
すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。
第9話:「闇雀荘 アイソ」の話【後編】
こうして「闇雀荘 アイソ」は閉店となり、麻雀仲間のうち2人は5年以内に亡くなった。流石に心配したシヅが、「あなたは大丈夫なの?」と聞くと克弥は、
「どんなに風俗に行っても、梅毒にならないやつはならないからね」
と、不謹慎極まりないコメントでシヅを呆れさせた。
* * *
話は少し戻り、結婚してすぐに長男が生まれた。シヅは克弥の実家に長男を預けて勤務を続けるが、克弥は相変わらず遊び呆けている。
「あなた卒論どうするの?」
大学院1年目も終わる頃、シヅが問いただすと、克弥は何も考えていないと言う。

「大学院は論文書いて博士になる所でしょ?論文書く気がないなら行く意味ないじゃない。私は代わりに書けないのよ!」
親子の説教のようであるが、新婚夫婦の会話である。
──シヅさんには決して逆らってはいけない。
克弥は仕方なく、担当教授を訪ねた。
「先生、博士論文ってどう書くんですか?」
せっかちな克弥はアイドリングなしで担当教授に質問する。この教授は、東大出身の教授が多かった昭和医大で、様々な策略と根回しの限りを尽くし、昭和大学出身者でありながら初めて教授になった、権威のみが好きな男だった。
「まずは何かテーマを決めて研究して論文を書く。それが教授会で『これは立派な論文だ』とか、『原著だ』とか認められなきゃいかん」
教授室のソファの上で教授はふんぞり返った。
「その立派な論文の基準は何ですか?」
教授はフンと鼻を鳴らして立ち上がり、数冊の雑誌を克弥の前に並べた。神経外科や整形外科学会の機関誌や医学会誌である。中には英語のものもある。教授が端から指さして言う。
「これが一番すごいやつ。で、こっからここまでが海外の超一流誌。次はこれとこれ。ここまでがとても難しい。君なんか見たこともないだろう。それ以下はまあ普通だけど、こういうのに書いた論文が載ればいいんだ」
雑誌を睨みながら克弥が絶望の表情で黙り込む。高須克弥25歳。高須クリニック開業の6年前の話である。(第10話につづく)
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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。
高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。
※女性セブン2026年8月13日号