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《75~90分かけて変身》仲野太賀が『豊臣兄弟!』で見せる「きれいな坊主頭」の秘訣を解説

完全なスキンヘッドでない役の場合は、前頭部から頭頂部にかけて剃りあげた「月代」の部分のみを作ります。今回の仲野さんや池松さんはこちらに該当しますね。月代の部分以外はいわゆる「ヘアネット」になっていて、その上にカツラをかぶせている感じです。

ただ、1回作れば終わりということはありません。物語が進行すれば、当然作中でキャラクターは年齢を重ねていきます。例えば、まだそのキャラクターが若い頃は「青剃り」といって剃ったところが青くなるように作りますし、だんだん年を取ってくると毛が減っていっているのを表現するために肌色に近く変化させていったりします。あとは、ストーリー上病気になったりすることがあれば、ちょっと色味を変えてみたりしますね。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合・1月4日20時〜ほか)※初回15分拡大版
豊臣秀長の生涯を描く。
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メイク自体に必要な時間は、大体75分くらいです。女優さんを尼さんの役にする、となったら90分くらいかかります。大河ドラマではありませんが、『良寛』(1997年)という映画で鈴木京香さんが尼僧役をやったときは、とても髪の毛が長いタイミングだったので、いっそう腕が鳴りました。

過去には難儀した俳優さんもいましたよ。かなり髪が長いうえ、毛の量がとんでもなく多い方でした。でも切ることはできないし髪をすいたりすることもNGですと。その量の髪をスキンヘッドの内側に収納しようとしても、均等にできないと出っ張りができたり、頭が伸びたり・・・。結局その俳優さんのときには、髪をまとめるのではなくて、背中側にすべて流して、着物の衿の中に隠したんです。もちろん、首までカバーするスキンヘッドを作ったので、見た目は普通の首。本人が嫌がらず、しかも次の作品への影響なく気持ちよく作品に臨んでもらえたのでよかったですね。

中には、坊主キャップをかぶるときに生え際を上に引っ張り気味にフィットさせてほしい、というリクエストをする俳優さんもいます。そうすると、「顔がキリッとしていいんだ。だから坊主役はいいんだよ」って、喜んでいる人もいるくらいです。

大敵なのは「汗」です。メイク仕立てのときは頭にぴったりフィットしていても、撮影で何時間か経てば汗も皮脂もでますし、それで浮いてきちゃったりするんですよ。もちろんハッキリした出っ張りになったりすることはありませんけど、綺麗になじませた地肌との境目に色の違いが出たりもしますから、都度手直ししながら撮影しています。

坊主頭の出演者が多く、毎回準備が大変だったという。(写真/横浜のインスタグラム)
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前作の『べらぼう』だと、横浜流星さんはずっと剃った部分がある役柄でしたから、撮影日は毎日特殊メイクでした。幸い、合戦のシーンがなかったので、動き回って汗をかいちゃって、ということはほとんどありませんでしたけど、それでも夏の時期のロケ撮影は大変でしたね。

最近は映像も高画質になって、特殊メイクの技術もナチュラルに見せるためにどんどん進化しています。ストーリーはもちろん、こういった側面からもドラマを楽しんでいただけると嬉しいです。