
人生100年時代は、“体も頭も元気なまま長生きすること”が課題に。そこで、脳卒中死亡率の高かった長野県を健康長寿県に導いた医師・鎌田實さんに、長生きの秘訣が詰まった食事術を教えてもらいました。77才の現在もメディア等で活躍する鎌田さんの食事を参考に、料理研究家で管理栄養士の沼津りえさんが献立を考案。おいしく食べて元気に年を重ねましょう!
老化とは、体が酸化した結果。防ぐためには食習慣の改善を
「老化は体の“酸化”によって起こります。さらに酸化により、動脈硬化や高血圧、がん、認知機能低下などのリスクが高まります。
老化防止のために意識して摂りたいのは、野菜を中心とした抗酸化食材。そのほか、たんぱく質やカルシウム、腸活食材などを取り入れる食生活を心がけましょう。“おいしく手軽に”が、無理なく続けるコツです」(鎌田さん)
抗酸化パワーの強い食材をたっぷりと
まずは、抗酸化に欠かせない野菜を1日350g摂ることを目標に。抗酸化力が強い緑黄色野菜は、特におすすめ。そのほか、鮭やナッツ、くだものなども◎。
たんぱく質、カルシウムも意識する
筋肉量や骨密度の低下は、寝たきりの危険につながる。たんぱく質やカルシウムを積極的に摂り、フレイルや骨折を防止。
腸活食材を効率的に取り入れる
腸は認知機能や免疫機能など体のあらゆる働きと関わっているため、いわば長生きの要。発酵食品とエサとなる食物繊維を一緒に摂って、効率的に腸活を。
1日の食事のボリュームは朝:昼:夜=4:4:2
まず大切なのは1日に野菜350gを目標に、3食欠かさず食べること。食事のボリュームは、朝:昼:夜=4:4:2を目安にし、朝と昼はしっかり、夜は控えめに。夕食は早めに摂り、20時頃までに食べ終えるようにするのもポイント。
【野菜1人分160g】朝献立
栄養満点で手間なく作れるメニューが◎。継続こそ長生きのカギ!
・ほうれん草とミニトマトの巣ごもりトースト
・ゴロゴロかぼちゃのスープ
・バナナ入りヨーグルト
トースト1枚で、緑黄色野菜とたんぱく質豊富な卵を一度に摂取。卵には認知機能を守るコリンなどの栄養素も。スープのかぼちゃで抗酸化パワーをプラスし、発酵食品であるヨーグルトでカルシウムとたんぱく質もチャージ。
「ほうれん草とミニトマトの巣ごもりトースト」のレシピ
フライパンを使わずトースター一発加熱で完成。
《作り方》(2人分)
【1】ほうれん草60gはゆでて2cm幅に切り、ミニトマト6個は半分に切る。
【2】食パン2枚にマヨネーズ小さじ1を塗り、【1】を広げてのせる。中央をくぼませて軽く塩・こしょう各適量を振り、卵を1個ずつ割りのせる。
【3】マヨネーズ大さじ1をかけ、トースターで7~8分、卵が好みの硬さになるまで焼く。器に盛り、粗びき黒こしょう少量を振る。
「ゴロゴロかぼちゃのスープ」のレシピ
皮ごと使って栄養アップ。粗くつぶして食べごたえも。
《作り方》(2人分)
【1】玉ねぎ50gは薄切りにし、かぼちゃ150gは皮つきのまま5mm幅に切る。
【2】鍋にバター10g、【1】を入れて弱火にかけ、3~4分炒める。
【3】水1カップを加え、かぼちゃが柔らかくなって水分量が半分くらいになるまで中火で煮る。
【4】レードルの背でかぼちゃを粗くつぶし、牛乳3/4カップを加えて混ぜる。温まったら塩小さじ1/4、こしょう適量で調味する。
【野菜1人分135g】昼献立
好きなものを多めに食べてOKなごほうびタイム。

・厚揚げ豆腐のキーマカレー
・春菊とりんご、くるみのサラダ
カレーには5種類の野菜をたっぷりイン。春菊は生食することで、栄養の吸収力がアップする。りんごは塩分排出を助けるカリウムが豊富。
「厚揚げ豆腐のキーマカレー」のレシピ
厚揚げと鶏ひき肉で満足感を出しながらヘルシーに。
《作り方》(2人分)
【1】玉ねぎ50g、にんじん20g、ピーマン1個はみじん切り、しめじ50gは石づきを除いてざく切りにする。
【2】フライパンにサラダ油小さじ1、【1】、にんにくのみじん切り小さじ1を入れ、玉ねぎがしんなりするまで中火で炒める。厚揚げ豆腐150gを加えてへらでつぶしながら炒め、鶏ひき肉50gを加えてしっかり炒める。
【3】カレー粉大さじ1、塩小さじ1/3を加えて炒め、ミニトマト6個、水1カップを加えて6~7分煮る。しょうゆ小さじ2を加えて混ぜ、ご飯適量とともに器に盛る。
「春菊とりんご、くるみのサラダ」のレシピ
生の春菊×くるみで抗酸化パワーMAX。
《作り方》(2人分)
【1】春菊60gはざく切り、りんご1/4個はいちょう切りにし、くるみ10gは粗く刻む。
【2】オリーブオイル大さじ1、酢大さじ1/2、塩小さじ1/4、こしょう適量を混ぜ合わせる。
【3】器に【1】を盛り、【2】を回しかける。
【野菜1人分150g】夜献立
栄養はきちんと摂りながら量は少な目にして食べすぎない。

・鮭の具だくさんみそ汁
・納豆
・ご飯(小盛り)
鮭に含まれるアスタキサンチンには、強力な抗酸化力が。抗酸化力のほか葉酸やカリウム、たんぱく質なども豊富なブロッコリーとは最強コンビ。納豆を添えて発酵パワーも。
「鮭の具だくさんみそ汁」のレシピ
旬の生鮭を使ってボリュームのある“食べるみそ汁”に。
《作り方》(2人分)
【1】生鮭2切れ(150g)は1切れを3~4等分に切る。塩少量を振って5分おき、水気を拭く。
【2】大根80g、にんじん20gはいちょう切り、玉ねぎ50gはくし形切り、じゃがいも80gはひと口大に切り、しいたけ1個は軸を除いて5mm幅に切る。
【3】鍋にだし汁2カップを入れて中火で沸かし、【2】を加えて5~6分煮る。【1】、小房に分けたブロッコリー50gを加えて5分ほど、鮭に火が通るまで煮る。みそ大さじ1と1/2を溶き入れる。
◆教えてくれたのは:医師・作家・鎌田 實さん

諏訪中央病院名誉院長。地域医療の先駆けとして、食生活の改善や健康への意識改革の普及に努める。近著は『鎌田式 最強のズボラ朝メシ!』(エクスナレッジ)。
◆レシピ考案:料理研究家・管理栄養士・沼津りえさん

料理教室「COOK会」主宰。作りやすくてヘルシーなレシピを提案。著書に『切って漬けるだけ! やみつき しみしみ野菜』(ナツメ社)など。
撮影/川上朋子
※女性セブン2025年11月13・20日号