、どんな制度があるかを把握しておきましょう。なかには国と自治体の両方からもらえる場合もあります」
今年度は子育てや教育・就労支援が充実している。今年10月から始まる「教育訓練休暇給付金」は働きながら学び直す人を支援するもので、キャリアアップを目指す人の心強い味方に。
「会社を辞めるか転職かという選択肢に、“仕事を休んで給付金をもらいながらキャリアアップする”という新たな道が加わりました。休暇をとって指定の講座を受講した場合、申請すれば失業時の手当と同水準の金額が給付されます。雇用保険の加入が条件で、加入期間に応じ給付日数も異なります」(風呂内さん)
ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の井戸美枝さんは、この給付金制度を機に働き方の見直しをすすめる。特に、これまで専業主婦やパートで“収入の壁”を越えずに国民年金のみに加入していた女性は注目してほしい。
「1週間に20時間以上働くと雇用保険に入ることになります。加入すれば受けられる補助金や給付金が増えるので、“保険料を取られるのが嫌”という理由で働く時間を抑えるのはもったいない。老後に受け取れるお金が増えるチャンスです」
防犯アイテムの補助は予算に限度あり
申請受付が今年12月末で終了するのが、環境省などの「住宅省エネ2025キャンペーン」の補助事業だ。
「『子育てグリーン住宅支援事業』では、注文住宅で最大160万円、リフォームの場合は最大60万円の補助金がもらえます」(風呂内さん)

住宅関連ではバリアフリーリフォームへの補助も手厚い。要介護・要支援認定を受けた人を対象にしているのが「高齢者住宅改修費用助成制度」だ。親の介護をしている人にとっては見逃せない。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんがこう話す。
「お風呂場の滑り止めや玄関のスロープの設置などのリフォーム費用が介護保険から支払われます。複数回の利用も可能ですが、支給されるのは同一住宅につき生涯で20万円まで。担当のケアマネジャーさんに相談し、申請をサポートしてもらうのがいいでしょう」

いまや全国で900万戸を超える空き家問題。解体費用に頭を抱えている人に耳寄りな制度がある。
「解体費用の一部や、地域貢献のために貸し出しをした場合に補助金が出る制度があります。補助金額は数万〜100万円ほどと自治体によって大きく異なるので問い合わせてみましょう」(風呂内さん)
強盗や詐欺被害のニュースが相次ぐなか、自宅で不安を感じる女性は多いだろう。日中、ひとりで家にいる時間が長いなら活用すべき制度がある。防犯カメラや補助錠などの購入費用や、防犯工事の一部を補助してくれるのだ。
「対象商品が防犯性能を示すCPマーク付きの製品に限られたり、工事前に申請が必要な場合もあるので条件を自治体に確認してください。予算枠に限度を設けている自治体も多いので、申請するなら早い方がいいでしょう」(黒田さん)