健康・医療

【リスクの多い多剤併用】見直すためのステップを解説 原則は医師に相談して「効果の弱いものから」「1種類ずつ」やめていく、自己判断での断薬は危険

断薬する場合は、自己判断ではなく医師に相談が必要だ(写真/PIXTA)
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 咳や鼻水などかぜの症状や頭痛、めまい、アレルギーなど不調を改善してくれる「薬」は副作用のリスクも指摘され選び方が難しい。では、“健康のプロ”である医師たちは、どんな薬を、どのように使っているのだろうか。薬との付き合い方を名医たちに指南してもらった。医師たちが回答したアンケート結果による「本当にのんでいる市販薬・処方薬ランキング」を紹介した前編に続き、後編では注意すべき「多剤併用」について解説する。【前後編の後編】

気をつけるべき「多剤併用」のリスク

 薬にうまく頼ることが健康を保つコツである一方、「多剤併用」には気をつけるべきだ。医師たちも常備薬を持ちながら、服用のタイミングや頻度には気を配っている。多剤併用の危険性について、松田医院和漢堂院長の松田史彦さんが語る。

「漢方薬はもともと複数の生薬を組み合わせ、多剤の複合効果で効かせる薬です。しかも数百〜数千年以上も人間に使い続けられてきた実績があるため、人間の体を通して、効能だけでなく危険性も試され続けてきています。

 一方で、西洋の薬は単一の化学物質の効果が基本のため、そもそも組み合わせることを前提としていません。漢方薬より歴史も浅く、新薬なら数年、古くても百数十年程度しか使われてきていません。つまり、複数の薬を多剤で使った場合の影響はほとんどわかっていないのが現実です。いま、あなたが自分の体を使って人体実験をしているようなものといえるのです」(松田さん・以下同)

 年齢を重ねれば、体のあちこちに不調が出るのは自然なこと。痛みが出て整形外科、眠れなくて心療内科、血圧が高くて循環器科……と、次々に病院に行けば、あっという間に7、8種類の薬を出されることになる。事実、厚労省の調査によれば、75才以上の約4分の1が、同一薬局で7種類以上の薬を処方されている。

 1回に5種類以上の薬をのみ続けていると副作用が出やすくなるという報告もある。薬剤の代謝に重要な肝臓や腎臓に障害が出やすくなるほか、血圧や血糖値が下がりすぎて転倒し、その結果骨折して寝たきりになったり、打ちどころが悪く命を落とすリスクも指摘される。処方薬には、継続的に服用する「定期薬」と、症状が出たときだけのむ「頓服」があり、まずは定期薬を見直すのが先決。

名医が選んだ「私が頼る薬」ランキング
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「内科、整形外科、泌尿器科など複数の診療科を受診すると、あっという間に薬が増える。同じ効能の薬が重複して処方されることもあります。全体を把握するホームドクターを決め、成分が重複していないかチェックしてもらうといいでしょう」

 そうして医師に相談のうえで、一気にすべてやめるのではなく、「効果の弱いものから」「1種類ずつ」やめていくのが原則だ。

「胃薬や頭痛薬、整腸剤などは、症状がなくなればのむのをやめましょう。抗コレステロール薬や糖尿病治療薬なども、医師に相談のうえ減薬、断薬にトライしましょう」

 気をつけたいのは、市販薬と処方薬にはやめ方に違いがあることだ。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんが説明する。

「いつでも、誰でも買えるということは、自分でいつでもやめられるということでもある。“なんとなく、のどがイガイガする気がする”程度でのむ市販薬は自分の判断でやめられます。一方で、高熱や咳、たんが続くなら病院を受診して薬を処方してもらう方がいい。なお、高血圧症などの慢性病や感染症を治療するために医師が処方した薬は、独断でやめてはいけません」