健康・医療

《女医10人が本当に実践》腸を整える“毎日の習慣” 便秘、むくみの改善から病気になりにくい体づくり、認知機能低下の予防のためにするべきこと

水を飲む女性
女性医師が本当に実践する腸が生き生きと機能するための習慣とは?(写真/PIXTA)
写真14枚

腸活ブームのいま、世の中にはいくつもの腸活術があふれていて、“いったいどれをやったらいいの?”と迷う人もいるだろう。そこで女性医師が本当に実践する腸が生き生きと機能するための習慣を取材。今日からできる整腸メソッドが丸わかり!

腸の状態は美容やメンタルにも深く関係

腸は本来「食べ物を消化・吸収し、残りカスを便として出す器官」として働くが、その役割は多岐にわたる。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが言う。

イシハラクリニック副院長の石原新菜さん
イシハラクリニック副院長の石原新菜さん
写真14枚

「腸壁には、全身の約7割の免疫細胞が集まっていて、ウイルスや細菌、がん細胞などから体を守ってくれています。さらに腸の状態は美容やメンタルにも深く関係している。腸内環境が悪いと“幸せな気分”にもなれません」

男性に比べて女性の方が便秘や下痢など、お腹の不調に悩まされるとされるが、そんな“不腸”を抱えていると、全身の健康にも影響を及ぼす。また、腸には脳の次に多い、1億以上の神経細胞が集中しており「第二の脳」と呼ばれる。脳とは「脳腸相関」と呼ばれる密接な関係がある。

「脳と腸は2000本くらいの神経繊維でつながっています。そのため脳がストレスを受けると腸に信号が行き、下痢や便秘、過敏性腸症候群などを引き起こすことがあります」(石原さん)

鍵を握るのが、腸内フローラと呼ばれる腸内細菌のバランスだ。腸内には1000種類以上、約100兆個もの腸内細菌がすみついており、善玉菌、悪玉菌、どっちつかずの日和見菌の大きく3つに分けられる。

この腸内細菌のバランスが、私たちの肌の状態にも大きな影響を及ぼしていると話すのは、湘南美容クリニック新宿本院副院長の御園生佳奈子さんだ。

湘南美容クリニック新宿本院副院長の御園生佳奈子さん
湘南美容クリニック新宿本院副院長の御園生佳奈子さん
写真14枚

「腸内環境は栄養の吸収や老廃物の排出に影響するため、肌荒れ、くすみ、ニキビなどの美容トラブルとも密接に関係しています。

腸内環境が乱れると慢性的な炎症を起こしやすくなり、その結果、老化を促進すると考えられています」

石原さんは、特に便秘は「美肌の大敵」だと続ける。

「老廃物の75%は便から出ていくといわれ、便秘だと老廃物を充分に出すことができず、腸内の悪玉菌がますます増えます。

悪玉菌が作った毒素は再び血管の中に吸収されて全身をめぐり、それを皮膚から出そうとして肌荒れを悪化させるのです」

丸の内の森レディースクリニック理事長で産婦人科医の宋美玄さんが言う。

丸の内の森レディースクリニック理事長で産婦人科医の宋美玄さん
丸の内の森レディースクリニック理事長で産婦人科医の宋美玄さん
写真14枚

「私たちは食事と一緒に無数の細菌や異物に触れています。腸はそれらを“入れていいもの”と“入れない方がいいもの”に分けて、免疫が過剰に反応しないようコントロールしています。

腸内細菌が食物繊維を分解して作る物質は、腸を守るだけでなく、全身の炎症や免疫のバランスにも関係している。そのため腸内環境が悪くなると、疲れやすくなったり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなります」

また前述の通り、腸は脳と密接に関係しており、メンタルにも影響を与える。あきこクリニック院長の田中亜希子さんが言う。

あきこクリニック院長の田中亜希子さん
あきこクリニック院長の田中亜希子さん
写真14枚

「“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンは、実は約9割が腸で作られています。腸が整うとセロトニンが分泌されメンタルも安定させてくれる。腸内環境が悪い人は怒りっぽくなったり、落ち込みやすくなるなど不安定になってしまうのです」

さらに腸内の悪玉菌が増えると、炎症物質が発生し血液を介して脳に到達。認知機能の低下や、アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβの蓄積を促すとも指摘されている。

腸内細菌を育てる万能フルーツ

全身の健康をつかさどり、健康寿命を左右する腸を整えるために、名医たちが習慣の基本として欠かさないのが「毎日の腸内環境チェック」だ。そのための指針となるのが便。

「腸内の調子がいいと、便の形や硬さがあまり変わらず、排便後の不快感やお腹の張りも少ない傾向があります。逆に便秘と下痢を繰り返したり、日によって便の状態が大きく変わる場合は、腸が安定していないサイン。まずは1週間くらい、便の状態とお腹の張り、腹痛の有無を意識してみるといいでしょう」(宋さん)

便だけではなく、おならでも腸の状態がわかる。

「腸内環境がいいとおならの回数も少なくてにおいません。一方、腸内環境が悪いとにおいがキツく、強くなります」(田中さん)

写真14枚

腸内環境を整えるうえで、毎日の食事内容を意識することはマストといえる。銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子さんは「善玉菌を増やす」食べ物を積極的に摂っている。

銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子さん
銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子さん
写真14枚

「善玉菌が増えやすい野菜や海藻をたくさん食べるようにしています。食材の種類を多くすることと、たんぱく質の3倍くらいの量を意識しています。納豆、ヨーグルト、みそなどの発酵食品も毎日コツコツと摂取しています」

クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長の浜中聡子さんが続ける。

クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長の浜中聡子さん
クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長の浜中聡子さん
写真14枚

「毎朝りんご、にんじん、セロリ、バナナ、ブルーベリーなどを使ったスムージーを300~400ml飲んでいます。定番の野菜や季節のフルーツなどさまざまな食材を摂って、栄養が偏らないようにしています」

御園生さんは「乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌を組み合わせて取り入れている」という。

「これらはそれぞれ役割が異なり、相互に補完し合う関係にあります。乳酸菌は腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌が増えにくい環境作りをサポート。ビフィズス菌は腸内環境の安定や腸管免疫、バリア機能の維持に関与します。また酪酸菌は腸粘膜のエネルギー源となる酪酸を産生し、腸の炎症を抑えるうえで重要な役割を果たすのです」(御園生さん)

腸にいいものもあれば、もちろんその逆もしかり。さとうヘルスクリニック院長の佐藤桂子さんは、整腸のために控えているものについてこう話す。

さとうヘルスクリニック院長の佐藤桂子さん
さとうヘルスクリニック院長の佐藤桂子さん
写真14枚

「添加物をなるべく摂らないようにしています。添加物は腸内で悪玉菌を増やし、腸内フローラを乱すため、いいことがありません。

外食や中食はなるべく控えて、自炊で使う調味料は有機JAS(※日本農林規格に基づき、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品)のものを選んでいます」

食事する女性
外食や中食はなるべく控えて、自炊で使う調味料は有機JASのものを(写真/PIXTA)
写真14枚

田中さんが毎日続けているのは「朝バナナ」。

「腸内環境をよくするには、腸にいいものを摂ること、腸にとって悪いものを摂らないことと同時に、腸内で腸内細菌を育てることが大切。バナナには食物繊維やオリゴ糖が含まれていて、腸内細菌を育ててくれます。私は朝バナナを始めてから、明らかに便の状態がよくなりました」(田中さん)

体にいいものを積極的に摂ろうとするあまり、「食べすぎ」にならないように注意しよう。消化器病専門医の工藤あきさんが言う。

消化器病専門医の工藤あきさん
消化器病専門医の工藤あきさん
写真14枚

「食べすぎると未消化のものを腸に送り込むことになり、腐敗や腸内環境悪化のもとになります」

運動する+水を飲むは最強コンボ

腸を整えるには、運動習慣も欠かせない。医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんが話す。

医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さん
医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さん
写真14枚

「私は週4~5回は泳いでいます。泳がない日は朝のラジオ体操を欠かさず、夜の入浴時にも浴槽のなかで体をひねるストレッチを行っています。実際に運動習慣を身につけたことで便秘が解消したという人は多い。運動後の水分摂取も腸を刺激する効果があると考えられます」

運動は体を温め、腸の血流をよくして老廃物の排出などを高める効果が期待される。腸を温めるために宋さんが習慣にするのが「朝のコップ1杯の水」だ。

「起床後に水を飲むことで腸・結腸反射が刺激され、腸のぜん動運動が促されます。冷たい水で刺激するのもいいですが、50℃ほどの白湯だと胃腸を温める効果もあり、一石二鳥です」

お腹を温めることに徹しているのが、石原さんだ。

お腹を温めることに徹しする
お腹を温めることに徹する(写真/PIXTA)
写真14枚

「私は一年中、夏でも腹巻きをしていて、今年で20年目になります。腸を温めることは免疫細胞の働きをよくし、腸内細菌にとってもいい。

女性の便秘は冷えて腸の動きが悪くなることが原因のことが多いので、腹巻きをするだけで便通がよくなる人もいます」

マッサージをすることで腸への刺激を与えると話すのは、イーク表参道副院長の高尾美穂さんだ。

イーク表参道副院長の高尾美穂さん
イーク表参道副院長の高尾美穂さん
写真14枚

「お腹のマッサージを日常的にしています。握りこぶしを助骨の下に右側、左側と交互にぐーっと押し込むだけ。上半身を使って体重をかけるとしっかり大腸に届きますよ。これにより腸の活動を促すことができます」

自分にあった腸活を見つける

一方で、整腸ルーティンには注意も必要だ。

「腸にいいことだけをするのではなく、生活習慣も含め腸によくないことをまずは見直すことが大切です。

例えば、食べすぎや不規則な食事、脂っこいものや刺激物の摂りすぎなどは腸に負担をかけます。そうした習慣を見直しましょう」と御園生さんは話す。

また、石原さんが例として挙げるのが、最近注目を集めている「FODMAP」。小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質の頭文字、F(発酵性)、O(オリゴ糖)、D(二糖類)、M(単糖類)、AND、P(ポリオール)の頭文字からとった言葉だ。

「FODMAPは腸にいいといわれますが、ガスが発生しやすい食材でもあるので、摂りすぎるとお腹が張ったり、便秘や下痢を繰り返すこともあります。

一生懸命行っている腸活が、自分のお腹に合っていない場合もあるので要注意。ヨーグルトや納豆、キムチなども、お腹の調子がよくならないと感じたら、2週間くらい食べないようにするといいでしょう」(石原さん)

腸の調子と相談しつつ、自分に合った腸活を継続することが肝要だ。福田さんが言う。

「大事なのは毎日続けること。まずできそうなこと、簡単なことからひとつずつ実践するといいですね」

健康にも美容にも、そして心にも影響する腸の働き。名医たちの整腸ルーティンを参考に、自分に合った腸活を始めよう。

名医10名が実践!腸を美しく整える『毎日習慣』

イシハラクリニック副院長 石原新菜先生

・温活/365日、夏でも腹巻きをしてお腹を温める
・藻活/毎日もずくやめかぶを食べる
・菌/自家製ぬか漬けを常備。みそは生みそを使用

丸の内の森レディースクリニック院長 宋美玄先生

・起床後にコップ1杯の水を飲む
・グラノーラとヨーグルトの朝食を食べる
・毎食後に10~20分のウオーキングを行う

あきこクリニック院長 田中亜希子先生

・朝はバナナを1本食べる
・エアロバイクを30分行って腸を動かす
・お風呂に入って腸を温める

医学博士兼任健康科学アドバイザー 福田千晶先生

・野菜をたくさん食べる
・水分不足にならないようにこまめに水分補給
・週に4~5回運動をする

消化器病専門医 工藤あき先生

・自分の消化機能を超えた量を食べない
・食物繊維は毎食摂る
・いろいろな食材をなるべく多く食べる

湘南美容クリニック新宿本院副院長 御園生佳奈子先生

・乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌を摂取する
・ガスや炎症を起こさないように食べすぎないことを意識する
・朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲む

銀座ケイスキンクリニック院長 慶田朋子先生

・野菜と海藻をたくさん食べる
・納豆、ヨーグルト、みそといった発酵食品を毎日食べる
・ジャズダンスやピラティスのほか、ゆるストレッチは日常的に行う
・水分を必要充分量飲む

さとうヘルスクリニック院長 佐藤桂子先生

・添加物をなるべく摂らない
・薬は必要最小限にする(特に抗生剤)
・食物繊維をたくさん摂る

イーク表参道副院長 高尾美穂先生

・朝はトイレで、腸の状態を確認する
・人肌の白湯をコップ1杯分飲む
・お腹のセルフマッサージ

クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長 浜中聡子先生

・毎朝のスムージー (りんご、にんじん、セロリ、バナナ、ブルーベリーなど)を毎朝300~400ml飲む
・運動、睡眠、食事など生活に必要なことを疎かにしない

※女性セブン2026年2月19・26日号