《性行為中にこっそり避妊具外すと犯罪》英美人司会者(31)が告白「6回も外され中絶もした」終身刑もあり得る「ステルシング」世界で進む厳罰化、日本はどうか【弁護士が解説】

近年、“予期せぬ妊娠”に悩む人の相談窓口を、日本の地方自治体などが開設している。いわゆる「妊娠SOS」が、官民一体となって進められているが、海外は一歩先を進んでいるようだ。欧米では、性行為における“不正”に対する厳罰化が進んでいるという。その不正とは、性交渉中に相手の同意なく避妊具(コンドーム)を装着せずに性行為に及ぶ「ステルシング」である。
オランダでは今年8月、ステルシングを行った40歳の男に同国初の実刑判決が下り、3か月の禁固刑と被害女性に対する4000ドル(約63万円)の賠償金支払いが命じられた。二人は出会い系アプリで知り合い、数回のデートを重ねた後、被害女性の自宅で初めて性行為に及んだ。
法廷での被害女性の証言によると、彼女は男にコンドームを装着しているかどうか、複数回尋ねたが、彼は明確に返答しないまま挿入したという。コンドームが装着されていないことに気づいた被害女性が「妊娠リスクは避けたい」と主張したために性行為は中断された。しかし、被害女性がその後、警察に通報したことで、男の訴追に繋がった。
同国では2024年に施行された改正性犯罪法によって、ステルシングが処罰対象となったばかりだった。スイスやカナダ、ドイツ、オーストラリア、イギリスでは、既にステルシングを禁止する法律が存在する。
ただ、ステルシングに対する処罰規定が存在していても、国民に犯罪として認識されているかは別問題のようだ。
イギリスの人気リアリティ番組「ラブ・アイランド」の女性出演者で、モデルや司会者としても活躍するミーガン・バートン・ハンソン(31歳)は昨年12月、過去に最大6回、ステルシングの被害に遭い、中絶を余儀なくされたことについてメディアに告白し、衝撃が広がった。彼女は当時、犯罪被害にあたるとは認識していなかったという。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが18~25歳の男女を対象に行った最新の調査でも、ステルシングを性犯罪と考えていない、とした回答者の割合は1割以上にのぼっている。ステルシングが強姦に準じる行為として認定されており、最大で終身刑が下される可能性もある重罪とされているイギリスでもこのレベルなのだ。

とはいえ、世界では、ステルシングに関する法律がさらなる広がりを見せている。
米ニューヨーク州でも今年4月、同意に基づく性行為中のステルシングを禁止する新しい法案が州上院本会議を通過した。さらにワシントン州議会でも、ステルシングに5000ドルの罰金を課す法案が審議中だ。また、刑事上の犯罪行為として罰則の対象となっていなくても、米カリフォルニア州など、ステルシングを民事上の不法行為と認定する国や地域も増えている。韓国のソウルの裁判所でも2021年、交際中の女性との性行為においてステルシングを行った男性に対し、損害賠償を命じる判決が下っている。
では、日本ではどうか。性犯罪に詳しい加藤・轟木法律事務所の加藤博太郎弁護士が解説する。
「現時点では、相手の同意を得た性行為におけるステルシングを罰する法律はありません。ただ、それによって性感染症を相手に感染させた場合は傷害罪に問われる可能性は考えられますし、妊娠させて中絶させれば、民事上の賠償請求対象となることもある」
世界は確実にステルシングに罰則を与える流れになっている。日本でも今後、ステルシングを禁止する法律が新設される可能性があるという。
「性犯罪とは、相手の『性的自己決定権』を侵害する行為です。そして、感染症や妊娠などの性行為によるリスクをコントロールすることも自己決定権と解釈できる。日本で進む性犯罪の厳罰化を見ても、将来的にはステルシングが明確に処罰対象となることも考えられます」(加藤弁護士)
性行為におけるコンプライアンスも、ワールドスタンダードに対応する必要が迫られている。









