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《若くして一流誌に掲載》教授の鼻を明かした高須克弥の天才的「論文」【第10話前編】『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』

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すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。

第10話:卒論事件と処女膜再生術の話【前編】

大学院では整形外科を選択。そこで偶然知った「処女膜再生術」が、後に克弥を助けることになる。最前列左から2人目が克弥。(本人提供)
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「その立派な論文の基準は何ですか?」

 教授はフンと鼻を鳴らして立ち上がり、数冊の医学会誌を克弥の前に並べ、端から指さして言った。

「これが一番すごいやつ。で、こっからここまでが海外の超一流誌。次はこれとこれ。ここまでがとても難しい。君なんか見たこともないだろう。それ以下はまあ普通だけど、こういうのに書いた論文が載ればいいんだ」

 学会誌を睨みながら克弥が黙り込む。それを見て教授がほくそ笑んだ。

──自分には無理だと落ち込むがいい。遊び呆けていた罰だ。自業自得だと思い知れ。

 学生からも「バカ教授」と陰口を叩かれているこの教授の楽しみの一つが、ダメ学生をいたぶるこの儀式だった。しかし追い込み過ぎて博士号を諦められては困る。教授はお決まりの助け舟も用意していた。

「まあ、ほとんどの学生がこういう学会誌に載るのは無理なんだよ。だってうちは東大でも慶應でもない、昭和医大なんだから」

 教授自ら身も蓋もないことを言う。さすが昭和医大出身者である。

「そこで、これがある! ジャジャーン!」

 まるで印籠のように雑誌を掲げた。

「昭和大学学内誌!」

 教授は嬉しそうに続ける。

「これはうちの大学が出しているものだからね。分かるだろう? これがなかったらうちの学生なんか誰も博士号なんて取れないから。最後はここ!」

 克弥がおもむろに口をひらく。

「あの……」

「なんだ? 不安か? うん、分かるよ。みんなそうだから。でも大丈夫! 最後の最後は昭和大学学内誌がある! あってよかった学内誌! 博士になれるぞ学内誌、ってか!」

 ここまでが恒例のワンセットで、大抵の学生は涙を流して安堵するのが通例である。

「いや、そうじゃなくて……この、3番目の学会誌に僕の論文載ってます」

「は?」

 教授は克弥が指さす学会誌を見た。そしてしばらく沈黙した後、爆笑した。

「あははは。こんなのに載ったら超一流だわ。この私だって載ったことないよ」

 克弥は学会誌を手に取り、パラパラとめくって差し出した。

「これ、僕のです」

 教授はひったくると、血走った目を誌面に擦り付けた。

「あ、昭和大学 高須克弥って書いてある。コレ、キミ?」

「はい」

 教授はソファからずり落ちた。

『四肢切断者の幻視に関する研究』

 手足を切断した患者が、ないはずの手足に痛みを感じる「幻視」という現象がある。それを催眠術で治療したらどうかという内容で、克弥が大学院1年目に書いた論文だった。掲載された理由は、今まで誰も研究したことがないという目新しさで、ここでも克弥の逆張りの発想が功を奏したのだ。

「でもなんで1年目に論文なんて書こうと思ったの? あなたそんな真面目な人じゃないじゃない」

 後日、シヅの質問に克弥は少し照れた。

「あの学会誌が懸賞論文を募集してたんだ。優秀だったら賞金くれるっていうから麻雀の借金を返すために、ちょこちょこっと、ね」

「それで掲載されたの? 一流誌に?」

「うん」

 シヅが呆れた。

* * *

 さて、4年かけて書くべき論文を1年目に仕上げてしまった克弥は、することがなくなった。そこで暇つぶしに、他人の論文の手伝いでもしようと生理学教室へ行くと、教授が1つの研究データを克弥に見せた。(後編につづく)

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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。

高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。

※女性セブン2026年8月20・27日号