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元フィギュア選手・高橋成美さんが語る“神解説”につながるコーチの教え「先生と出会って情熱をすごく持てるようになりました」

元フィギュアスケートペア選手の高橋成美さん
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「こんな演技、宇宙一ですよ!」──ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケートのペアで、金メダルを獲得した「りくりゅう(三浦璃来・木原龍一)」の演技に“神解説”を連発した元フィギュアスケートペア選手の高橋成美さん(34才)。自身もペア選手として活躍した彼女の人生を変えたのは、50年以上にわたり日本フィギュア界に貢献する都築章一郎コーチ(88才)だ。

「最初に出会ったのは小学1年生のときのレッスン。都築先生はすぐ怒って赤くなるので第一印象は“怖いゆでダコ”でした。技術はもちろん礼儀をすごく大切にするかたで、挨拶をしっかりすることを教えられました」(高橋さん・以下同)

 怖いコーチだったが練習ではよく褒めてもらえた。

「世界一じゃないのに『いまのターンは世界一うまかった』とアゲてくれる先生でした。なかでも心に刺さったのは、『1回転の次は2回転、2回転の次は3回転、3回転の次は4回転だろ』です。幼いながらに“そっか、そうすれば私も4回転跳べるんだ”と思えた。コツコツがんばれば必ず次が見えてくる。地方大会で勝ったら次は全国大会で勝つ、と目標を高めることにも役立ちました」

 小学4年生のとき父の転勤で中国に渡ったが、その後も帰国するたびに都築コーチを頼った。小学5年生のときはコーチの家に下宿したこともある。

「同じく下宿していた高校生にはすごく厳しかったけど、私には激甘。テレビを見ていたら先生が一緒にソファに寝転がってお菓子をくれて、おじいちゃんみたいな感じでした(笑い)」

当時8才の高橋さんと都築コーチ。後ろは高橋さんのお母さん
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 高橋さんと同じく都築コーチを頼っていたのが羽生結弦(31才)だ。

「先生に教わったステップをいち早く身につけて、『覚えました』とどっちが先に言えるかを競っていました。私の方がユヅ(羽生)より3才年上だから最初は先に進んでいたけど、あっという間に追い越されました。2人で都築先生の手袋を隠すなどのイタズラもしていました(笑い)」

 高橋さんは今回のりくりゅうの金メダルにつながる日本人ペア選手の先駆者だが、その“原点”には都築コーチがいた。

「日本に帰国したとき、どうしてもペアをやりたいけど相手がいないと相談したらパートナーを探してくれました。すでに先生は高齢でしたが、私たちのために勉強してペアの滑り方を教えてくれました。もともと子供の頃に先生に投げてもらって高く跳ぶことに慣れていて怖くなかったので、私自身のペアの最初の一歩は都築先生のもとで踏み出したのかもしれません」

 神解説で見せた情熱あふれる人間になったのもコーチのおかげだと振り返る。

「先生と出会って情熱をすごく持てるようになりました。スケートにかける先生の情熱や常に勉強を続けて新しい技術を掴みにいく姿勢を尊敬しています。都築先生は恩師でありロールモデルでもあり、ずっと追い続けたい背中です」

※女性セブン2026年4月16・23日号

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