《健康長寿の要となる“腸”》腸内環境を整え理想的な便を出すための“3つの力” 食事により便を「作る力」、腸内細菌の力を借りて「育てる力」、運動で鍛える「出す力」

シミ、しわなど外形的なアンチエイジングを意識する人は多いが、目に見えない臓器もまた、老化することを忘れてはならない。人生100年時代のいま、必要なのは脳や腸、骨をメンテナンスし、いつまでも若々しい体を手に入れること。何才からでも遅くはない。第2回では、いまから始められる腸のエイジングケア方法を徹底解説。【全3回の第2回。第1回から読む】
腸は“セカンド・ブレイン”
近年の研究で注目されているのが、健康長寿と腸の関連だ。
腸内細菌研究の第一人者として知られる辨野(べんの)腸内フローラ研究所理事長の辨野義己さんは「腸は“セカンド・ブレイン(第二の脳)”と呼ばれています」と話す。
「腸は人体における最大の免疫臓器であり、腸の具合が悪くなると免疫系の働きが弱まって病原体を原因とする病気にかかりやすくなります。また、腸内には多くの神経細胞が集合し、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどさまざまなホルモンを分泌します。がんや認知症の発症、脳機能の低下とも関連する腸は、健康長寿にとって最重要臓器のひとつです」(辨野さん・以下同)
辨野さんは長寿地域に住む人の大便に、善玉菌として知られるビフィズス菌と酪酸産生菌が大量に含まれることを発見。それらを「腸活菌」と総称し、その役割と作用に注目する。
「腸活菌は日本人なら誰でも持っている腸内細菌といわれます。しかし、残念なことに、ほとんどの人が腸内で機能させることができず眠らせたまま。
腸内環境を整えてこれらの菌を活性化させることが、健康長寿の延伸ために必要です」

『100年腸』の著者で、京都府立医科大学大学院教授で消化器専門医の内藤裕二さんも、「元気で長生きする人の腸内環境には特徴がある」と語る。
「腸内環境は年齢とともに変化します。しかし、元気で長生きしている人たちの腸内には年齢や生活環境に適応した自分に合った菌が育っています。酪酸産生菌もほかのさまざまな菌を用いて酪酸を作るため効果を発揮するのです。
大切なのは、特定の菌が多いことではなく、多様な菌が共存し“クロスフィーディング”を叶える、腸内エコシステムが維持されていること。バランスのとれた腸内環境を育てられるかどうかが、健康長寿を左右する大きなポイントです」(内藤さん)