
さまざまなメンタルの不調を引き起こすのが血糖値。低血糖により交感神経が刺激されると、感情が高ぶりやすくなり、イライラしたり、攻撃になったりすることもある。逆に言えば、血糖値を管理できれば、精神的にも安定するということだ、血糖値を安定させるためにすべきこととは──。【前後編の後編。前編から読む】
食事を空けすぎるとリズムが乱れる
血糖値をどのようにコントロールすればいいのか。管理栄養士の浜本千恵さんは「ベジファーストが重要」と話す。
「野菜などの食物繊維を先に食べることで、血糖値の急上昇を抑えることができます。酢が利いたものや、肉や魚などのたんぱく質を先に食べるのもいい。食前に牛乳や豆乳、アーモンドミルクを1杯飲むだけでも、血糖値の急上昇を抑えることができます」
チョコレートやクッキーなど砂糖たっぷりのお菓子は血糖値スパイクを加速させる。だからといって、炭水化物を控えすぎるのも逆効果だ。
「糖質を減らしすぎるとエネルギーが不足して、かえって血糖値の乱高下を招きます。糖質の量よりも、むしろ食べ合わせと食べる順番が大切。食後はこまめに体を動かすことで、糖がエネルギーとして消費されやすくなります。
お酒は血糖値スパイクの原因になるので飲むなら食事に合わせて、量はほどほどにしましょう。同時にたんぱく質と炭水化物をしっかり摂るようにすれば、血糖値が安定しやすくなります」(浜本さん)
血糖値の乱れを防ぐには、長い空腹時間を避けて血糖値の「山と谷」を作らないようにすることだ。『気分の9割は血糖値』の著者で、こいけ診療所院長の小池雅美さんが指摘する。
「1日3食、6時間以上空けずに食べるようにしましょう。空けすぎると血糖値のリズムが崩れる原因になるので、朝はきちんと食べてほしい。
食欲が出ないという人は、みそ汁やスープから始めるといいでしょう。温かい食べ物は胃腸を温め、血糖値が安定しやすくなります」(小池さん・以下同)
食事の間隔が空く場合は、「補食」を取り入れるといいだろう。
「補食とは、低血糖を防ぐために小さな食事をとることです。おすすめは、おにぎりやスープ、干しいも、バナナなど。おやつではないので、菓子パンやケーキなど甘すぎるものはやめましょう。
目安は、10〜11時に1回、15〜16時に1回の計2回。空腹をコーヒーなどのカフェインでごまかすのは、交感神経を刺激するので逆効果です」

浜本さんは、食物繊維をたっぷり取り入れた食事をしてとアドバイスする。
「海藻やきのこ、葉物野菜を意識して摂るようにしましょう。特に、めかぶやわかめなど、海藻に含まれる水溶性食物繊維はいい。主食は白米や食パンより、玄米や麦ご飯、全粒粉パンなど食物繊維が多いものを選んでください。同じエネルギー量でも、血糖値の急上昇を抑えることができます」(浜本さん)
日々の生活習慣でも気を配るべきことがあると小池さんは言う。
「交感神経が優位になると毛細血管が収縮し、冷えを感じやすくなります。手足の冷えを防げば、低血糖によるイライラを改善できます。足元が冷えやすい人は、ホットカーペットを敷いたり、ふくらはぎに使い捨てカイロを貼るなどして温めましょう。厚手の靴下は保温効果こそありますが、すでに足が冷えていると温まりません」
運動習慣も欠かせない。
「筋肉量が減ると食後の血糖値が上がりやすくなるので、筋肉を落とさないようにすることが大事。ウオーキングや軽いスクワットなど、ちょっとした運動習慣を生活に取り入れましょう」(小池さん)
血糖値の安定には質のよい睡眠も必要だ。睡眠が不足するとコルチゾールなどのストレスホルモンが増加し、血糖値が上がりやすくなる。
「最低でも6〜7時間の睡眠を確保しましょう。寝つきをよくするには、夜は炭水化物や油の多いものを控えて、就寝の3時間前までに食事を済ませてください。血糖値が乱れやすくなるので就寝1〜2時間前の飲酒もNGです」(浜本さん)
血糖値を整えることは、体だけでなく心を守ることにもつながる。血糖値を味方につけることが、穏やかな毎日への第一歩だ。

※女性セブン2026年3月12日号