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《もこもこの毛が足りない》『豊臣兄弟!』特殊メイクアーティストを救った西田敏行さんの「アドバイス」

特殊メイクは汗が大敵で、時間の経過と共に地肌との境目がどうしても崩れてきがちです。撮影現場では簡単な手直しは随時行い、食事とかの長めの休憩のときに大きく直したりします。

三國連太郎さんが、「病気のために髪が抜け落ちていく」という役柄を演じたときには、まず最初に坊主頭を作り、その上に「薄毛」のウィッグを乗せました。撮影をしていたらやっぱり汗で地肌との境目が目立つようになってきたんですが、三國さんが「ここに毛をとめちゃえばいいじゃない」って、肌に糊をつけて、その上に髪の毛を乗せてごまかしました。

三國さんと西田さんは『釣りバカ日誌』シリーズで長く共演した。(左から石田ゆり子、三國さん、西田さん、浅田美代子。2006年7月)
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数多くご一緒した1人が、西田敏行さんです。特に晩年は、法皇などの坊主になる役柄を立て続けに演じられていましたからね。

記憶に残っているのは、三谷幸喜さん監督の『ギャラクシー街道』で、西田さんは「お茶の水博士」みたいな、頭頂部の髪がなくて、サイドや後ろに白い髪がモコモコついてるような髪型だったんですね。ただ撮影当初、ちょっとボリュームが足りなくて、いい具合にモコモコが目立たなかったんです。その時、西田さんが半分冗談のように「正面が成り立てばいいから、後ろの毛を横に持ってきたら? 今日は後ろを振り向かないから大丈夫だよ」とフォローしてくださって、無事に撮影ができたということがありました。

三國さんも西田さんも亡くなられて、どんどん寂しくなってしまいますが、そういった方々に勉強させていただいた技術が、いまの俳優さんたちの撮影現場で活かされていくわけです。「特殊メイク」という伝統を、今後もしっかり伝えていけるようにしたいです。