日本栄養コンシェルジュ協会代表理事で管理栄養士の岩崎真宏さんは、「長持ち血管」とたっぷりの「サラサラ血液」を手に入れるには、毎日の食事が何よりも大切だと話す。
「血管は体の末端まで栄養を運びながら有害な物質を除去する〝高速道路〟のようなもの。24時間、絶えず全身をめぐっているため、日々の食事がもっとも大きな影響を与えます」
まず気をつけるべきは、「超加工食品」を避けること。日本は食事全体の約3〜4割を超加工食品が占めると報告されており、アメリカやイギリスほどではないものの、先進国の中でも決して少ない方ではない。
管理栄養士の菊池真由子さんが言う。
「超加工食品にはリンが多く含まれており、これが血管を石灰化させて硬くし、体内で炎症を引き起こす作用があるのです。
超加工食品は極力避けてほしいですが、リンはゆでればある程度減らすことができるので、インスタント麺を食べるなら一度ゆで汁を捨てて、スープは新しいお湯でつくりましょう。ハムやベーコン、かまぼこ、ちくわも、一度熱湯にくぐらせるとリンを減らせます」
血管の健康には「減塩」も重要だ。ただし「減塩調味料を使えば安心」とは限らないと、菊池さんは言う。
「たとえ減塩調味料を使っていても、味見をして“いつもの味”に仕上げてしまえば使う量が増え、結果的な総塩分量は変わりません。減塩調味料はきちんと計量する習慣をつけ、だしや香辛料を活用しながら、薄味に慣れましょう。
同時に、余分な塩分を排出するカリウムを積極的に摂取してほしい。日常的にいろいろな野菜や果物を摂ることで、体内の塩分バランスを適切に保てるようになります」(菊池さん)
カリウムと併せて、血液をサラサラにする「良質な油」と「抗酸化物質」も積極的に摂ろう。
「良質な油と抗酸化物質は血流をスムーズにしてくれるだけでなく、血管を広げて炎症を修復してくれるNO(一酸化窒素)の産生を増やすことに役立ちます。さばやいわしなどの青魚の油に豊富なEPAやDHAをはじめ、えごま油やアマニ油、ナッツ類で良質なオメガ3系の必須脂肪酸を摂るのがおすすめです。
野菜と魚を中心に、できるだけ品目数が多くなるように食べれば、おのずと〝血管にいい食事〟に近づくはず」(池谷さん)
血管にいい栄養素を網羅できるのが、長寿食としても知られる「地中海食」。「ギリシャやイタリアなどの地中海沿岸地域の伝統的な食事で、今日までの大規模な世界的研究では、地中海食を続けると心筋梗塞や脳卒中などの重大な血管系疾患のリスクを3〜4割も下げることがわかっています」(岩崎さん・以下同)

和食も心強い味方になる。
「植物性食品が中心で、魚、海藻類、豆類、発酵食品も豊富です。また緑茶はポリフェノールが豊富で、抗酸化、抗炎症、抗老化作用が得られます。緑茶なら、食事以外のタイミングでも手軽に摂取できるのが強みの1つですね」
意識したいのは、「食べる順番」。早食いや、いきなり炭水化物を食べるのは血糖値の急上昇を招き、血管にダメージを与える。
「基本はゆっくり、よく噛んで食べること。以前は『ベジファースト』がいいとされていましたが、近年の研究で、野菜とたんぱく質はどちらを先に食べても血糖値への影響は変わらないことがわかってきました。
むしろ重要なのは、ご飯やパンなどの炭水化物を最後に食べる『カーボラスト』です」(菊池さん)
食事と並んで欠かせないのが、血圧の管理だ。東丸さんが言う。
「いちばん効果的なのは、朝晩の血圧を測る習慣をつけること。また、45才以降は一度は超音波やCTといった血管の画像検査を受けてください」
血圧を上げ、動脈硬化を加速させる要因は無数にあるが、特に気をつけなければならないのが、肥満、運動不足、寝不足、ストレス、喫煙、多量の飲酒だ。これらの悪習慣は一日でも早く、1つでも減らすこと。
「高血圧の予防といえば減塩というイメージがありますが、心臓や腎臓の持病がない場合、減塩よりもむしろこうした悪習慣の方が、血圧に大きな影響を与えます。特に寝不足は血圧を上げる最大の要因です。
最低でも6時間以上の睡眠を心がけ、飲酒や喫煙は控えて、メタボリックシンドロームを予防しましょう。おすすめは全身を動かす簡単なグーパー運動(図参照)。屈伸運動やスクワットのような“縮めて伸ばす”動きは一時的に血流を増やし、血管が内側から刺激されてNOを増やすことができます」(池谷さん)
(後編に続く)
※女性セブン2026年7月30日・8月6日号