
例年にないペースで飛散する今年の花粉。体調を崩す人も多い中、頼るべきは薬や治療だけでなく日々の生活だ。体の内側から花粉症を治す食品と習慣を、専門医と食のプロ10人が全力回答。今日から実践して、うららかな春を満喫しよう。
花粉症には日々の食事や生活習慣が大きくかかわっている
花粉症シーズンが本格化し、くしゃみや鼻水、目のかゆみに悩まされる人が増えている。薬や治療を求めて病院へ足を運ぶ人も多いだろう。
一方で、花粉症のアレルギー反応のカギを握る体内の「免疫バランス」は、日々の食事や生活習慣が大きくかかわっているという。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが解説する。
「免疫が花粉を異物と判断して戦おうとすることで起きるのが花粉症です。戦う必要がないのに、免疫バランスが崩れて体が過剰に反応してしまう。そのため、食事や生活習慣を見直してバランスを整えれば改善は可能です。
私自身、生活を見直すことで重症だった花粉症が治りました。薬を使わずに症状が軽減した患者さんもたくさんいます」
管理栄養士の金丸絵里加さんも言う。
「花粉症は、花粉に対する抗体がコップの水のように少しずつたまり、あふれたときに発症するといわれています。抗体がたまる速度は、食事や生活習慣によって変わるため、予防できるだけでなく、発症後でも改善できます」

食事と生活習慣で体を内側から整えれば、花粉症を乗り切ることができる。そこで医師など10人の専門家に、花粉症に負けないための「最強の食品」と「究極の習慣」を聞いた。
以下の10人の医師と食の専門家に花粉症に効く「最強の食品」と「究極の習慣」を最大10個挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。10点以上の項目をランキング化。
教えてくれた識者10人
石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、飯野雅美さん(管理栄養士)、浦長瀬昌宏さん(神鋼記念病院耳鼻咽喉科科長/医長)、岡宮裕さん(代官山パークサイドクリニック院長)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、佐野こころさん(医学博士)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、真野わかさん(養腸家/セラピスト)、望月理恵子さん(管理栄養士)
毎日の発酵食品で腸内環境を整える
今回、専門家全員が名前を挙げ、2位に2倍近くの差をつけて圧倒的な支持を集めたのが「ヨーグルト」(1位)だ。

「免疫細胞の約7割は腸に集中しているため、発酵食品で腸内環境を整えることは花粉症の予防、改善に重要です」(石原さん)
ヨーグルトの花粉症対策の効果は研究でも示されている。管理栄養士の望月理恵子さんが話す。
「1日200ml以上のヨーグルトを1年間継続摂取した調査では、約3割の人に症状の軽減が見られました。ただし乳酸菌は腸に定着しにくいため、毎日継続して、最低でも1か月程度は食べてください」
医学博士の佐野こころさんは、さらに効果を高める食べ方をアドバイスする。
「ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は腸内環境を整え、免疫の過剰反応を抑えてくれます。バナナやきなこなど、食物繊維が多い食材と合わせるとより効果的です」

同じ発酵食品の「納豆」(2位)やキムチ(4位)も上位にランクインした。キムチを選ぶ際は、調味液で味付けしたものではなく、発酵しているものを選ぶのがコツだ。
「たくあんや古漬けも乳酸菌で発酵しているので、腸活になる。腸内環境改善のためには1日1つ、お好きな発酵食品を食べるといいでしょう」(管理栄養士・中沢るみさん)
食物繊維を摂ることも腸内環境を整えるうえで欠かせない。株式会社オクタウェルの管理栄養士である飯野雅美さんが言う。
「食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、バランスよく取り入れることでより高い整腸効果が見込めます。めかぶなどの海藻類(8位)は水溶性食物繊維が豊富で、手軽に取り入れやすい食品です」
続いて3位に登場したのは「青魚」だ。神鋼記念病院耳鼻咽喉科科長の浦長瀬昌宏さんが説明する。

「脂質に含まれるオメガ3脂肪酸のEPAやDHAには、アレルギー誘発物質である『ヒスタミン』や『ロイコトリエン』の産生を抑える働きがある。炎症を鎮めて、鼻詰まりや目のかゆみの軽減につながります」
4位に入った「緑茶」も、症状緩和に欠かせない。代官山パークサイドクリニック院長の岡宮裕さんが言う。

「緑茶に含まれる『カテキン』はアレルギー症状を抑える働きがあります。ペットボトルの製品でも効果はありますが、お茶の粉が底に残るくらい濃いものを選ぶといいでしょう」


朝の活動が症状を決める
日々の生活習慣の中で気をつけるポイントは「花粉を体内に入れない」「家の中に花粉を持ち込まない」「体調を整える」ことだ。
専門家たちの対策の中でダントツで票を集め1位になったのが「めがねとマスクの着用」だった。
「アレルゲンである花粉をとにかく体内に入れないように意識することが重要です。予防と症状緩和のためにも、外出時にはマスクを着用するようにしましょう」(金丸さん)
ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也さんも粘膜保護について続ける。
「普段はコンタクトレンズの人もめがねに替えて、目に入る花粉を減らしましょう。点鼻や点眼をこまめに行い、粘膜バリアを保つとより効果的です」
侵入を防ぐという点では、帰宅後の「洗顔」(6位)も重要だ。浦長瀬さんが言う。

「目や鼻の周りに付着した花粉は、時間が経つほど粘膜に侵入し、症状を長引かせます。洗顔に加え生理食塩水で『鼻うがい』(7位)をすれば、粘膜の花粉も取り除けます。余裕があれば髪を洗うか、濡れたタオルでさっと拭くと花粉を室内に持ち込まずにすみます」
体についた花粉はシャワーで落とせそうだが、2位にランクインしたのは「湯船につかる」こと。

「湯船の蒸気を吸い込むと、鼻の粘膜が潤って血行がよくなり、鼻の自浄作用が活発になって花粉を排出しやすくなります。入浴時は深呼吸をして蒸気を吸い込みましょう」(浦長瀬さん)
ただし、熱いお湯につかりすぎるのは逆効果だ。
「熱の刺激でヒスタミンが皮膚に放出され、アレルギー反応が強く出ることがあります。約40℃のお湯に10分ほどつかると、自律神経が安定し症状を抑える効果が期待できます」(養腸家・真野わかさん)
「良質な睡眠」(3位)も花粉症対策につながる。
「不規則な生活と睡眠不足は、自律神経を乱し免疫機能の低下を招きます。花粉症の症状で睡眠不足になりやすい時期ですが、規則正しい睡眠習慣を意識することが重要です」(金丸さん)
最後に浦長瀬さんは、花粉症対策は生活全体のバランスが大切だと強調する。
「『これだけやれば花粉症が治る』という方法はありません。薬で症状を抑えながら食事や生活習慣を見直し、体質を土台から整えていくことが基本です」 専門家がすすめる食事と生活習慣を取り入れ、花粉に負けない体を目指したい。

※女性セブン2026年3月26日・4月2日号