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《肺がんを患い片肺を切除》度重なる病を乗り越えてきた倍賞千恵子、山田洋次監督の新作撮影現場で見せたバイタリティー 木村拓哉と21年ぶり共演

映画『TOKYOタクシー』で主演を務める倍賞千恵子
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 度重なる病やけがを乗り越えてきた名優が、「死を身近に感じた」と振り返るほどの病に再びおかされていた。過去に驚異的なスピードで大けがから復帰した倍賞千恵子(84才)は、今回も専門家が驚くほどの回復を見せている。年齢を感じさせない活躍を支える秘密に迫った。【前後編の前編】

「オッケー!」。張り詰めた空気の撮影現場に、映画界の巨匠・山田洋次監督(94才)の声が響き渡る。シリアスな表情から一転して充実した笑顔を見せた倍賞千恵子(84才)は、木村拓哉(52才)とハイタッチを交わした。

 倍賞と木村が主演を務め、山田監督の91作目となる新作映画『TOKYOタクシー』(11月21日公開)の撮影現場での一コマだ。倍賞は人生の終活と向き合う裕福なマダム役で、彼女を偶然乗せたタクシー運転手を木村が演じる。2人は声優を務めたジブリ映画『ハウルの動く城』(2004年)以来21年ぶりの共演で、実写映画では初共演だ。

「今年2月にクランクインし、極寒の空の下で撮影したシーンもあります。なかなか監督のOKが出ずに、何日もスタジオにこもって撮影を続けたことも。それでも倍賞さんは疲れた様子を一切見せず、年齢を感じさせないバイタリティーで現場を引っ張っていました」(映画関係者)

 1960年に松竹歌劇団に入団した倍賞は、翌年に映画デビュー。山田監督の映画『男はつらいよ』シリーズで渥美清さん(享年68)演じる寅さんを心配するけなげな妹・さくらを演じ、国民的女優となった。

 60年以上にわたり女優、歌手として精力的に活動を続けてきた倍賞だが、その半生は病気やけがとの闘いでもあった。

 20代で腎臓結石を患い、60才で乳がんを発症。67才のときに脳動脈瘤の手術を受け、その4年後には背骨が神経を圧迫する脊柱管狭窄症が判明して背骨をボルトで固定した。

『TOKYOタクシー』で共演した木村
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 骨折も過去に5度経験。2年前には転倒して大腿骨を骨折し、人工関節を埋め込む手術をした。

「度重なる病を乗り越えてきた倍賞さんは、“いくつになっても仕事ができる自分でいたい”と口にしていて、いまも健康には人一倍気を配っています。水泳や散歩を日課としていて、食生活も野菜中心。肺活量を維持する目的で呼吸も意識していて、鼻から息を大きく吸い込み、ゆっくりと時間をかけて吐ききる“ロングブレス”のような深呼吸が就寝前の習慣になっています」(芸能関係者)

 しかし万全を期していたはずの彼女に、病魔は再び襲い掛かっていた。現在発売中の『婦人公論』(2025年11月号)のインタビューで倍賞は、《少し前に肺がんを患い、片肺を少し切除した》と明かした。

「健康に気を配っていただけに、判明時には相当落ち込んだそうです。乳がんに続いて2度目のがんですし、何より彼女は母親を肺がんで亡くしています。

 現在は回復しているようですが、乳がんがわかったときと同じように、“死を身近に感じた”と振り返ることもありました」(前出・芸能関係者)

 横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長で呼吸器内科が専門の三島渉医師が解説する。

「肺の一部を切除すれば、その分、肺機能は失われます。なかには術後に息苦しさを覚える人もいて、リハビリで術前の状態まで回復するのが難しいケースもあります。倍賞さんの場合は仕事に支障がないまでに回復しているようですが、以前から深呼吸が習慣化していたことで呼吸に必要な肺まわりの筋肉(呼吸筋)が鍛えられており、リハビリでスムーズに回復に向かったと考えられます」

(後編につづく)

女性セブン2025116日号 

健康的なスタイルをキープする倍賞(2024年)
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女優の倍賞千恵子
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