
「筋肉は生きるために最も重要。本当に重要です」
そう強調するのは、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さん。78才を迎えた現在も多くの講演や連載、執筆をこなす鎌田さんの秘密は筋肉にある。
「筋トレをすると、“若返りホルモン”と呼ばれる『マイオカイン』が分泌されて精神的にも肉体的にも元気になり、認知症のリスクも減ることがわかっています。80代、90代になるとフレイルになって介護保険のお世話になる人が多いけれど、筋肉がある人はフレイルになりにくくなります」(鎌田さん・以下同)
鎌田さんが筋トレを始めたのは60才頃だという。
「ぼくは食べることが大好きで、おいしいものを食べるために生きているようなもの。だから食べたいものを食べても太らない体にしたいと思い、始めました。当時80kgだった体重は、いまは73kgです」
それから約20年、いまでは重量級バーベルを担いでのスクワットをこなす。
「最初は35kgからスタートして、77才のときに77kgのバーベルを上げようと目標を立てて達成。目標を立てるのがおもしろくなり、いまは90kgを担いで、足を肩幅より広く開いて行う『ワイドスクワット』をしています」
負荷のかかるトレーニングを積極的に行うと同時に、手軽な運動も欠かせないという。
「春から秋にかけては1時間に1回は外に出てウオーキングすることを習慣にしています。歩数にはこだわらず、早歩きと大股で歩く『幅広歩行』を5分ぐらい行います。
冬は近くのスキー場で3kmの斜面を3本ほど約80日間滑ります。そうやって年間を通じて筋肉の維持にこだわっており、以前より体を動かすのが楽になりました」
おすすめの筋トレは、鎌田さんが実践している「ワイドスクワット」だという。
「ワイドスクワットなら、ひざに負担がかかりにくいのでシニアでもやりやすい。これを『トイレスクワット』と言い換えて、トイレに行くたびに2回行うといい。1日8回ぐらいトイレに行くので、1日で16回行うことになります」
すると驚きの効果が期待できるという。
「3か月ほど続けると、骨盤底筋群が鍛えられて尿漏れが少なくなり、足の筋肉が強くなるので若返りホルモンが出る。さらに血圧も下がり、血糖値も下がる。そして、太りにくい体になっていきます」
鎌田さんは生活の中で運動を増やす工夫をしている。
「たとえばスーパーに行くときは、車をお店の入り口から少し遠くに止めて歩くようにする。買い物をするときは、店内を2周ぐらい幅広歩行で歩いて商品を見て回る。ほかにも歯磨きをしながらスクワットをするなど、筋トレを生活に取り入れて継続するのが重要です」
運動のほかにも食事が重要なカギを握る。
「カロリー制限はしないで、糖質制限を意識しています。たんぱく質を摂ることも意識して焼き肉店やとんカツ店にも行きますが、白ご飯は食べない。そのかわりキャベツなど野菜をたっぷりいただきます」
78才で毎年8冊の著書を執筆し、講演に全国を飛び回る鎌田さんの体力は、日々のトレーニングの賜物なのだろう。

※女性セブン2026年9月3日号