健康・医療

《医師が選んだ本当に頼れる病院 狭心症・心筋梗塞編》症状が出たら一刻も早い治療が必要 “カテーテル治療”“バルーン治療”のメリット・デメリットを解説 

 患者にとって、手術より負担が軽く、短時間で終わるカテーテル治療の方が生活復帰しやすく魅力的である一方、マイナス面もある。中でも懸念されるのは、ステントを入れた場合には抗血栓薬をのみ続ける必要があることだ。出血しやすくなるのでけがをしないよう注意が必要なほか、歯の治療やほかの病気で手術を受けるときには服薬管理が必須となる。星総合病院循環器内科部長の越田亮司医師が話す。

星総合病院循環器内科部長の越田亮司医師
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「30〜40代の若さで心筋梗塞になる人がたまにいます。そうした若い世代のかたは残りの人生が長いですから、体内に異物を残さずに済むのであれば、と考えることが少なくない。全員がステントなしというわけにはいきませんが、若い世代は血管を拡げる治療だけをしておいて、その後は再発を防ぐために、生活指導や服薬を中心とする予防的な治療を考えます。そして高齢になったときに、あらためてカテーテル治療や手術を検討する。そういったライフステージに応じた治療を考えることも大切です」

 2023年には、再狭窄を防ぐ薬剤を塗布したバルーン(DCB)が、一定の条件を満たした症例に限り保険適用となった。豊橋ハートセンター副院長で循環器内科医の羽原真人医師が話す。

豊橋ハートセンター副院長で循環器内科医の羽原真人医師
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「当院では約7割にステントを留置していますが、残りの約3割はバルーンだけで治療をしています。

 バルーンはステントのように金属を使用していないので抗血栓薬をのむ必要がなく、がんなどの手術をすることになった場合にメリットがあります。脳出血を起こしたことのある高齢者なども、抗血栓薬をのんでいると再出血しやすくなるので、なるべくステントなしで治療した方がいい」

 このように、すべてカテーテル治療をすればいいというものでもない。前出の越田医師が続ける。

「冠動脈の中でも特に重要な『左前下行枝(ひだりぜんかこうし)』の病変では、内胸動脈をつないだ場合の長期成績が確立されている。そのため、バイパスを吻合(ふんごう)する部位の条件がよければバイパス手術が考慮されます。もしほかの部分にも病変があるとわかったら、後日カテーテル治療をすることもできます。

 また、高齢になるほど持病があり、体力的にもすべてをバイパス手術で行うのは難しいことが多い。

 その場合、開胸手術は必要最小限にして、体に負担がかかるところはカテーテルで治療するといったことも可能です」

 手術とカテーテルを組み合わせた治療を「ハイブリッド治療(あるいはブレンデッド治療)」という。それには、循環器内科医と心臓血管外科医の協力が不可欠だ。越田医師は「特に高齢で複数の疾患のある人ほど、双方の連携が取れていて、どちらも一定以上の治療数のある病院が望ましい」とアドバイスする。

名医が選んだ「心臓血管外科」で頼れる病院
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名医が選んだ「心臓血管外科」で頼れる病院
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(第2回に続く)

【プロフィール】
鳥集徹(とりだまり・とおる)/同志社大学大学院修士課程修了(新聞学)。新著『妻を罵るな』が発売中。