
かつてないほどに、年齢、性別にとらわれず、価値観、生き方が多様化する今。ひときわ輝きを放つ女性達がいます。「60歳からは『つなぎ人』」と語る女優・財前直見さん(60歳)のインタビューを、発売中の大人女性に向けたムックシリーズ『reShine2026春夏秋号』に掲載している記事から抜粋して紹介します。
若い頃は出たかった田舎に移住
東京と大分に2拠点をもって20年。財前さんは、いわば二拠点生活者の先駆けです。
「40歳で子どもを産んだ瞬間、 考え方が一気に変わったんです。完全母乳で育てたかったし『じいじが作る無農薬の野菜を食べさせてあげたい』と思った。それで出産後実家に帰ったら、想像以上に居心地がよくて。そのまま居座っちゃいました(笑)」

女優を続けながら、移住をするという選択に不安はなかったのでしょうか。
「子供が4歳になるころに仕事を再開したのですが、むしろオンとオフがはっきりしてよかったです。場所を移動することで、切り替えができるんですよね。
若い頃は田舎くさくて、早くこんなとこ出たいと思っていた場所が、子どもを持って初めて『私、こんな豊かなところで育ってたんだ』って気づきました。今は子どもも手が離れたので、両親と一緒に家のことも、土地のことも、ちゃんと守っていきたいと思っています」
半自給自足の財前さんの毎日は、とにかく忙しい。
「実ったものをひたすら収穫して、処理(加工) する、これを延々とやっています。 昨年は柿の当たり年だったので、ひたすら皮を剥いて干して、干したら、 みりんでふいて。形がいいものは、そのまま冷凍して、よくないものは、刻んできなこをまぶしておやつにするとか。
自然はたえまなく恵みをくれますから、それをどう美味しくいただくか考える。おかげで、都会にいた時より断然好奇心が倍増してますね(笑)。田舎暮らしは、本当にこころが豊かになります」

そんな生活をしているうちに、財前さんにあらたな目標が。
「おかげさまで地元愛や田舎の生活がメディアに注目されるようになり、自分の番組を持てたり、番組企画から家を建て直したり(笑)。それをきっかけに地域の方ともより深くつながれるようになりました。そうやっ大分の魅力や人をあらためて知るうちに、大分にしかない野菜や文化を守りたい、と思うようになりました」
◆財前直美
俳優。大分県出身。 1984年のデビュー以来、ドラマや映画で硬軟自在の演技力で活躍。 2007年に大分県へ移住し、自然豊かな生活をSNSや書籍で発信。 大分市魅力発信アンバサダーやAPU客員教授も務める。 BS日テレ 「なおみ農園」(木曜22時)が放送中。
撮影/土山大輔(TRON) ヘア&メイク/冨沢ノボル スタイリスト/間山雄紀 (エムゼロ) 構成・文/加治かおる
※『reShine』2026年春夏号