体に作用する働きはマンジャロと同じだ。
「メトホルミンを服用すると、食事をした際に小腸から分泌される消化管ホルモン『GLP-1』の分泌を促すことで、満腹中枢が刺激されて食欲が抑制されます。また、肝臓で作られる脂肪酸の合成を抑制する効果とともに脂肪の分解を促進する酵素を活性化する。マンジャロと比べると効き目が穏やかで、低血糖に陥りにくいといえます」
室井さんも言い添える。
「マンジャロなどのGLP-1受容体作動薬の方が効果は大きいです。しかし脂肪を減らしたとしても、細胞の栄養が不足するようなやせ方になり健康を損なってしまうと危惧されている。メトホルミンは代謝を高めて糖が脂肪として蓄積されるのを防ぎ、劇的な変化ではなく、“健康的に体重をコントロールできる”と評価する向きもあります」

さらに、メトホルミンは糖尿病治療とは別の文脈で注目を集めていると室井さんは続ける。
「カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では、メトホルミンの摂取により寿命が延びる可能性が指摘されました。抗酸化作用が細胞の代謝を改善させるという研究もあります。また熊本大学による線虫を使った実験では健康寿命の延伸、アメリカ・ユタ州立大学の研究では運動機能の維持という結果、岡山大学の研究ではがんの抑制効果の可能性があるというデータが発表されています。
老化研究の第一人者で、アンチエイジングのサプリメント『NMN』の火付け役であるハーバード大学医学大学院のデビッド・A・シンクレア教授も、自著でメトホルミンの摂取による平均寿命の延伸と運動機能の維持を確認したと発表し、世界的な注目を集めました」
副作用として腹痛や下痢などの消化器症状も
海外では、細胞の活性化や病気の予防のために、サプリのようにメトホルミンを常用する例もある。まさに“ダイエットの救世主”かと思ってしまうかもしれないが、やはり薬。リスクや副作用は存在する。
「副作用として腹痛や下痢などの消化器症状が挙げられます。また、適切な用量を守らず大量に服用した場合には低血糖や、血液が酸性に傾いて最悪の場合は意識障害を引き起こす乳酸アシドーシスを招く恐れもあります。自由診療の場合でも必ず医師の診察を受け、指示された用量を守ってください。
なお、マンジャロと同様に糖尿病の治療以外で使用する場合は自由診療となり、健康保険が適用されない点にも注意が必要です」(大村さん)
医師やクリニックによっては副作用の危険を説明しなかったり、服用する必要がないにもかかわらず安易に処方するケースもある。本当にのむべきかどうか、自分問いかけてほしい。

※女性セブン2026年8月13日号