
仲野太賀(33才)が主演を務める大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。物語は桶狭間の戦いを過ぎ、豊臣秀吉(池松壮亮、35才)の功績として語られる「墨俣一夜城」の建設のため、仲野演じる秀吉の弟・豊臣秀長が頭を捻った。中盤の山場に向けて、竹中半兵衛役の菅田将暉(33才)が登場するなど、ますます目が離せない。
秀長と秀吉は、作中ではまだ髪を1つにまとめた「総髪」スタイルだ。だが今後、武将として名を挙げていくとともに、前頭部から頭頂部にかけての「月代」の部分の髪を剃りあげ、まげを結うことになる。戦国武将のイメージとして強く残るまげ姿の秘密を、『豊臣兄弟!』に特殊メイクアーティストとして携わる江川悦子氏が語った。
【前後編の前編】
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これまで、大河ドラマには10作以上関わってきました。最初に本格的に携わったのは、和泉元彌さんが主演した北条時宗(2001年)でした。特殊メイクアーティストとしての参加ですが、最近の大河ドラマの現場では「坊主メイク」や「月代」が中心。簡単に言うと「髪を剃りあげた部分」を作ることです。
出演者の皆さんは、他の作品が控えていたり、コマーシャルに出演したりとさまざまな事情があるため、髪を切ったり、ましてや地毛を本当に剃りあげるなんてことはなかなかできません。そこで特殊メイクが必要になるというわけです。
今回の『豊臣兄弟!』では、冒頭でバシッと仕上げた仲野さんや池松さんが登場しましたが、序盤は総髪ということもあり、秀吉が太閤になってからが私の本格的な出番です。特殊メイクを施す上で、私が掲げるテーマは「かっこよくほれぼれとするようなシルエット」にすること。特に大河ドラマに欠かせないお坊さん役の俳優さんを担当するときには、美しいまん丸な坊主頭にするために気合いが入ります。

作業としては、まず水泳キャップのようなものをかぶってもらって、スキャナーで頭の形をスキャニングして3Dプリンターで「正確な頭のレプリカ」を作ることから始めます。その形に合わせて、かぶせる坊主キャップを作っていくんですが、頭の形はハチが張っていたり後頭部が平らだったりと千差万別で、しかも“収納”する地毛の長さもクセも人によってまったく違いますから、個別にオーダーメイドで作成します。戦のシーンで激しく動いたらズレた、なんてことになってはいけません。ちなみに、仲野さんも池松さんも、とても綺麗な頭の形をしていますよ。カーブの仕方が素晴らしいので、坊主にすべき頭です(笑い)。