エンタメ

《売名でーす》杉良太郎「被災地での福祉活動」を語る「何をやっても反対する人はいる」出版会見で見せた「献身の境地」

著書が絶賛発売中
写真5枚

15才で刑務所を慰問したことに始まり、阪神・淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震などの災害支援に尽くしてきた。また、10月に行われた天皇皇后両陛下主催の秋の園遊会では日本ベトナム親善大使として招かれるなど、その活動は国内に留まらず、海外にも及んでいる。ベトナムでは245人の養子を迎えるなど、様々な活動へこれまで投じた私財は数十億円。だが杉は、そもそも社会福祉活動について伏せてきた。

「30年ほど、内緒でやっていました。バレたらあれこれ言われて、大変な時代だったんです。でもある自治体に寄付したら公になってしまって、そこで、もういいやと開き直りました。人のため、社会のためを思っての行動でも、それを誰もがみんな、受け入れる世の中ではない。何をやっても反対する人は反対するんです。もう人間って、本当やんなっちゃう」

人は何のために生きるのか。自分にできることは何か――。ひたすら自分に問い続け、考え続けていると、常々語っている杉。その道のりで辿りついたのが、「献身」の境地だった。

「献身とは、頑張って、頑張って、苦しんで、苦しんで、のたうち回って、やっと相手に喜んでもらえるもの。これが福祉の基本。楽ではないんですよ。私はそのことが、身に染みている。見返りを求めず、尽くしてこそなんです。ずっと、私があの世へ行くまで続けるんだろうと思いますよ。時々、自分の心に聞いてみるんです。そうすると『たぶん、そうだよ』と返ってくる。いつまでやってここで終わる、なんて計画はないんです。社会福祉活動は、自然にやっていること。性格だから。これからも変わらず励んでいくだけです」

そう、すっきりした表情で語った杉。芸能活動60周年記念として、同著には上京後の下積み時代からデビュー後の華々しい芸能活動を振り返り、長谷川一夫や江利チエミ、美空ひばりといった、往年のスターとのエピソードも散りばめられている。『文五捕物絵図』『遠山の金さん』の知られざる舞台裏など、昭和の芸能史としても貴重な記録だが、光の陰で杉が人知れず抱えていた苦労や孤独、葛藤も、飾ることなく綴られている。

その節々で、やはり性格なのだろう。月13本の主演ドラマを撮影しながら脚本作りまで担った限界の日々など、どんな時でも「自分にできることは何か」と考え、芸能活動でも見返りを求めることなく尽くしてきたことがうかがい知れる。“生涯献身”――。杉の生き様に触れると、その言葉がスッと腑に落ちる。